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0102.迷宮の中へ

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 健には色々と思うところはあったが、迷宮に入ることにした。試練でこんなにも苦労したのも、そもそも迷宮に入る為だったことを考えると、入らないという選択肢は有り得ない。健が扉の中に入ると、龍も後から付いて来た。健達が入ると、迷宮の扉が閉まった。そして太陽の声が扉の向こうから聞こえてくる。
「扉を開けるには、迷宮の中にある紋章が必要じゃ。まずは、それを探すといいぞ。」
「おい。また後出しの情報かよ。」
「今のお主にとっては大した困難ではないはずじゃ。それよりも、一つだけ忠告しておいてやろう。ポックルには気を付けるんじゃ。」
「ポックルって何だ。おい、ポックルって何なんだよ。」
 だが、気まぐれの性格の太陽はもう返事をしてくれない。健は諦めて龍と一緒に奥に進むことにした。
「何か楽しみだね。」
 楽観的な龍はまったく心配していないようだ。とはいえ、健も龍がいてくれるので少し安心感がある。二人で進む迷宮の中はかなり薄暗く、健が松明をかかげてようやく少し先が見える程度だ。
 歩きながら健はふと気付いた。紫のウサギから買った指輪が指にはまっているのだ。やはり、あれは幻ではなかったのか。だが、健は今ここで指輪を使ってウサギを呼び出すのはよくないということをなぜか理解していた。そして、別のことにも気付いた。待てよ。指輪が実際にあるなら、あれも使えるはずだ。
 健は試練の中で身に付けた超感覚を試してみる。すると、50メートル四方の様子がかなり詳細に把握できた。
「有難い。使えるぞ。」
「どうしたの。」
「試練で身に付けた能力が、戻って来ても使えることが分かったんだ。」
「へー、何ができるの。」
「俺達のいる場所から少し離れた距離までの状況が分かるぞ。この道は、20メートル先で十字路になっている。そこから左に進んで行くと何やら強そうな気配のするモンスターがいるな。右に進むと、川か何か水の気配がある。直進した場合、今分かる範囲では特に何もないな。」
「すごいね。とても便利だね。それなら美味しい食べ物もすぐ見つけられるね。」
「ははは。そういや、チビ助はすげえ食いしん坊だったな。まあ俺も何か食べたい気分だが、こんな迷宮で食べ物は手に入るかな。」
「そんなこと言わないでよ。何かやる気がなくなってきちゃった。」
「ゴメンゴメン。あるかどうかは、探してみないと分からないよ。」
 口ではそう言ったものの、健は頭の中で色々と考えを巡らしていた。水はこの先の十字路を右に行くと、恐らく手に入るだろう。食料はどうなるか分からないが、最悪、飢え死になる前に紋章を手に入れて入って来た扉から出ればいいか。そうすると、やはり、まずは紋章だな。
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