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0097.乱戦の行方
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「今度はそう簡単にはやられないよ。」
黒い仮面は健に手をヒラヒラと振った。黒い毛むくじゃらが床を蹴って、黒い仮面に向かって大ジャンプして、大きな拳を振り回す。
「おっと。」
黒い仮面は華麗に避けるが、黒い毛むくじゃらの腕が近くを掠めてマントが風にたなびく。
「相変わらず、すごい迫力だ。」
黒い毛むくじゃらは、黒い仮面と何かの因縁があるのか、見るからに怒り狂って突進して行く。健は、その様子を見ていたが、加勢はせずに黒い仮面は任せることにした。今は命の水晶を破壊しないといけないのだ。
そして、いつの間にやら、動く鎧は4体とも火の精の放つ炎の玉で完全に破壊され尽くし、残骸となって床に転がっている。部屋の壁や床も穴だらけであちこち溶けている。
「よくやった。次は、ティアラの父ちゃんの加勢を頼む。」
「オッケー、オイラに任せとけ。」
火の精が大量の炎の玉を黒い仮面に向けて放つと、流石に余裕がなくなったのか、黒い仮面は無言で空中を逃げ回る。
健は黄金の仮面のいる魔法陣の近くに走り寄ると覚悟を決めて足を踏み込んだ。予想通り、何も起こらず、体は無事だ。黄金の仮面は、ゆっくりと近付く健を無視して詠唱を続けている。健は、魔法の短剣を握り締めて光の刃を伸ばすと、台の上に置いてある命の水晶を破壊すべく、剣を振り下ろした。すると、黄金の仮面が突然、振り向いて水晶との間に飛び込んできた。健は、躊躇なく黄金の仮面の体を斜めに一刀両断した。
さすがにこの状況では黄金の仮面が逃げるか反撃するかと思っていたが、意外にも黄金の仮面は健の斬撃をまともに受け、その場に倒れこむ。健は、予想外の事態に何か嫌な予感がした。
「終わったのか。だが、何も起こらないな。ひょっとして、この世界の主はまだ生きてるのか。」
健は、倒れている黄金の仮面に慎重に近付いて行く。健の斬撃によって黄金の仮面が二つに切断され、片割れが床に落ちている。だが、うつ伏せに倒れているので顔が見えない。健は、警戒しながら床に倒れている紫のローブに包まれた体を蹴って転がした。
「あっ。」
健は思わず声をあげてしまった。割れた黄金の仮面の下から見えている顔は血だらけのティアラの顔だった。
「これは、どういうことだ。ティアラは一緒に部屋に入って来てあそこにいたはずだ。」
入って来た扉の方を見るが、黒い仮面に向けて炎の玉を飛ばしまくっている火の精しかいない。
「ティアラ、ティアラ。」
大声で部屋の中のあちこちに声をかけるが返事はない。健の頭の中は混乱していた。倒れている黄金の仮面に近寄り、抱き上げて近くで顔を見るが、やはりティアラに間違いない。紫色のローブの中には義手や義足が取り付けられており、小柄のティアラでも巨体に見えていたのだ。健が呆然としている中、ティアラの頭に付けられた赤い髪飾りが何回かゆっくりと光った。そして、最後に強く光ると髪飾りは消えた。次の瞬間、近くに置いてある命の水晶が砕け散った。
黒い仮面は健に手をヒラヒラと振った。黒い毛むくじゃらが床を蹴って、黒い仮面に向かって大ジャンプして、大きな拳を振り回す。
「おっと。」
黒い仮面は華麗に避けるが、黒い毛むくじゃらの腕が近くを掠めてマントが風にたなびく。
「相変わらず、すごい迫力だ。」
黒い毛むくじゃらは、黒い仮面と何かの因縁があるのか、見るからに怒り狂って突進して行く。健は、その様子を見ていたが、加勢はせずに黒い仮面は任せることにした。今は命の水晶を破壊しないといけないのだ。
そして、いつの間にやら、動く鎧は4体とも火の精の放つ炎の玉で完全に破壊され尽くし、残骸となって床に転がっている。部屋の壁や床も穴だらけであちこち溶けている。
「よくやった。次は、ティアラの父ちゃんの加勢を頼む。」
「オッケー、オイラに任せとけ。」
火の精が大量の炎の玉を黒い仮面に向けて放つと、流石に余裕がなくなったのか、黒い仮面は無言で空中を逃げ回る。
健は黄金の仮面のいる魔法陣の近くに走り寄ると覚悟を決めて足を踏み込んだ。予想通り、何も起こらず、体は無事だ。黄金の仮面は、ゆっくりと近付く健を無視して詠唱を続けている。健は、魔法の短剣を握り締めて光の刃を伸ばすと、台の上に置いてある命の水晶を破壊すべく、剣を振り下ろした。すると、黄金の仮面が突然、振り向いて水晶との間に飛び込んできた。健は、躊躇なく黄金の仮面の体を斜めに一刀両断した。
さすがにこの状況では黄金の仮面が逃げるか反撃するかと思っていたが、意外にも黄金の仮面は健の斬撃をまともに受け、その場に倒れこむ。健は、予想外の事態に何か嫌な予感がした。
「終わったのか。だが、何も起こらないな。ひょっとして、この世界の主はまだ生きてるのか。」
健は、倒れている黄金の仮面に慎重に近付いて行く。健の斬撃によって黄金の仮面が二つに切断され、片割れが床に落ちている。だが、うつ伏せに倒れているので顔が見えない。健は、警戒しながら床に倒れている紫のローブに包まれた体を蹴って転がした。
「あっ。」
健は思わず声をあげてしまった。割れた黄金の仮面の下から見えている顔は血だらけのティアラの顔だった。
「これは、どういうことだ。ティアラは一緒に部屋に入って来てあそこにいたはずだ。」
入って来た扉の方を見るが、黒い仮面に向けて炎の玉を飛ばしまくっている火の精しかいない。
「ティアラ、ティアラ。」
大声で部屋の中のあちこちに声をかけるが返事はない。健の頭の中は混乱していた。倒れている黄金の仮面に近寄り、抱き上げて近くで顔を見るが、やはりティアラに間違いない。紫色のローブの中には義手や義足が取り付けられており、小柄のティアラでも巨体に見えていたのだ。健が呆然としている中、ティアラの頭に付けられた赤い髪飾りが何回かゆっくりと光った。そして、最後に強く光ると髪飾りは消えた。次の瞬間、近くに置いてある命の水晶が砕け散った。
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