立日の異世界冒険記

ナイトタイガー

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0093.小部屋の4人

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「大丈夫か。」
「ええ、何ともないわ。いきなり空中に持ち上げられた後からの記憶はないのだけど。父さんの手の中で目覚めた時は、ビックリしちゃったわ。間近で父さんの顔を見るとすごい迫力があるのよ。フフフ。」
 銀髪の女は黒い毛むくじゃらを見ながら笑っている。
「そうか。とにかく無事でよかった。」
「そうだよ。いきなり連れて行かれた時はどうなるかと思ってたよ。」
「心配してくれて有難う。」
「色々あった直後で申し訳ないが、そろそろ行こう。この世界の主の儀式に間に合わなくなるかもしれない。」
「そうね。急ぎましょう。ただ、私の記憶が正しければあと少しで儀式の部屋に着くはずよ。」
「よし行こう。」
 それから7つほど部屋を通って進んだ後、一行は10メートル四方の小部屋に入った。銀髪の女が銀色の扉の前で立ち止まり、皆に静かにするようにとジェスチャーする。そして小声で説明を始めた。
「次の次の部屋が儀式の部屋のはずよ。次の部屋は広いからこの部屋にいればみつからないと思うわ。」
 健も小声で返事をする。
「分かった。ひとまず、ここで作戦を立てよう。」
 健はここまで肩に乗せて運んできた人形の残骸をそっと床においた。そして、火の精の方を向いた。
「またお前に活躍してもらうぞ。ティアラの話だと、この世界の主の周りには動く鎧が4体ほどいるはずだ。そいつらを頼む。その間に、俺がこの世界の主を倒す。」
「オッケー。オイラ頑張るよ。ガンガンぶっ放すよ。」
「シーっ、声が少し大きいぞ。だが、その意気で頼む。」
「俺達が突撃している間は、ティアラ達は次の部屋で待っててくれ。父ちゃんがいれば大丈夫だと思う。」
「分かったわ。無理はしないでね。」
「俺達が突撃するタイミングは命の水晶の儀式が始まってからがいいと思う。ティアラは儀式がいつ始まるのか分かりそうか。」
「ええ、始まったら教えるわ。前にも言ったけど、私の命はこの世界の主の命と一つになっているから命の水晶が取り出されたら分かるはずよ。」
「よし、頼んだ。あと、この部屋は大丈夫か。誰か来ないかな。」
「私の記憶は昔の情報だから今も同じか分からないけど、次の部屋はかなり広くて扉が20以上あるはずよ。頻繁に出入りされている扉は5つほどね。他の扉はたまにしか使われていなかったわ。その中でも全然使われていない開かずの扉も5つほどあるの。この部屋は使われていない開かずの扉の部屋の一つよ。」
「なるほど。それなら一安心だ。ちなみに次の広い部屋には誰かがいる可能性があるってことかい。」
「ええ、常にいるというわけじゃないけど、氷の城の中の色々な用事をする人達がいることが多かったと思うわ。」
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