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0050.雪の世界の昔話
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「どういうことだい。さっきからこの世界の主って名前が出てくるが、そいつは何者だ。」
「この世界がいつできたかは分からないが、俺がこの世界に存在するようになった初期はいなかったんだ。それが気付いたらいつの間にか現れたんだ。奴が。そいつが毎日、雪を降らすせいで俺は滅多に出て来れなくなったんだ。チキショー!」
火の精が怒ると可愛い火花が舞い散るので、健は笑いそうになったが何とか我慢した。
「この世界で毎日、雪を降らせ続けるのって、考えてみたらすごいな。それで、君とその世界の主とはどういう関係なんだい。あ、そう言えば、まだ名前を聞いてなかったな。俺の命の恩人だと言うのに失礼をしてすまん。俺の名前は健。君の名前も教えてくれないか。」
「ティアラよ。私は、この世界にある小さい村で生まれて、皆とこの世界で平和に暮らしていたのよ。ところが、ある日、この世界の主が現れて、私達一族は、雪と氷がないと生きていけない体にされてしまったの。それだけではなく、そのうちに、一族の男達がどこかに消し去られてしまい、残った女達は皆、世界の主の奴隷にされてしまったのよ。」
「典型的な悪者だな。すごい強かったっていうユウは、その世界の主を倒してくれなかったのか。」
「それには、理由があるの。世界の主の奴隷にされた私達は、永遠の命を与えられたのだけれども、実はその命は世界の主の命と一つになっていたのよ。ユウは、とても強かったから世界の主を倒すことはできたんだけど、倒すと私達が一緒に死んでしまうことを知って倒すのをやめてしまったの。彼はとても物知りで、あらゆる魔法も使いこなしていたので、しばらく研究を重ねてようやく解決策をみつけたみたいなんだけど、それに気付いた世界の主が完全に姿を隠してしまってどうにもできなくなってしまったのよ。そして、隠れた世界の主を探しているうちに、彼にはどうしてもこの世界を去らなければならない緊急の事情ができてしまったらしく、私に何度も謝りながら去って行ったの。去る間際も彼は非常に残念がっていたけど、私は彼といた時間がとても幸せだったからそれだけで満足よ。」
銀髪の女は遠くを見つめながら話してくれたが、過去を思い出したのか、嬉しそうな、それでいて少し悲しそうな表情をしていた。
「そうなんだよ。あと少しだったんだぜ。俺も手伝ってたから、世界の主を倒すことができなくて本当に悔しかった。まあ、あのユウが緊急の事情って言うからには本当に一大事だったんだろうな。ユウがいなくなるって聞いて俺も本当に寂しかったぜ。ユウがいる間は、この世界は最高だった。」
「この世界がいつできたかは分からないが、俺がこの世界に存在するようになった初期はいなかったんだ。それが気付いたらいつの間にか現れたんだ。奴が。そいつが毎日、雪を降らすせいで俺は滅多に出て来れなくなったんだ。チキショー!」
火の精が怒ると可愛い火花が舞い散るので、健は笑いそうになったが何とか我慢した。
「この世界で毎日、雪を降らせ続けるのって、考えてみたらすごいな。それで、君とその世界の主とはどういう関係なんだい。あ、そう言えば、まだ名前を聞いてなかったな。俺の命の恩人だと言うのに失礼をしてすまん。俺の名前は健。君の名前も教えてくれないか。」
「ティアラよ。私は、この世界にある小さい村で生まれて、皆とこの世界で平和に暮らしていたのよ。ところが、ある日、この世界の主が現れて、私達一族は、雪と氷がないと生きていけない体にされてしまったの。それだけではなく、そのうちに、一族の男達がどこかに消し去られてしまい、残った女達は皆、世界の主の奴隷にされてしまったのよ。」
「典型的な悪者だな。すごい強かったっていうユウは、その世界の主を倒してくれなかったのか。」
「それには、理由があるの。世界の主の奴隷にされた私達は、永遠の命を与えられたのだけれども、実はその命は世界の主の命と一つになっていたのよ。ユウは、とても強かったから世界の主を倒すことはできたんだけど、倒すと私達が一緒に死んでしまうことを知って倒すのをやめてしまったの。彼はとても物知りで、あらゆる魔法も使いこなしていたので、しばらく研究を重ねてようやく解決策をみつけたみたいなんだけど、それに気付いた世界の主が完全に姿を隠してしまってどうにもできなくなってしまったのよ。そして、隠れた世界の主を探しているうちに、彼にはどうしてもこの世界を去らなければならない緊急の事情ができてしまったらしく、私に何度も謝りながら去って行ったの。去る間際も彼は非常に残念がっていたけど、私は彼といた時間がとても幸せだったからそれだけで満足よ。」
銀髪の女は遠くを見つめながら話してくれたが、過去を思い出したのか、嬉しそうな、それでいて少し悲しそうな表情をしていた。
「そうなんだよ。あと少しだったんだぜ。俺も手伝ってたから、世界の主を倒すことができなくて本当に悔しかった。まあ、あのユウが緊急の事情って言うからには本当に一大事だったんだろうな。ユウがいなくなるって聞いて俺も本当に寂しかったぜ。ユウがいる間は、この世界は最高だった。」
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