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0026.レイニーの腕輪
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健が少し落ち込んでいると、エルフの女がカウンターから声をかけてきた。
「まださっきのことを気にしているの。」
「ああ、一人でいる時にああいう状況になったらどう対応すればよいのかまだ解決策が思い浮かばなくて。」
「あら、真面目ねえ。あの状況から一人で抜け出せるのはこの世界の中で100人はいないと思うわよ。」
「そうなのか。あんたは当然、その1人なのかい。」
「まあ、そうなるわね。」
その返事を聞いて、健は素直に目の前の強者を尊敬することができた。さらに、こんな実力者と知り合いになれたことをとても幸運だと思った。
「そうだ。これからまた森の中を探索するんでしょ。怖い思いをさせたお詫びにこれをあげるわ。」
エルフの女は恐らく何かの動物の骨で作られた象牙色の腕輪を健に差し出した。腕輪には様々な植物の模様が彫られている。
「これを使えば、森の中に限らず、どこにいても私と連絡をとることができるわ。使いたい時は腕輪を擦りながら口笛を吹いてみて。ただし、3回使うと壊れちゃうから気を付けてね。」
「有難う。」
健は何か聞いたことのあるような話だなと思いながらエルフの女から腕輪を受け取って左腕にはめた。
「あ、思い出した。そういえばドロップも似たようなことを言っていたな。彼女の場合は頭の中で思うだけでよかったし、確か森の中だけって言ってたけど。」
「あら、そんなお友達がいるのね。」
「そうだよ。彼女は妖精なんだけどね。すっかり忘れてたけど、この後、会いに行ってみようかな。あと、そう言えば、君の名前を聞いてなかったね。今さらだけど教えてくれないか。俺は健だよ。」
「いいわよ。私の本当の名前は・・・って言うんだけど多分、あなたは聞きとれないでしょうね。だから、レイニーでいいわよ。」
確かに彼女の口にした名前はまるで美しい小鳥がさえずっている鳴き声にしか聞こえず、健にはよく分からなかった。
「オッケー、レイニー。本当に色々有難う。すまないが、そろそろチビ助を起こして来てくれないか。」
「あら、もう夜になったし、せっかくだから今日はここに泊まっていったら。」
確かに窓の外は真っ暗であった。当然、夜の森を進むのは昼より危険が多いので、できれば避けたかったのだが、自分から泊めてくれと言うほどは図々しくはなれなかったのだ。それがエルフの女の方から提案してもらえたので断る理由はない。
「そう言ってもらえると、すげえ助かる。じゃあお言葉に甘えさせてもらうかな。」
「気にしなくていいわ。使ってない部屋がいくつかあるのよ。とりあえず、あの子を先に部屋に連れて行くわね。」
そう言うとエルフの女はカウンターの奥のドアを開けて中に入って行った。しばらくして、エルフの女が戻って来て泊まる部屋に案内してくれた。
「まださっきのことを気にしているの。」
「ああ、一人でいる時にああいう状況になったらどう対応すればよいのかまだ解決策が思い浮かばなくて。」
「あら、真面目ねえ。あの状況から一人で抜け出せるのはこの世界の中で100人はいないと思うわよ。」
「そうなのか。あんたは当然、その1人なのかい。」
「まあ、そうなるわね。」
その返事を聞いて、健は素直に目の前の強者を尊敬することができた。さらに、こんな実力者と知り合いになれたことをとても幸運だと思った。
「そうだ。これからまた森の中を探索するんでしょ。怖い思いをさせたお詫びにこれをあげるわ。」
エルフの女は恐らく何かの動物の骨で作られた象牙色の腕輪を健に差し出した。腕輪には様々な植物の模様が彫られている。
「これを使えば、森の中に限らず、どこにいても私と連絡をとることができるわ。使いたい時は腕輪を擦りながら口笛を吹いてみて。ただし、3回使うと壊れちゃうから気を付けてね。」
「有難う。」
健は何か聞いたことのあるような話だなと思いながらエルフの女から腕輪を受け取って左腕にはめた。
「あ、思い出した。そういえばドロップも似たようなことを言っていたな。彼女の場合は頭の中で思うだけでよかったし、確か森の中だけって言ってたけど。」
「あら、そんなお友達がいるのね。」
「そうだよ。彼女は妖精なんだけどね。すっかり忘れてたけど、この後、会いに行ってみようかな。あと、そう言えば、君の名前を聞いてなかったね。今さらだけど教えてくれないか。俺は健だよ。」
「いいわよ。私の本当の名前は・・・って言うんだけど多分、あなたは聞きとれないでしょうね。だから、レイニーでいいわよ。」
確かに彼女の口にした名前はまるで美しい小鳥がさえずっている鳴き声にしか聞こえず、健にはよく分からなかった。
「オッケー、レイニー。本当に色々有難う。すまないが、そろそろチビ助を起こして来てくれないか。」
「あら、もう夜になったし、せっかくだから今日はここに泊まっていったら。」
確かに窓の外は真っ暗であった。当然、夜の森を進むのは昼より危険が多いので、できれば避けたかったのだが、自分から泊めてくれと言うほどは図々しくはなれなかったのだ。それがエルフの女の方から提案してもらえたので断る理由はない。
「そう言ってもらえると、すげえ助かる。じゃあお言葉に甘えさせてもらうかな。」
「気にしなくていいわ。使ってない部屋がいくつかあるのよ。とりあえず、あの子を先に部屋に連れて行くわね。」
そう言うとエルフの女はカウンターの奥のドアを開けて中に入って行った。しばらくして、エルフの女が戻って来て泊まる部屋に案内してくれた。
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