立日の異世界冒険記

ナイトタイガー

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0024.無限の可能性

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 健は目を瞑ったまま魔法の短剣に自分の気持ちをこめ続けていくうちに、短剣の光の刃が大きくなっていくのが自然に感じられるようになった。短剣が自分の意思に応えてくれるのがとても心地よい。健はもっともっと大きくさせようという感覚になっていた。
「ストップ。もういいわ。」
 残念ながら、エルフの女が幸せの時間を停めた。健が目を開けると、魔法の短剣の光の刃はあわや部屋の壁を突き破らんばかりに伸びていた。
「今度は、気持ちを落ち着けて短剣の刃を小さくするイメージを頭に思い描いて。ゆっくりとね。目は開けてていいわ。」
 健は言われた通りに魔法の短剣に小さくなるように気持ちをこめた。今度は、一発で短剣の光の刃がスルスルと小さくなっていった。
「そうそう。その感じでいいわ。最後は灯りを消すイメージで終わらせてみて。」
 エルフの女のアドバイスはとても的確であり、見事に短剣の光の刃を消すことができた。
「すげえな。この短剣もすげえし、あんたの教え方もビックリする位に上手だ。」
「ふふふ、褒めていただいて光栄ね。ただ、短剣に選ばれたあなただからこそできたのよ。それから、その短剣の真の力はそんなものじゃないわ。この先、時間があったらたまに今のような練習をするとしてみて。形も色々変えてやってみるといいわ。」
「分かった。」
「とりあえず、今日のところはこれだけでいいわ。有難う。また、この近くに来た時は色々と研究に協力してね。」
「オッケー。」
 健は無限の可能性を秘めた魔法の短剣を鞘にしまった。よし、これで現実世界に戻る目的を達成する為に、異世界をあちこち旅できるぞ。自信のついた健が、チビ助のことを思い出してふと横を見ると満腹になった龍が気持ち良さげに寝ていた。
「うーん、チビ助にはすげえ世話になってるし、このまま少し眠らせておいてやりたいな。ここでしばらくこうしてていいかい。」
「勿論、いいわよ。あと、良かったら棚にある本を読んでみたらどう。相性がよければ読むだけで魔法を覚えられる場合もあるのよ。」
「えー、マジで。ちょっと読んでみるかな。」
 健は部屋の奥の中央に置かれている1番大きな本棚の前に立ち、並んで立ててある本の題名を順に見てみた。エルフの女の言葉の魔法のおかげで本の半数は題名を読めたが、本の残りの半数は魔法の文字で書かれているのか読むことができない。
 その中でまず、興味が湧いたのは世界の勢力図という題名のうす汚れた灰色の本だ。本を開いてみると、世界地図が4色で描かれている。茶色は恐らく陸地、青が海、あと何だか分からないが赤と黒でも塗り分けがされている。読み進めると、人間型の生き物を含めて様々な種族と動物等の絵を見ることができた。さらに見ていくと悪魔のような絵が出てきた。何か異様な雰囲気があり、健はページをめくる手を止めた。
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