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0021.音の小瓶
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皆で小屋に戻ると、エルフの女はガラスの小瓶を健に差し出した。龍はエルフの女から聞いた説明を健に伝える。
「さっきの木にやったのと同じように瓶の中に入れてみてって。」
「え。瓶が高速振動するだけだし、下手したら割れちゃうかもよ。」
「何か魔法がかけてあるから大丈夫みたい。」
健が半信半疑で見えない橙色の音を小瓶の中に流し込むと、エルフの女の言うように小瓶は振動せず、不思議なことが起こった。何とガラスの小瓶の中で美しい橙色の何かが光っている。まるで小さい宇宙がガラスの小瓶の中に閉じ込められているようだ。
「こんなことができるのか。」
健は、できあがった小瓶の美しさとエルフの女の魔法にビックリした。エルフの女は健から小瓶を受け取ると、恐らくこちらも魔法のかかっているであろうコルクの栓をした。エルフの女は満足そうにできあがったガラスの小瓶を査定している。
「金貨一枚と交換してくれるって。あと2、3本やってくれないかって言ってるよ。」
「すごいな。そんなにもらえるなら勿論、やるよ。」
そう言うと、健はさらに3本のガラスの小瓶に見えない橙色の音を流し込んでエルフの女に渡した。エルフの女はニッコリと微笑み、健に金貨を4枚くれた。
「この異世界のお金の価値は分からないけど、さすがに金貨があれば何でも買えるんだよな。」
思いがけない臨時収入に喜んで、健が期待しながら龍に聞いた。龍はエルフの女と少し話してから教えてくれた。
「僕は龍だから人間世界のことは全然分からないけど、彼女に聞いてみたよ。金貨1枚で銀貨10枚、銀貨1枚で銅貨10枚になるって。普通の村だと宿で一泊すると銅貨2枚で、居酒屋で食事すると銅貨1枚のことが多いって。」
「ふむふむ。」
「あと、彼女の店でも欲しい物があれば、今貰った金貨で買い物していいって言ってるよ。」
「分かった。ちょっと色々見てみたいものがあったんだよ。」
健は小屋に入った時から気になった棚に向かった。その棚の上には美しい短剣が飾ってあったのだ。柄と十字の鍔は黄金色であり、鍔の真ん中には緑色の宝石が輝いている。健はまるで自分に訴えかけているかのようなその短剣に魅了された。手にとってみてもまるでオーダーメイドのようにしっくりとくる。
「これが気に入ったんだが、金貨4枚どころじゃなさそうだよな。」
健が短剣に夢中になっている様子を見てエルフの女は少し表情を変えて何かを言った。
「この店で、その短剣に普通に触れた人を初めて見たって驚いてるよ。」
「どういう意味だ。」
「何か呪いがかかっているみたいで、今まで触ろうとした人は指を切ったり、短剣を落としたり、転んだりしてまともに触れないみたい。そもそも今みたいに光り輝いていないし、酷い時には錆だらけになって錆臭い臭いを出すんだって。だから、奇跡的に短剣に気に入られたんじゃないかって彼女はとても不思議がってるよ。」
「えー、本当かよ。」
そんなに危険な物を飾っておくなよと思いながらも健は、短剣に気に入られたって言われたことが嬉しかった。
「さっきの木にやったのと同じように瓶の中に入れてみてって。」
「え。瓶が高速振動するだけだし、下手したら割れちゃうかもよ。」
「何か魔法がかけてあるから大丈夫みたい。」
健が半信半疑で見えない橙色の音を小瓶の中に流し込むと、エルフの女の言うように小瓶は振動せず、不思議なことが起こった。何とガラスの小瓶の中で美しい橙色の何かが光っている。まるで小さい宇宙がガラスの小瓶の中に閉じ込められているようだ。
「こんなことができるのか。」
健は、できあがった小瓶の美しさとエルフの女の魔法にビックリした。エルフの女は健から小瓶を受け取ると、恐らくこちらも魔法のかかっているであろうコルクの栓をした。エルフの女は満足そうにできあがったガラスの小瓶を査定している。
「金貨一枚と交換してくれるって。あと2、3本やってくれないかって言ってるよ。」
「すごいな。そんなにもらえるなら勿論、やるよ。」
そう言うと、健はさらに3本のガラスの小瓶に見えない橙色の音を流し込んでエルフの女に渡した。エルフの女はニッコリと微笑み、健に金貨を4枚くれた。
「この異世界のお金の価値は分からないけど、さすがに金貨があれば何でも買えるんだよな。」
思いがけない臨時収入に喜んで、健が期待しながら龍に聞いた。龍はエルフの女と少し話してから教えてくれた。
「僕は龍だから人間世界のことは全然分からないけど、彼女に聞いてみたよ。金貨1枚で銀貨10枚、銀貨1枚で銅貨10枚になるって。普通の村だと宿で一泊すると銅貨2枚で、居酒屋で食事すると銅貨1枚のことが多いって。」
「ふむふむ。」
「あと、彼女の店でも欲しい物があれば、今貰った金貨で買い物していいって言ってるよ。」
「分かった。ちょっと色々見てみたいものがあったんだよ。」
健は小屋に入った時から気になった棚に向かった。その棚の上には美しい短剣が飾ってあったのだ。柄と十字の鍔は黄金色であり、鍔の真ん中には緑色の宝石が輝いている。健はまるで自分に訴えかけているかのようなその短剣に魅了された。手にとってみてもまるでオーダーメイドのようにしっくりとくる。
「これが気に入ったんだが、金貨4枚どころじゃなさそうだよな。」
健が短剣に夢中になっている様子を見てエルフの女は少し表情を変えて何かを言った。
「この店で、その短剣に普通に触れた人を初めて見たって驚いてるよ。」
「どういう意味だ。」
「何か呪いがかかっているみたいで、今まで触ろうとした人は指を切ったり、短剣を落としたり、転んだりしてまともに触れないみたい。そもそも今みたいに光り輝いていないし、酷い時には錆だらけになって錆臭い臭いを出すんだって。だから、奇跡的に短剣に気に入られたんじゃないかって彼女はとても不思議がってるよ。」
「えー、本当かよ。」
そんなに危険な物を飾っておくなよと思いながらも健は、短剣に気に入られたって言われたことが嬉しかった。
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