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0016.ゴブリン達の復活

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 龍がまたよく分からない言葉で冒険者達に話しかけると、弓使いが顔を真っ赤にして怒り出し、何か喚き始めた。
「おい、状況が悪化してないか。」
「そうかも。僕はこういう状況の説得は苦手みたいだよ。アハハ。」
「アハハじゃない。」
 最悪のケースを想定して健が身構えた瞬間、4人組の冒険者達の後ろの地面が盛り上がり、大きな山のような塊が出現した。見た目は超大型のゴブリンだが、明らかに身体中が腐っており、片目も眼球のあるべき穴から外に垂れ下がっている。その正体はゴブリンゾンビロードであった。ゴブリンゾンビロードが低く重量感のある唸り声をあげると、4人組が先程倒したゴブリン達が次々とゴブリンゾンビになって起き上がってきた。
 急展開の状況を目にした4人組の冒険者は、さすがに経験豊富なだけあり、互いに短い言葉を交わすと、素早く体制を整えて新たに現れたゴブリンゾンビロードと大量のゴブリンゾンビ達に備えた。
「今のうちに逃げるか。」
 健が龍に声をかけると、龍はまん丸いお目々をクリクリとさせて答えた。
「チャンスかも。」
 健はその場からジリジリ後退りしながら疑問を口にした。
「でもあのデカいの強そうだな。アイツら大丈夫かな。」
「全滅すると思うよ。」
「え。どっちが。」
「4人組だよ。ゾンビは動きは遅いと思うけど、あそこまで囲まれていたら逃げ場がないかも。それにあの大きいのはタフで力が強い上に腐敗毒の遠距離範囲攻撃もあるみたいだよ。」
 健は龍の顔をマジマジと見つめた。こんなに可愛い顔をした赤ちゃんみたいな見た目なのに知識もあり、メチャクチャ冷静に分析できる龍の知能の高さを思い知った。あと、健に対してはすごい親身だが、健以外には非情というか何の感情も持っていない感じがする。
「えー、じゃあ俺らが逃げると奴らを見殺しにするみたいじゃん。」
「そうなっちゃうかも。でもいいんじゃないかな。彼らは僕達を倒そうとしてたみたいだし。」
 龍はすました顔で言い放つ。
「うーん。そんな風に後味が悪いのは嫌だなあ。」
「彼らを助けたいの。」
「どうしようかな。奴らを助けたら何か情報がもらえるかもしれない。」
「助けた後にまた襲ってくるかもしれないよ。」
「そう言われればそうなんだが。あ、そもそも俺の今の力じゃあのゾンビ共は倒せないんだが、助けるとなったらチビ助は力を貸してくれるかい。」
 健が今使える能力はゾンビ相手に大して役立ちそうもない。いくつかある最終兵器とも言える能力ならいけるかもしれないが、命綱なので迂闊には使えない。
「勿論、健の為なら何でも協力しちゃうよ。」
 龍は犬のように尻尾を振りながら答えた。
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