立日の異世界冒険記

ナイトタイガー

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0014.森の探索

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 予想外のところで現実世界の手がかりを手に入れた健は、少し希望を感じた。が、同時に龍が昔仲良くなったという別世界のユウの結末も気になった。彼はどうなったのだろうか。現実世界に帰れたのだろうか。この先、機会があれば彼のことも是非、調査してみよう。
 健が焚き火を後にして森の中を龍と進んで行くと、途中でバサバサと音がして鳥が羽ばたいて逃げて行くのが見えた。健は咄嗟に見えない青い音を放った。見事、命中して鳥はその場で落下する。すぐにチビ助が華麗に飛び立ち、鳥を咥えて戻って来た。まるで狩猟犬のようだ。
「そんなに素早く、飛び回れるんだ。」
「龍はね。飛翔能力も優れているんだよ。」
 これまでの子供っぽいセリフから、一点して知能の高そうな発言だ。やはり、龍はあなどれないな。健は心で思った。捕まえてきた鳥は、とりあえずそのまま持って行く事にした。今晩の夕飯かな。
 道すがらチビ助と会話すると、龍は色々できると言う事を教えてもらった。なんと言っても炎を吐くことができるらしいのが便利だ。サバイバル生活の面では火起こしをする必要がなくなるのが最高だ。早速、実験的に先程獲った鳥に炎を吹きかけてもらった。龍の炎は想像を絶する火力であり、鳥は一瞬にして真っ黒な消し炭になった。
「うーん、やはり料理に直接は使えないな。焚き火の火起こしだけかな。」
「ごめんね。」
 龍は申し訳なさそうに誤った。
「いいよ、いいよ。その火力は敵と戦うにはすごい役立ちそうだ。」
「そうかな。ふふーん。」
 龍は得意気になった。知能はとても高そうだが、やはり赤ちゃんだなと健は思った。
 龍と色々雑談しながら進んで行くと、しばらくして道のようなものが現れた。獣道というよりは人が通っていそうな道だ。
「この森には人が来るのか。」
「僕もこの森には最近来たばかりだからよく分からないけど、森には冒険者用の道がある事も多いよ。」
 道があるのは有難いが、フードの男達の例もあるし、人と出会うのが良いとは限らない。それに俺はこの世界の人の言葉が話せない。ふと疑問が頭をよぎった。
「チビ助は、この世界の人の言葉は話せるのか。」
「ユウと一緒に旅をした時に多少は覚えたよ。でも僕がいると皆、驚くし、話すともっと驚くみたいだよ。」
 そう言えばチビ助は一応、龍なんだった。俺も驚いたし、そりゃ皆驚くよな。でも他の人とコミュニケーションをとれないとこの先やっていくのが厳し過ぎる。この異世界の言葉を早く覚えないといけないな。恐らく、現実世界と同様にこの異世界にも沢山の言語があると思うが一番メジャーな言語だけでも覚えたい。
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