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0007.野獣の襲撃
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「めちゃうめえ。」
健は思わず叫んだ。皮を剥いた果物の実は明るい茶色をしており、その味はもう茹でた後のジャガイモとほとんだ同じだ。生なのにホクホク感がたまらない。
「バターがあれば最高だったな。」
腹の減った健は次の一口が待ち切れなかったが、万が一に備えて、一口目から1時間は様子見してみることにした。落ちていた棒を地面に突き差し、その時の棒の影の位置に印を付ける。1時間経ったら棒の影の位置が約15度移動するはずだ。
待つのは辛いぜと思いながら健は食べかけの果物を地面に置いて寝転んだ。次の瞬間、背後の木の陰から巨大がものすごい勢いで突進してきた。直近で色々と良いことがあって浮かれていた健は完全に油断していた。
巨大な影は異世界の野獣であるブルレートであった。ブルレートは、全体的には重量感のあるイノシシのフォルムをしているが、サイのように鋭い湾曲した角を頭に2本も生やしている。尻尾もネコ科の動物でよく見られる長くフサフサした尻尾になっているのが特徴的だ。
健はブルレートが一直線に健に向かってきているのに気付くのがかなり遅れたが、気付いた瞬間に身を捩って奇跡的にその攻撃を避けることができた。ブルレートの角は木に突き刺さり、その衝撃で木は激しく揺れて折れ曲がり、勿体ないことに生っていた果物が沢山落ちてきた。
ブルレートは木から健に向き直して睨みつけている。体勢を整えた健は間髪入れずにブルレートに見えない青の音と緑の音を放った。目と耳をやられたブルレートは耳をつんざかんばかりの大きな咆哮を発すると何も見えないまま、健がいたはずの場所に突進してきた。
勿論、そうすることが分かりきっていた健は元いた場所から移動済みである。ブルレートはまた別の木に突進し、衝突した勢いでその木をなぎ倒した。分厚い肉の鎧に包まれた本体はノーダメージのようだ。
健はジャガイモ味の大きな果物をふりかざし、状況が把握できずにとまどっているブルレートにぶち当てた。果物は真っ二つに割れたが、予想通りにブルレートには微塵も効きやしない。
「参ったな。手詰まりだ。」
さしあたり、危険はなくなったが、こちらもトドメがさせない。最終兵器といえる能力はあるにはあるが、リスクも大きく、また、誰が見ているか分からないこの状況で使うわけにはいかない。この異世界で能力は本当に命綱なのだ。
手をこまねいている健が立ちすくんでいると、遠くからガヤガヤと騒がしい音が聞こえてきた。どうやら何者かが大勢こちらに向かってきているようだ。この異世界で味方は想定できないので、ほぼ確定に敵だろう。健は急いで音と反対方向に走り出した。
健は思わず叫んだ。皮を剥いた果物の実は明るい茶色をしており、その味はもう茹でた後のジャガイモとほとんだ同じだ。生なのにホクホク感がたまらない。
「バターがあれば最高だったな。」
腹の減った健は次の一口が待ち切れなかったが、万が一に備えて、一口目から1時間は様子見してみることにした。落ちていた棒を地面に突き差し、その時の棒の影の位置に印を付ける。1時間経ったら棒の影の位置が約15度移動するはずだ。
待つのは辛いぜと思いながら健は食べかけの果物を地面に置いて寝転んだ。次の瞬間、背後の木の陰から巨大がものすごい勢いで突進してきた。直近で色々と良いことがあって浮かれていた健は完全に油断していた。
巨大な影は異世界の野獣であるブルレートであった。ブルレートは、全体的には重量感のあるイノシシのフォルムをしているが、サイのように鋭い湾曲した角を頭に2本も生やしている。尻尾もネコ科の動物でよく見られる長くフサフサした尻尾になっているのが特徴的だ。
健はブルレートが一直線に健に向かってきているのに気付くのがかなり遅れたが、気付いた瞬間に身を捩って奇跡的にその攻撃を避けることができた。ブルレートの角は木に突き刺さり、その衝撃で木は激しく揺れて折れ曲がり、勿体ないことに生っていた果物が沢山落ちてきた。
ブルレートは木から健に向き直して睨みつけている。体勢を整えた健は間髪入れずにブルレートに見えない青の音と緑の音を放った。目と耳をやられたブルレートは耳をつんざかんばかりの大きな咆哮を発すると何も見えないまま、健がいたはずの場所に突進してきた。
勿論、そうすることが分かりきっていた健は元いた場所から移動済みである。ブルレートはまた別の木に突進し、衝突した勢いでその木をなぎ倒した。分厚い肉の鎧に包まれた本体はノーダメージのようだ。
健はジャガイモ味の大きな果物をふりかざし、状況が把握できずにとまどっているブルレートにぶち当てた。果物は真っ二つに割れたが、予想通りにブルレートには微塵も効きやしない。
「参ったな。手詰まりだ。」
さしあたり、危険はなくなったが、こちらもトドメがさせない。最終兵器といえる能力はあるにはあるが、リスクも大きく、また、誰が見ているか分からないこの状況で使うわけにはいかない。この異世界で能力は本当に命綱なのだ。
手をこまねいている健が立ちすくんでいると、遠くからガヤガヤと騒がしい音が聞こえてきた。どうやら何者かが大勢こちらに向かってきているようだ。この異世界で味方は想定できないので、ほぼ確定に敵だろう。健は急いで音と反対方向に走り出した。
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