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0006.巨大な黒い影
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「勿論、いいわよ。」
妖精は健の周りを飛び回った。
「そろそろ行かなくちゃ。私は皆に内緒で散歩してたの。あまり長いと皆が探しに来ちゃうわ。」
「そうか、残念だ。また会えるかい。」
「ええ、私の名前はドロップ。私に会いたくなったらドロップって呼んで、強く想ってくれたらあなたの声が私に届くわ。森の中ならどこでも大丈夫なはず。」
「OK、ドロップ。また会おう。」
「それじゃあね。」
妖精はいたずらっぽくウインクすると、フワフワと飛んで行った。
さてと、早く川に行かないと。健は川の方向に進んで行った。期せずして妖精の友達ができて、異世界に来て初めて少し楽しくなってきた。気分が良いので調子に乗って、どんどん進んで行くとはっきりと耳で聞こえる位、川の流れる音が聞こえてきた。
そしてついに川に辿り着くと、健は我を忘れて両手で川の水をすくい、ガブガブと飲んだ。とても澄んでいてほどよく冷たい川の水はとても最高だ。ふーっ生き返った。次は食料探しだ。
「しまった。ドロップに森で何が食べれそうか聞いておけば良かったな。」
たった今帰って行ったばかりだし、さすがにすぐに呼び出すわけにはいかない。仕方ない何か果物かキノコか食べれそうな物を探しに行こう。まったくの勘で方向を決めると健は森の中の木や草を観察しながら歩き出した。
幸いにして森の中の気温はちょっと暖かい感じであり、寒冷地域の気候よりはどちらかというと熱帯地域の気候に近い気がする。現実世界であれば熱帯地域の方が果物も豊富だし、恐らくここでもそれは同じはずだ。健は周囲の木の上と下を満遍なく見回しながらどんどん進んで行く。
ズンズン進んで行く健は気付かなかったが、実は少し離れた背後の木の陰に山のように巨大な黒い影が静かに現れて健の様子を伺っていた。見るからに敵意を剥き出しにしているが、健に気付かれないように細心の注意も払っている。
20分ほど進んだところで健は大きな黄色い楕円形の果物が沢山実っている木を前方に見つけた。あれはいけるんじゃないか。木の幹は緑色っぽく、バナナの木に似ている気がする。健は木の下に行って色んな位置にある果物を観察した後、目星をつけた1つの果物の根元にめがけて見えない青い音を飛ばした。ミシミシと音がして果物の根元は裂け始め、自重に耐えきれずに最後には完全に裂け切れた。
「よっと。」
落ちてきた果物をうまいことキャッチすると、健は楕円形の果物の重量感に喜んだ。これが食べれたら、当分の間、食料には困らないぞ。さて、どうするか。よく分からないが、確かこういう時は一口だけ食べて大丈夫かどうかある程度の時間待ってみるんだよな。腹が減り過ぎている健は、雑に皮を剥くと大きな一口で果物を頬張った。
妖精は健の周りを飛び回った。
「そろそろ行かなくちゃ。私は皆に内緒で散歩してたの。あまり長いと皆が探しに来ちゃうわ。」
「そうか、残念だ。また会えるかい。」
「ええ、私の名前はドロップ。私に会いたくなったらドロップって呼んで、強く想ってくれたらあなたの声が私に届くわ。森の中ならどこでも大丈夫なはず。」
「OK、ドロップ。また会おう。」
「それじゃあね。」
妖精はいたずらっぽくウインクすると、フワフワと飛んで行った。
さてと、早く川に行かないと。健は川の方向に進んで行った。期せずして妖精の友達ができて、異世界に来て初めて少し楽しくなってきた。気分が良いので調子に乗って、どんどん進んで行くとはっきりと耳で聞こえる位、川の流れる音が聞こえてきた。
そしてついに川に辿り着くと、健は我を忘れて両手で川の水をすくい、ガブガブと飲んだ。とても澄んでいてほどよく冷たい川の水はとても最高だ。ふーっ生き返った。次は食料探しだ。
「しまった。ドロップに森で何が食べれそうか聞いておけば良かったな。」
たった今帰って行ったばかりだし、さすがにすぐに呼び出すわけにはいかない。仕方ない何か果物かキノコか食べれそうな物を探しに行こう。まったくの勘で方向を決めると健は森の中の木や草を観察しながら歩き出した。
幸いにして森の中の気温はちょっと暖かい感じであり、寒冷地域の気候よりはどちらかというと熱帯地域の気候に近い気がする。現実世界であれば熱帯地域の方が果物も豊富だし、恐らくここでもそれは同じはずだ。健は周囲の木の上と下を満遍なく見回しながらどんどん進んで行く。
ズンズン進んで行く健は気付かなかったが、実は少し離れた背後の木の陰に山のように巨大な黒い影が静かに現れて健の様子を伺っていた。見るからに敵意を剥き出しにしているが、健に気付かれないように細心の注意も払っている。
20分ほど進んだところで健は大きな黄色い楕円形の果物が沢山実っている木を前方に見つけた。あれはいけるんじゃないか。木の幹は緑色っぽく、バナナの木に似ている気がする。健は木の下に行って色んな位置にある果物を観察した後、目星をつけた1つの果物の根元にめがけて見えない青い音を飛ばした。ミシミシと音がして果物の根元は裂け始め、自重に耐えきれずに最後には完全に裂け切れた。
「よっと。」
落ちてきた果物をうまいことキャッチすると、健は楕円形の果物の重量感に喜んだ。これが食べれたら、当分の間、食料には困らないぞ。さて、どうするか。よく分からないが、確かこういう時は一口だけ食べて大丈夫かどうかある程度の時間待ってみるんだよな。腹が減り過ぎている健は、雑に皮を剥くと大きな一口で果物を頬張った。
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