オネェな東宮に襲われるなんて聞いてないっ!

鳩子

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38.わたくし、嫌ですわっ!

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香散見かざみさん……」

 わたくしの声は、本当に、震えていた。

 わたくしに、のしかかる香散見さん。その顔が、よく解らない。どうして、こんなことをなさるのか。急に……?

「お、おねがい……香散見さんっ……」

 わたくしの言葉を聞いた香散見さんは、フッと笑った。

「大丈夫よ、高紀子。どうせ、遅かれ早かれ、アタシたちは、こうなるの。だから、今、抱いても一緒よ。アンタが言う、装束と一緒」

 大分違うと思いますけど! と抗議の声を上げたかったのに、わたくしは、口唇を重ねられていて、答えられない。何度も、角度を変えながら、深く、浅く繰り返される口づけに耐えながら、私は、口づけの合間に、訴える。

「いや……お願い……っ!」

「何がお願いよ」

 香散見さんの声は、冷めていた。というより、冷え切っていた。わたくしは、背筋が、ぞくり、と震えるのを止められなかった。

「アンタは、何でも良いんでしょ? 全部、アタシの言う通りにしろって言うんでしょ? だったら、そうしてやるわよ」

 香散見さんは、乱暴だった。

 わたくしは、頭が付いていかない。香散見さんに、装束を剥ぎ取られて、一糸まとわぬ姿にされたとき、わたくしは、まだ、日が高いと言うことに気がついた。

「か、香散見さ……本当に……こんな、昼間に……っ」

 怖ろしくて声が震える。けれど、香散見さんは、お構いなしだった。わたくしの……幽かな胸のふくらみを、こねくり回す。

「ちいちゃいわねぇ、大丈夫よ。アタシが、大きくしてあげるから……それより、小さくても、感度が良い方が、嬉しいわ」

 香散見さんの指が、わたくしの胸の先端を摘まんで、そこだけをつねったり押したりしている。

 わたくしは、知らなかった。ここを……こんな風に、つねったりすると、自分では触れることが出来ない身体の奥の方が痺れるような感覚がするということを。そして、腰のあたりがざわざわして、そのまま耐えていられなくなって、身をよじってしまう。

「は……あ……」

 思わず漏れた吐息が、濡れている。

 香散見さんが、指でわたくしの胸を弄っていたけれど、それに飽き足らずに、今度は口唇を使ってわたくしの胸を吸ったり歯を立てたりなさるので、私は、限界だった。

「あ……あ……ん……っう」

 どこまで行っても、むずむずするような感覚と、それと、身体の奥の方で、何かが、きゅんっ……と甘くひきつれて、そこから、じんわりと、何かが漏れて溢れるような感覚……。

 わたくしは、堪えきれずに、声を上げてしまった。

 わかった……これが、気持ちイイ……ってことだ。

「声、我慢しなさい。……我慢できないようなら、口になにか、突っ込むわよ」

 思わず漏れてしまうものなのに、我慢しろだなんて酷い。
 
「んっう……っ」

「まあ、良いわよ? 東宮の所の女房で、二条関白家の姫は、日も高い内から、淫らなことをしていた……ってみんなの評判になるだけだから」

 ふふ、と香散見さんは笑う。その意地悪な人の腕に、私は思いきり縋り付いた。胸の突起を、香散見さんが、千切れるほどの強さで噛んできたからだった。

「―――――――ッ!」
 

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