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21.わたくし、限界ですわ
しおりを挟むもう、わたくし、実家へ帰るわ! それが、いけないことだというのならば、自害する。
あの方に振り回されるのは、イヤよ! 我慢が出来ない。
長々しい廊下が、なぜだか歪んで見える。
ああ、そういえば、わたくし、どうやって、宮中まで来たのだった……? 牛車もなく、付き添いも居なくては、わたくしは家へ帰れない。
かえるにはどうしたら良いの?
父様は、宮中に直廬(宮中に執務用のお部屋を賜ったもの)があるたら、そこへ行けば、わたくしの家の者と連絡は付く。けれど、わたくしを、家へ戻してくれるの?
二条関白家は、たぶん、実敦親王よりも、東宮殿下のところへ、わたくしが嫁いだ方が、嬉しいはずだわ。だったら、戻されて、終わり。
わたくし、目から、止めどなく涙が溢れ出てくるのに、やっと気がついた。
廊下に座り込んで、欄干に身を任せて一人で泣いて居る。情けなくて、溜まらなくなった。どなたか見ていたら、どうするの? と思うけれど、我慢が出来なかった。
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