オネェな東宮に襲われるなんて聞いてないっ!

鳩子

文字の大きさ
上 下
12 / 106

12.わたくし、朝からセクハラですか?

しおりを挟む



 ザッ、ザッ……と音がするおとで、わたくしは、眠りから覚めてしまった。全身が、とても温かくて、幸せな感じ。もっと眠っていたかったのに……。

 まだ、寝覚めがしっくりきていないので、ぼんやりしているけれど、まだ、音は聞こえている。

 なにかしら。

「ん? どうしたのよ」

 声がしたので、わたくしは、「へんな音が……」と呟く。

「ああ、あれは、掃部かもんよ。……掃除して回っているの。毎朝、夜明け前から、大変な仕事よ」

「ああ、そうだったのですか……」

 と呟いた時、わたくしは、急に目が覚めた。

「と、と、東宮殿下っ!」

 わたくしの口を、東宮殿下が塞ぐ。しっかり、ごつごつした、オトコの方の手だ。

「はーい、オハヨ! 高紀子! ……って、騒ぎすぎよ、アンタ! ……いいこと? 今日からアタシのことは、ちゃんと、香散見かざみって呼ぶのよ?」

「はい、わかりました……」

 とお返事申し上げたけど、良く見たら、わたくし、東宮殿下の腕に抱きしめられたまま、眠ってしまったのね!

 普段は、女性の姿をしていらっしゃるのに、身体は、逞しい。厚い胸板に顔を押しつけられて、わたくしは、息苦しくなってしまった。それに、密着しすぎです!

 東宮殿下の足は、わたくしの脚に絡んでいるし。逃げようにも絶対に逃げられない体勢になって居る。

「高紀子は、いつも、こんなに朝が早いの?」

 東宮殿下はわたくしの耳許で聞く。低くて、まろやかなお声だった。……それは良いのだけれど、吐息や、やわらかな口唇が耳朶に当たるのが、困る。

「いいえ……? もっと、遅いです。今日は、掃部の方の掃除の音で、目が覚めてしまって」

「ああ、慣れないものね」

 東宮殿下は、納得して、わたくしをさらに、ぎゅっとご自身の身体に引き寄せた。

「東宮殿下、苦しいですっ!」

「そう? ……アタシは、もっと、密着しても良いんだけど……ね」

 東宮殿下が、脚を、わたくしに押しつけるように動かした。わたくし、ぼっと、顔から火が出るのではないかと思うほど、恥ずかしくなった。東宮殿下の……脚の付け根……のあたり。女性には、絶対にない、熱くて固い感触がした。

「や、……止めて下さい……恥ずかしいです」

「そう? ……これは、恥ずかしいことも、怖いこともないのよ?」

 東宮殿下は、わたくしの手をとって、そこ・・へわたくしの手を、持って行った。熱くて……脈打つ、棒状の器官。わたくしの手よりも、大きいように思えた。

「これはね。とっても素直な場所だから、……アタシの身体は、アンタがほしくて、こんな風に、脈売ってるって言うわけ」

 ほしくて、というあけすけな言葉に、気が遠くなりそうだった。わたくしの、身体に……、これが?

 おそらく、世の女の方は、みんな入っているのだから、ちゃんと入るのだろうけれど……、それでも、本当に入るのかどうか、疑わしくなる。どうなのかしら。

 でも、それより……わたくしは、まだ、気持ちの整理が付かないのに!

 実敦さねあつ親王を裏切って、この方に入内するのは、仕方がないわ。でも、入内もまだなのに!

「アンタの手が小さすぎるの。……アタシのは、至って、普通の大きさよ。……大分昔、女帝だった頃にね、僧と逢い引きしていた女帝が居たらしいわよ」

「え? そうなんですか?」

 急に、なぜ、昔の女帝の話になったのか解らずに戸惑っていると、東宮殿下は、にんまりとお笑いになった。

「そ。その僧が凄い巨根の持ち主でね……『道鏡は座ると膝が三つ出来』なんて言われてたわよ?」

 最初、わたくしも意味がわからなかったのだけれど、「これよ。これ」とわたくしの手を上から包み込んで、ぎゅっと『それ』を握らせたので、意味がわかった。

 もう、どうして、朝から、こんなお話しをしなければならないのだろう。

 わたくしは、すこし、絶望的な気分になっていた。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

処理中です...