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わたくし、納得できませんわよ!
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さて、やはり問題は、香散見さんで。
「ちょっと! アタシは、絶対に、主上のところになんか行かないからねっ! しかも、この格好って、一体、なんなのよっ!」
とまあ、このような調子なのだ。
「だいたい、なんで、主上が、アタシのこの姿を知ってるのよ!」
そんなことは! 知りませんとも。わたくしだって、腰が抜けるほど驚いたのだし。
「主上は、なんでもお見通しなのではありませんか? それに、血の繋がった親子ということもありましょうし。
ほかの方よりも、香散見さんのことをご存じでも、不思議なことではありませんわ」
多分、主上のお耳には、わたくしたちが想像するよりずっと些末なことが、上がってくるのだと思う。
それは、ここ数日、おそばでお仕えしたからよくわかるけれど、上奏されてきた書簡のなかには、どこそこのお寺の本堂を改築するのに、主上に宸筆を染めて頂いて偏額にしたいだとか、本当にこまごましたことまで多岐に亘っていて。
正直なところ、こんなの、もっと役所でなんとか出来ないものかと思うし、対面こそしないけれど(御簾越しの上に、相手は、地面の上で平伏している)、地方任官の出立の挨拶を受けたりと、まあ、なにかと、主上の一日はご多忙なのだ。
その合間に、香散見さんの事を耳にしていても、なんの不思議なこともない。
「どうせ、主上に逆らうのなんて、無理なのですから、諦めて、明日は朝一番に、御前に参上なさいませ!」
「いーやーよーっ! どこに、女装姿を見せたい息子がいるのよ!」
「どうせ、そのお姿で御所内を自由に歩いておいでだったのですから、大丈夫ですわよ!
明日は、わたくしが、外の方からは見えないように、扇で隠して差し上げますから!」
わたくしを、香散見さんは、睨み付ける。
「ちゃんと、見えないようにしてくれるんでしょうね?」
「ええ、邸の女房、総動員、五十名体制で、隠して差し上げますから、ご安心なさいませ!」
わたくしの必死な説得に、香散見さんは、「じゃあ、仕方がないわね。でも、アンタが、絶対にアタシを護るのよ? 護らなかったら許さないから!」と、納得して下さったけど、わたくしは、納得出来ない気分になりましたわよ。
「ちょっと! アタシは、絶対に、主上のところになんか行かないからねっ! しかも、この格好って、一体、なんなのよっ!」
とまあ、このような調子なのだ。
「だいたい、なんで、主上が、アタシのこの姿を知ってるのよ!」
そんなことは! 知りませんとも。わたくしだって、腰が抜けるほど驚いたのだし。
「主上は、なんでもお見通しなのではありませんか? それに、血の繋がった親子ということもありましょうし。
ほかの方よりも、香散見さんのことをご存じでも、不思議なことではありませんわ」
多分、主上のお耳には、わたくしたちが想像するよりずっと些末なことが、上がってくるのだと思う。
それは、ここ数日、おそばでお仕えしたからよくわかるけれど、上奏されてきた書簡のなかには、どこそこのお寺の本堂を改築するのに、主上に宸筆を染めて頂いて偏額にしたいだとか、本当にこまごましたことまで多岐に亘っていて。
正直なところ、こんなの、もっと役所でなんとか出来ないものかと思うし、対面こそしないけれど(御簾越しの上に、相手は、地面の上で平伏している)、地方任官の出立の挨拶を受けたりと、まあ、なにかと、主上の一日はご多忙なのだ。
その合間に、香散見さんの事を耳にしていても、なんの不思議なこともない。
「どうせ、主上に逆らうのなんて、無理なのですから、諦めて、明日は朝一番に、御前に参上なさいませ!」
「いーやーよーっ! どこに、女装姿を見せたい息子がいるのよ!」
「どうせ、そのお姿で御所内を自由に歩いておいでだったのですから、大丈夫ですわよ!
明日は、わたくしが、外の方からは見えないように、扇で隠して差し上げますから!」
わたくしを、香散見さんは、睨み付ける。
「ちゃんと、見えないようにしてくれるんでしょうね?」
「ええ、邸の女房、総動員、五十名体制で、隠して差し上げますから、ご安心なさいませ!」
わたくしの必死な説得に、香散見さんは、「じゃあ、仕方がないわね。でも、アンタが、絶対にアタシを護るのよ? 護らなかったら許さないから!」と、納得して下さったけど、わたくしは、納得出来ない気分になりましたわよ。
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