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コルナダにて

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「……」


「……」


部屋に帰ったあと、お互いそれぞれのベッドに座る。


……うん、忘れてた。部屋一緒だったね。


ご飯を食べるまでは疲労と食欲で気力がゼロで考える余裕なんてなかったが……今は全回復したといっても過言じゃない。それほどあの料理は美味かった。


ただ……そのせいで意識してしまう、考えてしまうのだ。この女の子と一緒の部屋という状況を。


「は、はは。明日はどうしよう」


意識しないようにして、適当に何か話そう。


「……」


樹はいつものように言葉を発する事はなかったが。


無言は無言でもこれは気が気でない無言だ。顔赤いし。……意識、してるの?


「……」


樹の無言に押される。


落ち着け俺、今まで色々あっただろ?それこそ一緒の部屋で樹が添い寝したり膝枕してくれたり。


それに比べればこんなもの……


「……」


俺の前には、ベッドに小さく座り、顔を赤くしながらこちらをちらちらと見る樹。


目が合うとすぐに俯き、いっそう顔を赤くする。


以下繰り返し。



……駄目だ。無理。こんなの意識出来ないわけないだろ……


というか今まで色々あったが、それは状況が状況だったからそういう事を考えなかっただけ。


そして色々思い出してしまったせいで、顔が熱くなっていくのを感じる。


………これはいけない。寝れるのか俺は。


「そ、そうだ、先俺体洗ってくるよ。良いか?」


取り敢えず、一回頭を冷やしてこよう。


俺は替えの服と、部屋に用意されていたタオルを持って小さな浴室に逃げるように移動した。


―――――――――――


当然だが、王宮と違いお風呂のシステムは違う。


浴槽なんてものはなく、水道と桶とタオルがあるだけだ。


桶に水を入れ、タオルを桶に入れて濡らしてから体を拭いていく。


桶が意外と高性能で、魔力を流すと中央についている石に熱が宿り水が温かくなるため、冷たい水のままってことは無かった。


この世界は魔力が必要不可欠で、魔力があって当たり前の生活を送っているんだろう。


……前の世界で言う電気みたいなものだろうか?ちょっと違うが、便利であることに変わりないよな。


この桶みたいに魔力を流すと水が暖まったりするような便利な道具が溢れているなら、案外生きやすそうな世界ではある。


……


だめだ、何か別の事を考えても胸の動悸が収まらない。


……これ以上いても樹が迷惑するし、出るか。


―――――――――


「樹、上がったよ。ちょっと王宮と違うから気を付けてな」


「……」


樹は頷くと俺と同じように浴室へ入っていった。


俺が入る前に比べると樹は元の顔色に戻っていた気がする。


……樹はもう意識とかしてないんだろう。はは 

、まあ俺だしな。


さて俺は明日の用意でもしよう。スタッフよし、鞄よし服よし。


小さな鎧とかもいずれ買いたいが今日の調子なら魔力を纏えば何とかなるし、稼いでからでいいだろう。


そんな感じで俺はいいが、樹にはローブ的な服を買ってあげないとな。この世界の事だから、魔法の威力が上がる服とかあるだろう。


魔力を流すと防御性能が上がる服とかあれば、樹にぴったりだろう。なんたって魔力量が半端じゃないからな。




……あれ、それだと前衛の俺いらなくない?


駄目だ駄目だ考えるな、明日からは本格的に冒険者として生活するんだ、そうだろ?


よし、そうと決まればじっとしてられん、素振りだ!


――――――――――


……体を動かすってのは良いもので、気付けば気分も大分落ち着いていた。


最初はちょっとやっただけでバテて汗だくだったが、慣れたせいかもう汗一つかくことなかった。


ちょうど終わったぐらいの時に、樹は帰ってくる。



少し濡れた髪に、寝巻きから覗く軽く火照っている綺麗な肌。


初めて見る女の子のお風呂上がりの光景だ。


気付けば俺は、その無防備な姿を凝視していた。



……もう一度言おう、俺寝れるの?


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