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誰が殺した悪役令嬢
誰が殺した悪役令嬢-1
しおりを挟むプロローグ
薄暗い王城の廊下を歩きながら、アリアは溜息をこぼした。
(まったく。こんな時間に呼び出すだなんて、お父様はどうかしているわ)
窓の外は既に夕闇に染まっており、城内にはほとんど人気が感じられない。
聞こえるのはアリアの靴が大理石の床を叩く音だけ。よく磨き上げられた床面にアリアの姿が映り込んでいる。
深緑のドレスを身にまとい、銀色に見えるグレーの髪を一つに結んだ若い娘。
それがアリアだ。
アリアが暮らすこの国は、小国ながら水源が豊かなこともあり、国民の気質はどこかのんびりしている。王城に勤める文官や武官たちも時間が来ればさっさと帰ってしまう気楽さがあった。
ヘイズ伯爵家の令嬢であるアリアは、そんな国民性を愛してはいたが同時に危惧もしていた。
こんなに呑気な性質ではいつか他国につけ入られ、愛すべき国土が戦火に見舞われるのではないか、と。
他国では領土や資源を巡って戦が頻発しているという。
もしそんなことになれば、アリアや家族、そして友人が愛したこの国が土足で踏みにじられてしまう。
考え事をしていたせいで、いつの間にか目的の場所に辿りついていた。
重厚な扉の前に立ち、軽くノックをして声をかける。
「アリアです」
間を置かず、中から入れという声が聞こえたので、遠慮なく扉を開ける。中に入ると、窓を背にして机についている人影が見えた。
銀縁の眼鏡をかけ、アッシュグレーの髪をした壮年の男性がアリアをじっと見ている。
「早かったな」
「早かった、じゃないですわよお父様。こんな時間に王城に来いなどと娘を呼びつけて」
怒っていることを示すように腰に手を当てると、父であるヘイズ伯爵がわずかに目を細めた。
「怒るな。屋敷では相談できないことだからここに呼んだのだ」
口では謝っているが、まったく申し訳なさそうではないのが余計に腹立たしい。
屋敷では相談できないというが、多忙な父とは屋敷で顔を合わせることすら稀だった。
そんな父の突然の呼び出しに、アリアは少し気が立っている。
「それで一体どのようなご用件ですの? 宰相閣下ともあろう御方が、娘に相談などと」
嫌みたらしく閣下と呼びかけると、形のいい父の眉根がきゅっと寄った。
「アリア。お前の長所はその賢さとよく回る口だが、同時に短所でもあることを忘れるな。感情に任せて口を開けばいつか足をすくわれるぞ」
「……」
空気がぴりりと凍りつく。父の指摘はもっともだからだ。
頭に上っていた血がスッと下がる。
いつでも冷静で強くありたいと思っているのに、すぐにこうやって指摘されてしまうのが恥ずかしい。
「……申し訳ありません」
「そこに座りなさい」
促され、部屋の中央に備えつけられたソファに腰を下ろすと、父は向かいのソファに移動してきた。
この国の宰相である父はアリアが幼い頃から忙しく、食事時以外で向かい合ったことは数えるほどしかないので、この状況は少し落ち着かない。
「部下を帰らせたのでなにも出せず、すまないな」
「構いませんわ」
珍しく気遣われていることが不思議で首をかしげてみせると、父はどこか居心地悪そうに咳払いをした。
(よほど話しにくいことのようね。でもお父様が私に相談だなんて一体何事なのかしら)
ヘイズ家はこの国の建国当初から、王家に仕えてきた一族である。
宰相まで上り詰めたのは父が最初だが、それまでも常に高官として政治に関わってきた。
父は幼い頃から神童と呼ばれるほどに優秀で、二番目の娘であるアリアはそんな父によく似ていると周囲から言われていた。
見た目だけではなく才能も抜きん出ていたことから「さすがあのお父様の子ね」と言われることも多い。幼い頃はあまり気にならなかったが、あることをきっかけに勉学に打ち込むようになったせいか、続けて「男子であればどれほどよかったか」と続けられることが増えた。
その心ない言葉に、アリアはいつも苛立つ。
アリアが努力するのは自分のためであって、父のあとを継ぎたいとか、男性のように働きたいというものではないのに。
その苛立ちさえも努力の糧に変えたアリアは、今では国内随一の才媛とまで呼ばれるようになっている。
だが、貴族令嬢としては適齢期であるにもかかわらず、未だ婚約者候補の一人もいない。
とはいえアリアはそのことをまったく気に病んでいない。
家は兄が継ぐことになっており、母に似て美しい姉は立派な家柄の青年との結婚が決まっている。アリアが無理に結婚をする必要はなく、見聞を広めるために留学したいとさえ考えているくらいだ。
だが、母だけはアリアにも姉のように早く結婚を決めてほしいらしく、顔を合わせれば小言ばかりだった。
『あなたは誰よりも幸せになるべきよ。家庭を持って子どもを作りなさい。そうすればきっと……』
今朝もまたそんなことを言われたのを思い出し、陰鬱な気分になる。
どうしてわかってくれないのか。
アリアに必要なのは普通の幸せではない。
(私は、もっと強くなりたいのに)
貴族令嬢としてではなく、一人の人間としての力が欲しかった。
大切な人を守れるだけの強さと、世界を知ることができるだけの力が欲しい。
父は普通の令嬢として生きようとしないアリアに苦言を呈したことはない。
好きにさせてくれるつもりなのだろうと勝手に信じていたアリアだが、こうやって改めて呼び出されたことに内心動揺していた。
(まさか結婚話? だとしてもなぜわざわざ王城で?)
「そう緊張するな。お前に対して言いたいことがあるわけではない」
考えていることを読まれた気がして、アリアは唇を尖らせた。
「ではなんなのですか」
「……お前は、セイナ・イゾルデ殿との交流はあったのか」
ひゅっと喉が鳴る。
部屋の中の空気が薄くなったような気がした。
セイナ・イゾルデ。
イゾルデ公爵家の令嬢にして、王太子の婚約者だった女性。
美しい金の髪、琥珀色の瞳、陶器のように白い肌。
氷のような美しさと気品を兼ね備えた、社交界の孤高の花。
「どうして、急に」
なんとか絞り出した声は少し震えていたと思う。
「特に交流はありませんでした。セイナ様は、未来の王太子妃として社交界を中心に活動されておりましたから」
「そうか。では彼女の噂についてはどこまで知っている?」
「……人並みには」
はっきり答えるべきか迷いながら返事をすると、父が苦笑いを浮かべた。
「遠慮しなくていい。ここには私とお前しかいない」
父の言葉に促され、アリアはこほんと咳払いをしてからゆっくり口を開いた。
「王太子の婚約者でありながら社交界の悪女だった、という噂は聞いておりました。私は実際にお会いしたことがないので事実かどうかは存じませんが、評判がよくなかったようですね」
(むしろ、王太子の婚約者だったからこそ、と言うべきかしら)
セイナは自分が公爵令嬢であることや王太子の婚約者である立場を笠に着て横暴な振る舞いをしていた、というのは有名な噂だった。
ドレスや宝石類などを買いあさるのは日常茶飯事。見目麗しい騎士を強引に自分の護衛にさせたこともあったし、自分よりも美しい令嬢を取り巻きとともにいたぶり社交界から追い立てたという話もあった。
セイナ・イゾルデに逆らえば居場所がなくなるというまことしやかな噂は、アリアも何度も耳にしたことがある。
(でも以前はそうではなかったという話もあるわ)
アリアがセイナにまつわる悪い噂を聞くようになったのは、ほんの数年前からだ。
それ以前は、むしろ清廉で優しい女性だという話を耳にしていたので、名前だけ同じ別人なのではと思ったこともあるくらいだ。
社交界に出て王太子の婚約者として扱われるようになったことで増長したのだろうというのは、アリアの見立てだった。
「……まさかそれを聞くためだけにここに呼んだのですか?」
「いいや」
父はそんなアリアを見つめて、目を伏せた。
「……彼女が亡くなって、もうすぐ一カ月が経つな」
父の言葉が広い室内に溶けるように消えていく。
そう。セイナは故人だ。
しかも自ら毒を飲んで亡くなったのだ。
起因となったのは、婚約者であった王太子から告げられた婚約破棄だと言われている。
彼女たちが通う学園の卒業パーティで、王太子は聴衆の前で突如としてセイナに婚約破棄を宣言した。
曰く、セイナは王太子妃にふさわしい人間ではないから、と。
それはもう大変な騒ぎになった。
王家と公爵家が取り決めた婚約を王太子が一存で破棄するなど、あってはならないことだ。
しかも王太子がセイナに婚約破棄を告げた時、その隣には別の貴族令嬢がいたという。
冷静に考えればその場で責められるべきは王太子だったろうに、周囲の反応は真逆だった。
あろうことか全員が王太子に味方して、セイナを一瞬で見限ったのだ。
悪女と名高いセイナを快く思っていない人間は多かった。
また、王太子が連れていた貴族令嬢がセイナとは真逆に学園で評判の高い女性だったことも、その流れを後押ししてしまった。
王太子は身分というしがらみを捨てて真実の愛を選んだのだ、と。
物語のようなその展開に周囲は酔いしれ、大いに湧いた。
その勢いに気圧されたのか、セイナはその場で婚約破棄を受け入れたという。
うなだれながら会場を去っていく姿は負け犬のようだったと、誰かが噂していたのをアリアも覚えている。
セイナが亡くなったのはその二週間後だ。
彼女は自室で毒を飲んだ。
たった一人、遺書すら残さず、眠るように息を引き取ったという。
セイナの訃報に社交界はおろか、国内には大変な動揺が走った。
彼女を悪女だと罵っていた人たちはまるで水を打ったように静まりかえり、口を噤んだ。
まるでそんなことなどなかったかのように。
「そうですね。まだ一カ月しか経っていないのですね」
しみじみと呟きながらも、アリアは父の真意を測りかねていた。
困惑した視線を向けると、父が懐からなにかを取り出し机に載せる。
「……これを」
ゆっくりとした動作で父か差し出したのは、宛先の書かれていない一通の手紙だ。
裏には黒い封蝋がされており、既に開封された形跡がある。
刻印は百合の花。珍しいものではない、よく見る文様だ。
「読んでもよろしいのですか?」
「ああ」
父が頷くのを確かめ、封筒に手を伸ばす。
中には折りたたまれた白いカードが入っていた。
開くと、些か歪な文字でたった一文が書かれていた。
「……!」
アリアは短い悲鳴を上げ、父を見た。
心臓が痛いほど強く脈打ち、手が震える。
「こ、れは」
「先日、国王陛下宛に届いたものだ」
「陛下宛に? そんな、こんなのって……」
そのカードに書かれた文字を、アリアはもう一度視線で辿る。
『セイナ・イゾルデは殺された』
これは一つの告発文からはじまる、後悔の物語。
第一章 彼女について彼らが語ること
王太子サイラス 一
やあよく来たね。話は聞いているよ。
僕はサイラス。この国の王太子だ。まあ知っているだろうけれど礼儀としてね。
君がアリア・ヘイズか。宰相によく似ている。
え? そう言われるのは嫌なのかい? 意外だな。彼はいつも君のことを自慢していたから、てっきり仲の良い親子なのだと。え? 違う? そうなのかい?
僕はずっと羨ましかったんだよ。宰相のように有能な人でも、子どもは可愛いんだって。
僕はそうではないから……
ああ、ごめん。話が逸れてしまった。
セイナのことを聞きたいという話だったね。うん、そこに座って。
…………
ああごめん。セイナのことを思い出すと、最近とても辛いんだ。
……セイナとの婚約破棄について聞きたいんだったね。うん。
そう、僕たちの婚約はお互いがとても小さな頃に決められたことだった。
イゾルデ公爵家は以前から王家と縁を繋ぎたがっていたからね。僕が生まれてすぐに、長い日照りがあって不作が続いただろう? イゾルデ公爵家はその時、王家に多大な寄付をしてくれたんだ。
だからセイナは僕の婚約者に選ばれた。
子どもの頃はなんの疑問も持っていなかったよ。セイナは綺麗な子だったし、とても賢かった。
一緒に話すのは楽しかったし、ほとんど家族のように育ったからね。
そう、家族だ。セイナは僕にとって、ずっと可愛い妹だった。
貴族の結婚はそういうものだと思って育ったから、妹だって……でも、セイナはそうではなかったんだろう。
長く一緒にいるうちにセイナは変わってしまった。
可愛い女の子のままでいてくれればよかったのに、どんどん化粧や衣装が派手になってね。
何度も窘めたんだよ? そんなに着飾る必要はない、セイナはセイナのままで充分に可愛いって。
これまでの僕の態度が彼女を不安がらせたのかもしれないと思って、色々気遣ってきたつもりだ。
でもセイナは納得しなかったみたいでね。
いつの間にか僕たちの間には、深い溝ができていたんだ。
学園に入学した頃にはもうどうにもならなくて、僕が話しかけてもいつもピリピリしていた。
怒っていたのかって?
うーん。そういう気持ちがなかったとは言わないけれど、それよりも心配が勝っていたかな。先にも言ったけれど、セイナは僕にとっては可愛い妹だ。間違いがあったら正してあげたいと思うのは当然だろう?
悪女……なんて呼ばれていたようだけれど、僕にしてみればあればただの癇癪だね。思い通りにいかないことに怒って、駄々をこねて。
だから僕はあえてセイナから距離を取ることにしたんだ。ほら、兄離れみたいなものかな。僕がそばにいてあれこれ世話を焼いていたら、セイナはずっと成長しないだろう?
だから遠くから見守るようにしたんだ。
周りはセイナをなんとかしたほうがいいとよく声をかけてくれたけれど、僕はあえてなにも言わなかった。
ほら、失敗から学ぶと言うだろう? セイナにもそれを期待していたんだ。
だって彼女はいずれ王太子妃になる身だったし、教育は充分受けていた。
王家の護衛もそばにいたし、いたずらに誰かを傷つけたり、非道な振る舞いをする前に止めるようにしていたからね。
噂? ああ、なにやら良くない噂はあったみたいだけれど大体は根も葉もない話だよ。
確かに目に余る行動はあったけれど僕は全部報告を受けていたからね。
じゃあなんで婚約破棄をしたのかって?
宰相には以前話をしたんだけどな。もう一度話さなくては駄目なのかい?
…………なるほど。確かに、宰相は賢すぎて話を簡潔にまとめすぎる。
君はセイナの死について公的な記録を残すために関係者に話を聞いているんだったね。
わかった、ちゃんと全部話すよ。
婚約破棄を決めたのは、僕の意志だ。
セイナについての報告を受けて気がついたんだ。彼女に王太子妃という立場は荷が重いんだって。
聞いたんだよ、セイナがずっと苦しんでいたこと。
王太子妃になるというプレッシャーに潰されて、彼女は駄目になってしまっていた。
そのせいで周囲ともうまくいかなくなって、どんどん孤立していたんだ。
セイナは優秀だったし綺麗だったから、やっかみでひどい噂も立てられていたからね。
だから僕は一度提案したんだよ。婚約を解消しようって。
もちろん、その後の人生は保証はするし父上や公爵ともちゃんと話をつけるとも言った。
うん、うん……そう、王家は公爵家に大きな恩がある。セイナを王太子妃にできなくなる代わりに、僕が持っている領地の一部と、公爵を政治的に大きな役職に任命することで手を打てると思ったんだ。
でも、駄目と言われた。
駄目なんだって……
だから僕は耐えるつもりだったんだよ。
なのにセイナは裏切った。
そう、君も知っているだろうけれど、セイナはやってはいけないことをした。
ルビー……彼女は学園に途中入学してきたフィット子爵家の子なんだけど、ずっと領地にいたからか貴族としての生活に慣れていないようで、僕はなにかと気にかけていたんだ。
セイナはそれが……気に食わなかったみたいでね。ルビーに当たるようになった。
もしかして僕の不貞を疑っている? やめてくれ。その点については完全に誤解だ。世間では僕とルビーの関係を真実の愛だなんだと騒ぎ立てる人たちがいるけれど、ルビーもセイナと同じ、僕にとっては慈しむべき存在だよ。
まあ、セイナと違ってか弱くて守ってあげたいとは思うけれどね。
だが、僕は婚約者のいる身で他の女性と親密になるような愚かなことはしていない。
神に誓ってもいい。
うん。いや、謝らなくていいんだよ。信じてくれればそれで。
君は素直だね。それに賢く、聞き分けもいい。セイナとは大違いだ。
そうだね。セイナは僕の言葉を信じてくれなかった。僕とルビーが心を通わせていると言って、ルビーにひどい態度を取っていた。
最悪だったのは新年のダンスパーティだ。
通っていない君は知らないだろうけれど、学園では毎年、年明けにダンスパーティを開くんだ。
生徒であれば誰でも参加できるものなんだけど、いつの頃からか男女ペアで参加するのが慣例になっていてね。
その日、僕はルビーを誘ったんだ。さっきも言ったけれどルビーは学園に編入したばかりで周囲と馴染めていなかった。婚約者もおらず一人で過ごすと言っていたから不憫で。
セイナのことは放置したわけではないよ? セイナには幼い頃から常にそばに仕えている騎士がいたし、僕のつけた護衛もたくさんいたから相手に困ることはない。
でもルビーはちがう。ただでさえ普段からセイナに虐められて悲しんでいる彼女に、せめて良い思い出を作ってあげたかったんだ。
勘違いしないでくれ。セイナへの義務は怠っていない。
婚約者としてきちんと詫びの手紙も出したし、ドレスだって贈った。彼女の好きな赤いドレスをね。
うん。セイナは赤が好きだったから。
ダンスパーティでは一緒に踊れないけれど、これから先も何度だって機会があるだろうってカードも送った。
ルビーにはブルーのドレスを用意したんだ。彼女の可憐さが引き立つと思って。一緒に踊るのが楽しみだったよ。でも、ルビーは来なかった。
待ちぼうけを食らった僕はセイナと踊るしかなかったんだ。
僕たちはパーティのキングとクイーンに選ばれた。まあ、当然だよね。王太子とその婚約者が踊ったんだから。
ルビーには裏切られた気分だった。連絡もよこさないで、って。……でも違ったんだ。
ルビーは陥れられていた。
パーティ会場に向かうはずだった馬車の車輪が壊れ、到着が遅れたんだ。
ルビーはなんとか新しい馬車を手配して学園に来たけど……その時にはもうパーティは終わりかけだった。
泣きながら僕に一生懸命謝っていたよ。ごめんなさいって。
最初は不幸な事故だと思ったが、あとから車輪に細工がされていたことがわかった。
明らかな故意だ。馬車が走り出してすぐに車輪が外れたため大事には至らなかったが、下手をすれば大怪我をしていたことだろう。
なんという姑息なことを考えるのか……
犯人が誰かなんて考えなくてもわかるだろう?
そう、セイナだよ。
他に誰がいるんだ。人を雇ってやらせたに違いない。
証拠はあるのかって? 残念ながら見つからなかったよ。
馬車は門外に止めてあったし、フィット家はそこまで厳重な警備をしていなかったから細工するのは難しくなかった。
だからセイナを罰することはできなかった。
ショックだったよ。セイナのことは信じていたんだ。
態度が悪かったのも反抗期のようなものだって思ってたのに、まさかそこまでするだなんて誰が考える?
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