12 / 12
12魔 ☆ 目的合致?
しおりを挟む
青天の霹靂とはこのことだろう。一瞬放心状態になりかけたが、プリプリと怒る彼が俺の手を振り払ったことで我に返る。
「まあ、上級悪魔の主になるなんて君みたいな平凡な人間には荷が重いだろうし、その点、天才美少年の僕にかかれば今後の魔法界の発展への貢献は計り知れないからね!」
「おっしゃる通りです」
「手放し難いのは分かるけど、君のためにも――はあ?」
「そう、俺みたいな普通で平凡な人間には、全くもってあの悪魔は必要ありません」
「あ、え、そうなの?」
「はい。ですので、是非とも! 一刻も早く!! あの悪魔を引き取っていただけませんか!?」
グッと彼に迫ると訝しげに眉をひそめ、一歩後ろに引かれた。少し警戒されてしまったようだ。
しかし、冷静にならなければと思いながらも、奴と離れられるのならばこのチャンスを逃せないという思いがせめぎ合っていて、少し圧が強くなってしまったのは仕方がないことだと思う。
「わ、わあ~、なんだか予想外の反応。え、本当にいらないの? あの悪魔がいれば、なんでも思いのままなのに?」
「俺は平凡な人生を送る平凡な人間なので」
「ああ、そうなの? 君、変わって――いや、うん。まあ、良いや。それなら話は早いし、本題に入ろう。まずは自己紹介が必要だね。天才魔法使いであり、美少年でもあるこの僕の名前はユキヤだ」
握手を求められ、手を握る。彼の手は雪の様に冷たい。彼が言うように魔法界からやってきたのなら、こちらの世界に併せた偽名なのだろうか。漢字があるかも分からないが、全体的に青く儚げな印象を与える容姿は確かに雪の妖精のようで、ユキヤという名前は彼にピッタリだと思った。
「改めて、俺は平凡な人間の真壁永です」
握手したままニッコリとお互いに微笑む。彼と握手を交わしてから、何故か頭に警鐘が鳴り響いている。
「それじゃあ、名の提示も終わったことだし、早速君の悪魔がほしいな」
なかなか手を離してくれない彼から半ば逃げるように無理矢理握手を終わらせて一歩下がったが、手が霜焼けのようになっていて少しジンジンする。
「つかぬ事お聞きしたいんですけど、どうやって譲渡するんですかねぇ?」
「アハハ、簡単だよ~」
俺の嫌な予感は外れたことがない。目だけ笑っていない彼は、楽しげな声を上げる。
「僕のために死んでくれる?」
彼の言葉が終わった瞬間、眩い光が弾け、四方八方から窓ガラスが割れる壮絶な音が響いたのだった……。
「まあ、上級悪魔の主になるなんて君みたいな平凡な人間には荷が重いだろうし、その点、天才美少年の僕にかかれば今後の魔法界の発展への貢献は計り知れないからね!」
「おっしゃる通りです」
「手放し難いのは分かるけど、君のためにも――はあ?」
「そう、俺みたいな普通で平凡な人間には、全くもってあの悪魔は必要ありません」
「あ、え、そうなの?」
「はい。ですので、是非とも! 一刻も早く!! あの悪魔を引き取っていただけませんか!?」
グッと彼に迫ると訝しげに眉をひそめ、一歩後ろに引かれた。少し警戒されてしまったようだ。
しかし、冷静にならなければと思いながらも、奴と離れられるのならばこのチャンスを逃せないという思いがせめぎ合っていて、少し圧が強くなってしまったのは仕方がないことだと思う。
「わ、わあ~、なんだか予想外の反応。え、本当にいらないの? あの悪魔がいれば、なんでも思いのままなのに?」
「俺は平凡な人生を送る平凡な人間なので」
「ああ、そうなの? 君、変わって――いや、うん。まあ、良いや。それなら話は早いし、本題に入ろう。まずは自己紹介が必要だね。天才魔法使いであり、美少年でもあるこの僕の名前はユキヤだ」
握手を求められ、手を握る。彼の手は雪の様に冷たい。彼が言うように魔法界からやってきたのなら、こちらの世界に併せた偽名なのだろうか。漢字があるかも分からないが、全体的に青く儚げな印象を与える容姿は確かに雪の妖精のようで、ユキヤという名前は彼にピッタリだと思った。
「改めて、俺は平凡な人間の真壁永です」
握手したままニッコリとお互いに微笑む。彼と握手を交わしてから、何故か頭に警鐘が鳴り響いている。
「それじゃあ、名の提示も終わったことだし、早速君の悪魔がほしいな」
なかなか手を離してくれない彼から半ば逃げるように無理矢理握手を終わらせて一歩下がったが、手が霜焼けのようになっていて少しジンジンする。
「つかぬ事お聞きしたいんですけど、どうやって譲渡するんですかねぇ?」
「アハハ、簡単だよ~」
俺の嫌な予感は外れたことがない。目だけ笑っていない彼は、楽しげな声を上げる。
「僕のために死んでくれる?」
彼の言葉が終わった瞬間、眩い光が弾け、四方八方から窓ガラスが割れる壮絶な音が響いたのだった……。
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
晴明さんちの不憫な大家
烏丸紫明@『晴明さんちの不憫な大家』発売
キャラ文芸
最愛の祖父を亡くした、主人公――吉祥(きちじょう)真備(まきび)。
天蓋孤独の身となってしまった彼は『一坪の土地』という奇妙な遺産を託される。
祖父の真意を知るため、『一坪の土地』がある岡山県へと足を運んだ彼を待っていた『モノ』とは。
神さま・あやかしたちと、不憫な青年が織りなす、心温まるあやかし譚――。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる