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本編

第四話 婚約者の本心を知る③

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 応接室に到着し、アイザック様が来られるのを待っていると何やら扉の向こうが騒がしくなっていた。
 視線をそちらへ向けると、勢い良く扉が開かれた先に息を切らしたアイザック様が立っていた。


「アリア!遅れてすまない。急な仕事で対応に追われていたんだ」
「そうだったのですね。私も先程到着したばかりでしたのでタイミングが良かったのかもしれませんね」
「そう言ってくれて助かるよ。アリア、ようこそ我が家へ」

 そう言って私の手を取りキスを落とす。
 誰から見ても完璧なそのアイザック様の姿は普段見ている私が大好きな彼そのもの。
 そう、先程見た光景の方が夢なのではないかと思うくらいに。

 二人でソファに向き合うように座ったのを合図に、先程まで飲んでいたお茶が取り替えられ色とりどりのお菓子がテーブルに並んだ。
 アイザック様の話に相槌を打ちながらも先程見た光景が目に浮かび、何故?どうして?と自問自答を繰り返してしまう。

「——っ、アリア?」
「っ!?申し訳ありません、考え事をしていて……」

 物思いに耽っていた私はアイザック様の話を話半分で聞いていて声をかけられるまでまるで気が付かなかった。
 
「アリア、何だか顔色が悪い。もしかして体調が悪いのではないかい?」
「……いえ、そのような事は、」
「だけど、本当に顔色が悪い。医者を呼ぼう、このままでは私が心配だ」
「本当に大丈夫なのです……実は昨晩、茶会が楽しみで上手く寝付けなかったせいかもしれません」
「私もアリアと会えるのを楽しみにしていたよ。だけど久しぶりに会えた嬉しさで体調が悪い事に気がつかなくてすまなかった。今日はもうお開きにしよう」
「申し訳ありません。では、お言葉に甘えて本日はこのまま帰らせていただきますね」

 結局アイザック様にエスコートされ馬車まで戻り、体調が良くなったら手紙を書く旨を約束した。
 馬車に乗り込んだ途端、それまで大人しかったノーラが口を開いた。
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