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ある少女の最後

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 鉄格子が鈍い音を立てながら、ゆっくりと開く音がする。

「時間だ、出ろ」

牢番の男が、もう立つ事も出来ない私を引き摺り牢の外へ出る。
引き摺られている両足は、既に感覚がない。

 どこで間違えたんだろう……
 どうしてこんな事になったんだろう……
 私はただ、幸せになりたかっただけなのに。

 あの日アルの元婚約者をエスコートしていた男性は、隣国の大公子息だったそうだ。捕らえられた後に牢番と拷問官が教えてくれた。
何でも持っているお嬢様をエスコートしている男性が、たまたま私好みだったから声をかけただけなのに、どうして私がこんな目に遭わなければいけないの?


 そんな事を考えていると、いつの間にか広間に連れて行かれていたようだ。
たくさんの見物人がいるのが、うっすらわかった。

何か偉そうな人が私の罪状を言っているようだけど、もう耳もまともに機能していない私には関係のない事だ。
引き摺られてささくれ立った縄のような物が首に通される。
あぁ私は今から死ぬんだ——


 もう歩く事も立つ事も出来ない私は、牢番に体を支えてもらっている。見知らぬ男に体を触られる事への嫌悪感すらもうどこにもない。
そしてふと私は空を見上げた、本当に気まぐれに。


目もほとんど見えていないはずなのに。五感の全てが殺された筈なのに。無性に涙が溢れた。
だって見上げた空が、私の死を祝福しているかのように雲一つない青空だったから。

 そんなに悪い事をしたんだろうか……
 ここまで痛めつけられる事を、私はしてしまったんだろうか……

私には、もう何も分からない。
そんな風に考えていたその時、スッと地面から体が浮くのがわかった。

 ごめんなさい——

誰に向けての言葉かは分からない。
ただ私の頭に最後に浮かんだ言葉だった。







end.


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感想 1

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みんなの感想(1件)

せち
2022.05.31 せち
ネタバレ含む
おもち。
2022.05.31 おもち。


せち様、感想ありがとうございます。

こちらの作品、処女作なので支離滅裂な部分もあったかと思うのですが、読んでいただけて本当に嬉しいです( ;∀;)♪♪

エディは一途な男の子です( ̄^ ̄)ゞ
作中には書いていませんが、アリシアを手放してくれたアルバートには感謝しかないので、卒業パーティーでの事は抗議文を送るだけに留まっています。(大事なアリシアを傷付けた事に対して怒りは当然感じていますが)

今読み返すともっと色々書いても良かったなかなと思うので、機会があれば番外編など考えてみたいと思います(*´ー`*)

解除

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