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しおりを挟む父から、アリシアとの婚約が破棄となった旨を伝えられた。
何故そんな事になっているのか理解が出来ず、気づけば父に聞き返していた。
「父上、今なんと?」
「アリシア嬢との婚約は破棄となった。我が家の有責での婚約破棄だ。お前には、随分ご執心な女性がいるそうじゃないか……学園に通う特待生の平民だとか?本当にふざけた事を。侯爵家から証拠も提示された。言い訳のしようもなかった。お前はしばらく謹慎していろ。例えアリシア嬢との婚約が無くなっても、平民との婚約は認めない。どうしても平民と一緒になりたいと言うなら、お前が平民となりその女と添い遂げろ」
「……っ!待ってください!確かにアリスと共に居たのは事実ですが、アリシアと婚約破棄する気などありませんでした。あと数ヶ月で婚姻だったんですよ!?これは何かの間違いです!私はアリスとやましい事は何もしてない。本当です父上!信じてください!!」
そう叫んだ私を、父はゴミでも見るような目で見た後、冷ややかに言った。
「入学してから、アリシア嬢と学園で共に過ごした事は?手紙のやり取りは?まともに話しをした事があったのか?」
「…っ!話しなら何度かあります」
「話しね。お前の不貞相手が、アリシア嬢に嫌がらせをされたと相談してきた時に、一方的に叱りつけた事が話しなのか?」
「あ、あれはアリシアが嫉妬してアリスに嫌がらせをしたから注意をしただけです!蔑ろにしたつもりはありませんでした!」
「……ない」
「え?」
「アリシア嬢が平民に嫌がらせをした事実などない!」
「そんなはずない!アリスが泣きながら私に言ったんです。婚約者に嫌がらせをされていると。婚約者に近づくなと言って取り巻きを連れたアリシアに囲まれてとても怖かったと!」
「その話を聞いてお前は一方的に不貞相手の話を信じたのか?婚約者であるアリシア嬢に事実確認はしたのか?」
「アリスは泣きながら訴えてきたんです!婚約者から一方的に責められ怖かったと!」
「相手が泣いて訴えてきたと言って、その者の意見だけに耳を傾けるなど……お前は本当に将来、公爵位を継ぐ気があるのか?」
「アリスは平民で貴族社会に慣れていないのです。それを一方的にアリシアが、アリスを責め泣かせたと言うので彼女に注意しただけです。アリシアは今どこに?話せば誤解だと分かってくれます。私は婚約破棄など認めない!」
私がそう叫ぶと父は心底呆れたように、
「お前がアリシア嬢の婚約者に戻る事は二度とない……おい、アルバートを部屋に連れていけ!部屋から一歩も出すな。お前はしばらく謹慎だ。外に出る事は許さない」
父は周りに指示を出し、もう興味がないとばかりに机に向かって執務を始めていた。
『アリシアにあってはなせばわかってくれる』
そう愚かにも考えていた私は、現実が全く見えていなかった。
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