青の時間

高宮 摩如(たかみや まこと)

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ー最終部ー 本当の繋がりと想いを共に

ー第17話ー 彷徨う想い

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「これで決定。いいな。」
高校三年の一学期中間試験が終わってすぐ、担任教師に呼び出された僕と彼女。
何の用?、と思って行ってみると強制的に進路が決まってしまった。
元々担任教師が僕達の決めた進路をごねた事で、宙ぶらりになってたものだけど。
その原因が僕と彼女が決めた進路の先が不安定なものだから。それは叔母からの話しだった。
「学校ってのは不安定な将来、仕事ってのを毛嫌いするからね。
 あんたも、あの子も選んだのが不安定なってのが定石の仕事だからね。
 多分今頃、必死で安定した代替案を探してるんじゃないのかねぇ。」
叔母のこの読みは当たっていた。担任教師が示した僕達の進路は大学への進学。しかも結構な高ランク。
そして叔母の読みでの代替案というところでも抜かりはなく、その大学なら僕達の望む進路もカバーしていた。
なによりだったのは・・・・・・・。
「へぇ、良い大学じゃないの、うん、行ってこいやぁっ!。」
叔母も賛同したという事。まぁ・・・良いか。なにより、これによってちょっとした偶然が出来ていた。
「なんか、凄いね。」
「偶然、確かにそうね。」
「こんな事、あるのな。」
僕、彼女、彼。三人共同じ大学を目指す事になった。勿論望む学科は違うけど。
「しかし、やっぱり変わってるよお二人さん。」
もういつもになった帰り道で彼が言う。それに彼女が「そう?。」と返す。
「絵を描きたいと、会社経営。少なくともちょっと珍しいとは最低限通ると思うけどな。」
こちらも珍しく真剣な感じで言う彼。ただ僕としては驚いた。彼女が彼女の父親と同じ道を進もうとしている事実に。
自分が嫌っている人間と同じ道を行くって。勇気がいるとかそんな感じじゃあないよね。
「僕はただ、やってみたいって思っただけだけだよ。」
「私もそう。ただ父の様な経営者を目指す気はないわ。」
「へ?。どゆ事?。」
ああ、そう言えば彼は知らなかったかな?。彼女の父親の事。
と、考えている内に彼女が自分の父親の事を彼に話し、彼の方はげぇという表情になっていた。
「お前らなぁ、何で揃いも揃って過去がヘビィなんだよ。」
流石に、という疲れた表情で言う彼。まぁ、分かるけど・・・・。
とまぁ、気が付けば勝手に進路が決まっていたというか。面倒臭いからぶん投げられたとも見える結末だった。
ただその後の叔母の方の動きも早かった。絵を描く為のタブレットが欲しいというと早々と買ってくれ。
彼女の方も書籍等を買って貰っていた。
以前絵の描き方を教えてくれた人とは住んでいる場所が遠く、直接会うのは難しいけど。
インターネットを活用してオンラインで絵を教えてもらう事となった。
そしてもう一つ、彼女の体もすっかり女の子らしく以前の体格に戻っていた。
そうして一連の厄介事が片付くとやはり残るのは彼女への想い。
その感情はどこか彷徨っている様に理解出来ていない。
彼女と再会した時、助けたいと思った。一緒に住むと決まって嬉しく思った。
でも何で?、どうしてそう思った?。そこでどうしても答えが出ない。それがずっと続いている。
彼女がいつもそばにいる。けどこの彷徨う想いはこの状況を不快に感じさせる。
何で?、何で?、何で?、何で?。
どれだけその問を続けても答えは返ってこない。あぁ・・・なんか苛々する。
そうしている内の休日、叔母の家の中、居間で彼女と勉強。もういもつになった日常。
「聞きたい事があるけど、良い?。」
「あっ、うん・・・。」
不意の彼女の質問に流れるままに返してしまう僕。なんだろう?。
「もしかして、だけど。私の事、嫌い?。」
「ううん、それはないよ。」
「でも、どこか私を避けてるよね。」
「うっ・・・・。」
まいったな。確かにそれはあった。いや、今も続いている。感情の行き場を作る為に、自分を落ち着かせる為に。
そうやって彼女と距離を置く事がある。でもどうして僕は彼女に対してこうも不安定になるんだろう。
この彷徨う想いさえなければ彼女に指摘されるような行動を取る必要もないのに。
「御免、どうしても距離を置きたい、そう思う事があるんだ。」
「どうして?。」
「解らない。」
彼女の質問が始まってからずっと俯いていたせいで気が付かなかっけど。
何時の間にか彼女は僕の隣に座っていた、視線をずらせば目の前に勉強道具を置いたテーブル。
けどやっぱり、どうしてか彼女に目が行く。
彼女をすぐ近くに感じられる事。彼女の香りが鼻を刺す事。それが嬉しくもあり、どうしても苛々してしまう。
「私が近くにいるとセックスしたいって思うから?。」
「違うっ!!。」
自覚なんてなかったけど、思わず大きな声をあげていた。そして僕の払った手が彼女に少し当たっていた。
「あっ、御免。」
「ううん、私こそ御免。」
気まずさだったと思う。お互いに謝ったのは。確かに彼女とは体を重ねた。
それがまたしたくないと言えば間違いなく嘘になる。
けど、今僕の中にある感情、想いはそれとは全く別のものではないかと思える。だから声を荒げてでも否定したのだと思う。
「僕は君に対して”何かを想っている”。でもそれが何かが解らないないだ。
 だから苛々して、もしかたら君を傷付けるじゃないかって思って。それが嫌だったんだ。」
「そう・・・。ねぇ、その解らない想いの正体を捜す手伝いをさせてくれないかな?。
 きっとだけど、貴方だけでは答えは見つからないと思うから。」
「どうしてそう思うの?。」
「勘・・・かな。」
どうしてそうしたかなんて解らなかった。気が付けば彼女に飛び掛かり、彼女を床に押し倒していた。
そして僕は彼女に馬乗りになっていた。どうしてか彼女は抵抗もせず僕を見ている。
だからだったのか、僕は無意識にそして乱暴気味に彼女の服をはだけさせていた。
室内だった事もあってあっけなく彼女の下着が露になる。そしてどうしてか表情を変えない彼女。
「いいよ、私を傷付けて。」
そう言うと彼女は目線を僕が跨がっているスカートの部分へと向ける。
そうだ、確かにスカートを捲り上げてしまえば・・・。とそこで思考を止める。
違う、そんな事はしたくない。さっきもそう口にしたはずだ。
「どうして、そんな事を言うの?。」
声が掠れている。どうしてかは解らなかったけど自覚は出来た。
「だって私は貴方を傷付けた。だから貴方には私を傷付ける権利がある。」
「それは違うよっ!。」
迷う事もなく出た言葉。確かに僕が傷付いた、そのきっかけを作ったのは彼女だ。
でもそのお膳立てをし、事態を起こしたのは彼女の父親だ。そして僕は何をやっている?・・・・。
「あぁぁぁぁぁっ!。」
違う違う違う違う違う違う違う違うっ。僕はこんな事がしたかった訳じゃない。
慌てて彼女の服を元に戻してその場を退いた。流石にしわくちゃになったのはどうしようもないけど。
そうして再びテーブルの席に着く僕と彼女。
「お願い、自分を傷付けてなんてもう絶対に言わないで。僕はそんなのは嫌だから。」
「うん、御免なさいね。でも嬉しかった。」
「嬉しい?。何が?。」
「貴方とは、共犯の関係に戻りたくなかったから。」
何時の間にかだった。彼女は涙を流しながら話していた。そして僕もつられて泣いていた。
「どうして貴方も泣くの?。」
「解らないよ。君を大切にしたい、守りたい気持ちがあるのに、
 それを邪魔する何かが僕の中にあるんだ。それが嫌で嫌で仕方ないんだよ。」
彼女に乱暴をしてしまった。その後悔も混ざっていたと思う。
でも正体不明の感情をどうしたら良いか、また彼女を傷付けそうで怖い。
「多分それ、自分の感情が強過ぎて、振り回されてるんだと思う。
 それに自分には解らない感情があるって言っているけど。その正体はちゃんと掴めてるじゃない。
 私と同じ気持ちを持っていて、それが強過ぎて困ってる。そういう事だよ。」
そう言う彼女の涙はもう止まっていた。寧ろ晴れやかな表情を見せる彼女に僕は驚いていた。
「同じ?。何で解るの?。」
「解るよ。だって伝わってくるもの、その強い気持ちが。貴方は私が好きで、そして私も貴方が好き。だから嬉しいの。」
心臓が弾けそうだって感じた。
ずっと正体の解らなかった感情の正体を彼女に言い当てられた事への恥ずかしさを感じる余裕なんてなかった。
全てを理解した時、目の前の彼女(ひと)をどうしようもなく愛しいと想っていたから。
「そうなんだ。僕は君が好きだったんだ。」
「うん。そうみたいね。すごく嬉しいよ。」
またお互いの目に涙。でも今は明らかに違う感情で泣いている。
「訳も解らないままにだったけど、君に酷い事をしてしまった。何か償わせてほしい。」
目一杯の謝罪のつもりだった。彼女は穏やかな表情を変えず僕を見ている。
「気にしないでって言いたいけど、じゃあひとつお願いを聞いてほしいの。」
「お願い、何かな?。」
やっぱり穏やかな表情のままの彼女。だからこそ返って緊張が走る。
「私を、抱いて下さい。」
情けないのかもしれない。何も返事も出来ずただ呆然とする僕。
すると彼女は席を立ち自分スカートを捲り上げ、その下着を見せ付けてきた。
「うん、意味は解っているよ。ただいきなり過ぎて、ね。」
「そうね、御免なさい。」
そうしてスカートを直しもう一度席に着く彼女。けどやっぱりその表情は変わらない。
「それで?。返事を聞かせてほしいな。」
「本当に、良いの?。」
「うん。貴方だからして欲しい。」
そう言う彼女の顔が赤くなっている。うぅ・・・可愛い。
彼女の返事の代わりに自室へと連れて行く。あっ!、でも・・・・・。
「ゴム、どうしよう?。」
「大丈夫、持ってるよ。」
してやったりと言わんばかりに未開封の避妊ゴムを見せ付ける彼女。
準備が良い。じゃないなきっと。もしかしたら結構前から彼女はこうなる事を望んでいたのかもしれない。
そうこう考えている内に彼女は下着だけになっていた。以前に比べると少し派手と思える色合いだ。
「ねぇ、あまり待たせないで、恥ずかしいから・・・。」
「うっ・・・御免。」
彼女の言葉に慌てて僕も下着だけになっていた。すると彼女から手が伸びて来て捕まりそのままベッドへ。
「ちょっ、何するのっ!?。」
「うふふ・・・ベッドへダイブだよ。」
まるでいたずらっ子の様にはしゃぐ彼女に怒りたくもなったけど、あまりにも野暮だと気付き止める。
でもこうして近くで彼女の体を見てあれっ?て思ってしまう。
以前うっすらとあった体毛が無くなっている。特に気にするべき事ではないけど・・・。
「ねぇ、キスして・・・・。」
どちらにしても考えている余裕なんてなく、彼女に流されるままに唇を重ねる。
そのどさくさというタイミングでブラ越しに彼女の脹らみに触れる。
?、あれっ?、あまり?、変わらない感じ?。と言ってもしばらくぶり、断言は出来ない。
「もう、下着を外してからにして・・・・。」
「あっ、御免。」
彼女の苦情に咄嗟に反応して謝る。そして彼女は自分でブラを外していく。
そうして出てきた脹らみにやっぱりあまり変わらない?。と思うけど怒られそうなので口にはしない。
けどやっぱり可愛いものは可愛い。だから躊躇いもなく脹らみに手を当て、その柔らかさを堪能する。
けど、少しして彼女は僕の手を脹らみから離してしまう。
そして彼女は自分の体の位置を上下反転させる。
当然お互いの目の前に下着に隠れているとはいえ、いけない所が来ている。
「ねぇ、私の下着を取って。で、貴方の下着を取らせて。」
いきなりに思えた彼女の提案に僕は驚いた。彼女のあそこを見るのは久しぶりだ。でも、でも、でもぉ・・・。
どうしようもない緊張感に溺れていると腰の辺りの感触で彼女が僕の下着を下ろそうとしていると知る。
えぇっと思っても彼女は止まらない。彼女の細い指が僕の下着のゴムに掛かり、引き下ろそうとしている。
仕方なくその流れに従い。僕の最後の一枚が引き離されていくのを感触が教えてくれる。
「やっぱり可愛いね、君のは。」
僕のものにちょんちょんと触りながら言う彼女。うぅ・・・恥ずかしいなぁ。
「ねっ、私のも早く。」
そう嬉しそうにせがむ彼女に思わず驚いた。僕にあそこを見られて恥ずかしくないの?。
つい口にしたくなった疑問。けど、この状況ではその質問は野暮だとすぐに気付き、自分の中で止める。
思いきった行動、そう思えた。初めてじゃないはずの彼女のあそこを露にする行為。けど、それでも緊張してしまう。
「えっ?。」
久しぶりに見る彼女のあそこに思わず驚く。色白い丘にささやかな茂み。
女の子の最後の秘密を僅かに隠してそれは今は無く、色白の肌の丘、それだけになっていた。
「これって?。」
「私を買った奴の趣味。首から下を永久脱毛というのをしたのよ。」
これまで嬉しそうにしていた彼女はもういなかった。明確に暗いと感じる声。そして怒りもまた伝わって来た。
まずい事を聞いた。そう思っていたのは僅かな間だった。
「あっ!、うぅんっ。」
彼女が僕のあれを口にしている!。されてる事もだったけど、そこから伝わってくるものも衝撃的だった。
こんな・・・感じるものなんて・・・・。でも、だとしたらと思い僕も彼女の秘丘へと顔を埋めていく。
互いのあそこを口にしている音と荒い息遣いだけが部屋の中を響いているように思える。
けど、実際にはそこで感じられているものだってある。初めての快感が。
そしてだからこそ僕はあっさりと果ててしまっていた。
すっと一人起き上がる彼女。その顔には僕の白い液が掛かっていた。
「大丈夫?。」
「この匂いはやっぱり好きになれないけど。うん、大丈夫だよ。」
そうして彼女はベッドから出て行って少ししてから水道の水が流れる音。顔を洗っているのかな?。
で、次にドライヤーの音?、だよね。この間五分位だったと思う。彼女がベッドに戻って来るまでの時間は。
そしてゴムを手にして僕の上に乗る。
けど、そこから進まない。彼女の手が震えてる。顔にもさっきまでなかった緊張がある。
「ねえ、大丈夫?。」
「御免。やっぱりまだ怖い。」
それは当然の反応に思えた。それなりに日数が経過しているとしても日常的にレイプされていた。
その事が”傷”として残っていないはずがない。形式は全く違うけど僕もその傷を持っているから分かる。
「いいよ、僕がやるから・・・。」
僕の言葉の意味が理解出来ていないのか、少し惚けた表情をする彼女。
けど僕は構う事なく上体を起こし、彼女の手からゴムを奪い、自分のあれに付ける。
そして起こしていた上体をベッドへと倒す。
まだ彼女は怖がっている。今の現状を望んでいながらも。けどその恐怖は僕にも理解出来る。だから責めはしない。
だから僕は彼女の腰に手を掛け持ち上げるようにしようとした。て、あれ?、意外と軽い?。
じゃないよね。彼女も協力してくれている。だからこそ僕はあれが彼女のあそこに挿るようにと集中する。
ゴムを付けてる事から、それはゆっくりとしたものになった、彼女の無毛の丘が僕のものを呑み込んでいく。
普通ならイヤらしい光景とか表現しそうなものだけど。僕はすごいものを見ている。そう感じていた。
そしてすっかり二人のものが結合しているのが見て分かる。
「御免、私からしたいって言ったのに。」
「ううん。気にしないで。それで君の嫌な思いが無くなるのなら・・・。」
「やっぱり、貴方を好きになって良かった。」
彼女のまだ涙声の言葉。でもその表情にもう恐怖はなかった。
流石に果てた果てたばかりで感じられるものは薄い。けど繋がる嬉しさは確かにある。
で、ちょっとばかり彼女の脹らみに手を伸ばす。
「あんまり胸は触ってほしくないな、なんか気持ち悪いの。」
僕の手に脹らみの柔らかさが伝わってきたあたりで彼女からそう言われてしまう。ううん残念だな。
仕方なく手を離し、今度は彼女においで、としてみた。すると彼女は自分の体を倒し、体を重ね合う。
「これで良いの?。」
「うん。ありがと。」
そこからはセックスというよりは体を重ね合う。その事に集中していたと思う。結構長い時間。
そして終わった後もしばらくはベッドの上で二人共裸でいた。
「ねぇ、これで良かったの?。」
「今更聞かないでって言いたいけど。うんちょっと焦っちゃったね、御免
 けどやっぱり貴方を好きになって、貴方とセックスをして良かったと思う。だからありがと。」
そうして軽くキス。もう抵抗感なんてない、嬉しいと思えるもの。
「で、そろそろ片付けないとまずいよ。叔母さんにバレる。」
「そうしたら叔母さんに殺されちゃうね。」
最後にいたずらっ子の様に締めた彼女に呆れながらも二人で片付けに入る。当然服を着て。
正直、彼女への想いには未だ戸惑いは残っている。それが情けないというのも理解している。
けど、幸いにも自分の戸惑いを確認する時間も、そしてその為の相手、彼女がいる。
だから以前ほどこの感情に苦しめられる事はないとはっきり言える。
そして僕と彼女の関係。実はあっさりと叔母にバレるのだけど。うん、これは別の話しとしよう。 
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