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ー最終部ー 本当の繋がりと想いを共に
ー第16話ー 決めるべき事
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教室の片隅。でももうそこは空席ではなく、今は人だかりが出来ている。
「何、あれ・・・・?。」
「さぁな。」
空席の主が出て来た事での好奇心からだと思われる状況に彼は呆れているようだ。
「あの子、お前の知り合いだっけか?。」
「うん、前の学校でだけど。」
「へぇ・・・・。そら大した偶然だ。」
彼の言いたい事も分かる。人だかりの向こうにいる彼女とまさか再会出来るなんて、確かに偶然もいいところだと思う。
何より、同じ学校、同じクラスなんて本当に偶然が過ぎるものだろう。
「でも何でこんなに人が集まるんだろう?。珍しいもの見たさ?。」
「一応言っとくが相棒。あの子結構な美人さんだぜ。だからだろ。」
彼に言われて気付く、確かに集まってるのは男子ばかりだ。
彼女が叔母の家で一緒に暮らすようになって二週間。叔母は同僚に助けを求めていた。
「管理栄養による理学療法ってやつさ、早く体力を回復させないとね。学校へ行くのはそれからだよ。」
叔母の話しでは仕事柄同僚に管理栄養のプロがいるので協力を求めたとの事。
医師からも退院したら体力の回復を努めるように言われていたらしい。
そうして二週間後。流石はプロというところか、彼女の酷く窶れた感じは殆ど消え、
大分以前の彼女に戻っていた。まだ体が細過ぎると見える感じはあるけど。
そうして今に至る。
「しかし、呆れた手のひら返しだな。」
彼の視線の先に少し前までこの人だかりの元の空席に対して質の悪い噂をしていた面々がいる。
「手のひら返しなの?、あれが?。」
「相手が解らないのであれば好き勝手に言って。
相手が自分好みの美人だと判ればああして擦り寄る。立派な手のひら返しだろ・・・。」
「うん、そうだね。」
と言ってはみたものの、少し意味を理解出来ていない。なんとなく分かるは分かるけど。
「しかし、どう見ても出席日数足りてない状況だったろあの子。よく大丈夫だったな。」
「ああ、うん。叔母さんがね。」
彼女の出席日数が足りない。それは学校側からも早々に指摘されたようだ。
けど叔母は弁護士を通して根強く交渉。彼女のこれまでの状況も考えた上でとの事でどうにか学校に通えるようにしたと。
但し、出席日数ギリギリの扱いで体調不良等で休むのも難しくなるので体には気を付けるようにと釘を刺されたようだ。
「へぇ、やっぱ良い人だな。」
「うん、そうだね。」
そうしてこの人だかりはもう少しの間続いた。人は物事に飽きる生き物というのもあると思うけど。
後から彼女から聞く事になったけど、人だかりという状況に困って何も受け答えせずにしていたようで。
「それをやられると白けるって奴は多いからな、だから飽きたんだと思うぜ。」
と、彼は推測的な答えを口にしていた。
でも人だかりが出来ていた間彼女と一緒に帰る事も難しかったから。
こうして一緒に帰れるようになったのは嬉しく思う。あれ?嬉しい、のかな?。
でもまだ問題は確かに残っていた。それも僕と彼女だけに。
「事情があったのは理解しているけど、進路。出来るだけ早く決めてほしい。」
担任教師からの警告と言える言葉。本来なら去年決めてなければいけない事を僕も彼女も決めれていない。
それはお互いが特異な状況にたからだった。僕は当時あの暴力沙汰の真っ只中。
彼女の方は彼女の父親がそういった事をシャットアウトしていたという。
けど、それらがなくても、決める事が出来たか、正直自信は無い。
そしてその日の下校中、僕、彼、彼女の三人。全員部活動はしていないのでそのまま帰っている。
「あちゃぁ、進路かぁ。何か決めてるってのはないのかい、お二人さん?。」
「うん、無い。」
彼の質問に二人同時に答えていた。
「あぁ、予想はしてたけどマジか・・・・。
まっ、ちょうど良いって訳でもねぇけど、数日後にうってつけの催しがあるんだよ。参加しねぇか?。」
「それで進路を決められる?。」
今度は僕だけが彼に質問をしていた。
「か、は判らねぇけど、少なくとも役には立つ。そこは間違いねえよ。だから二人共な。」
迷う理由は無いと思えた。確かにこのままただ考えているだけではだし・・・・。
「うん、行こう。」
今度は彼女の言葉。そして僕もそれに頷いた。
そして当日
「うわぁ・・・。」
思わず驚いた。外からも広い場所だと見えたけど、メインとなっている建物の中へ入るとその広さをより実感する。
建物の中はまさに”熱気”そのものだと感じる。幾つもの会社が所狭しと声を上げている。
彼の話しによると今回の催しは普段なかなか知ってもらえない仕事というものを知ってもらう為のものだという。
「じゃあ、後は各自自由としようぜ。」
建物に入り、唐突にそう言い出す彼に僕は戸惑う。
「良いわ、けどまた後で合流しましょ。」
「OK。いいぜ。」
僕が戸惑っている内に彼と彼女が勝手に話しを進める。そして気が付くと僕は一人に・・・え~と、え~とぉ。
どうしようもないので僕も動くにした。
「・・・・。」
ただ少し歩くだけで色々なものが目に入る。中には呼び止められてちょっと体験をとなった事もあった。けど・・・。
「なんか、なぁ・・・・。」
実際やってみて面白いと思えたものもあった。けど何か違うとも感じる。
あれ?、たまたまだったけど彼の姿を見付けて慌てて捕まえる。
「?、どうしたよ相棒。」
と聞かれたのでここまでで感じた事を話した。
「成る程、しかしだとしたら慌てて答えを出さない事だ。
ちょっとやったからやりたい事が見付かるなんてまずねぇ。時間が掛かっても良い。
そのつもりでじっくり探す事だ。焦るな、慌てるな、だぜ。」
「君は自分のやりたいを見付けてるの?。」
「ああ、だから今は自分の事に専念しな。」
「うん。」
そうしてどれだけの時間が経過したか。僕はある事に熱中していた。
場所は親が子供を預ける所。そこで僕は貸してもらったタブレットに絵を書いていた。
殆どが十歳未満の子供の中に一人高校生。普通に考えれば奇妙な光景だったと思う。
けど僕は気にしていなかった。僕にタブレットを貸してくれた女性が隣で困った顔をしていたとしても。
「ちょっと良いですか?。」
不意に聞こえた声に僕は驚く。見てみると目の前に三十代位の男性が一人。
「絵、誰かに教えてもらった事はありますか?。」
男性の顔は近く、何より間違いなく僕を見ている。それだけに慌ててしまい。首を横に振る形で答えていた。
「ならせっかくです。しっかりと勉強していきませんか?。」
「えっと。良いんですか?。」
「勿論です。ここはそういう場所ですから。」
少し戸惑ったけどタブレットを女性に返し、男性について行った。
「すごい・・・・。」
着いたのは小さなブース。けどその一面に幾つかの綺麗な絵。
「有り難う御座います。こちらも教えられる相手がいて良かったです。」
男性の言葉にへ?、となるけど、聞くチャンスもなく授業?でいいのかな?、が始まる。
でも、結構楽しくて、時間を忘れていたと思う。
「お~い。探したぜ相棒。」
最初は何か聞こえる、そんな感じだったけど。顔を上げて彼の姿が目に入る。
「お友達ですか?。」
「はい。」
「では、もう終わりとしましょう。良い時間になっていますしね。」
男性に言われて携帯を見る。うわぁ、もう夕方だ。
確かここに来たのが午前中で、お昼をこの人にご馳走になって。え~とぉ。
うぅわあ、よっぽど集中してたんだと思う。今になって重い感じの疲れが来ている。
「時間を決めてなかったのは悪かったけど、集合ってなってもこねぇし、携帯も出ねぇし、心配したぞ。」
「う・・・ごめん。」
「ああ、そう言えば何か鳴ってましたね。」
僕と彼とのやり取りの横で少しボケた発言をする男性。思わずえぇ~だった。
「ねぇ、帰らないの?。」
聞こえた声でこの場に彼女がいると気付き、気付いていなかった事にヤバいと思ってしまう。
「でわ、今日の事、興味があるのなら僕を尋ねて下さい。」
そう言って男性は僕に一枚の小さな紙をわたしてくる。あっ、これ名刺だよね?。
「あの、良いんですか?。」
「ええ、君のように才能有る方ならいつでも歓迎ですよ。」
「はい。」
あっ、それと忘れちゃいけない事がある。
「お昼、御馳走様でした。」
「いいえ、お気になさらず。」
そうして僕達は帰った。そして・・・・・・。
「なぁ、進路を決めたのは良いと思う。けどなんでこうなった?。ちょつと話し合うか。」
一応僕も彼女も進路希望書を出したんだけど。どうしてか担任教師は混乱していた。
そして僕達の進路調査がまだ続くと決まった。
決めるべき事。それが決まるのはまだ先のようだ・・・・・・・。
「何、あれ・・・・?。」
「さぁな。」
空席の主が出て来た事での好奇心からだと思われる状況に彼は呆れているようだ。
「あの子、お前の知り合いだっけか?。」
「うん、前の学校でだけど。」
「へぇ・・・・。そら大した偶然だ。」
彼の言いたい事も分かる。人だかりの向こうにいる彼女とまさか再会出来るなんて、確かに偶然もいいところだと思う。
何より、同じ学校、同じクラスなんて本当に偶然が過ぎるものだろう。
「でも何でこんなに人が集まるんだろう?。珍しいもの見たさ?。」
「一応言っとくが相棒。あの子結構な美人さんだぜ。だからだろ。」
彼に言われて気付く、確かに集まってるのは男子ばかりだ。
彼女が叔母の家で一緒に暮らすようになって二週間。叔母は同僚に助けを求めていた。
「管理栄養による理学療法ってやつさ、早く体力を回復させないとね。学校へ行くのはそれからだよ。」
叔母の話しでは仕事柄同僚に管理栄養のプロがいるので協力を求めたとの事。
医師からも退院したら体力の回復を努めるように言われていたらしい。
そうして二週間後。流石はプロというところか、彼女の酷く窶れた感じは殆ど消え、
大分以前の彼女に戻っていた。まだ体が細過ぎると見える感じはあるけど。
そうして今に至る。
「しかし、呆れた手のひら返しだな。」
彼の視線の先に少し前までこの人だかりの元の空席に対して質の悪い噂をしていた面々がいる。
「手のひら返しなの?、あれが?。」
「相手が解らないのであれば好き勝手に言って。
相手が自分好みの美人だと判ればああして擦り寄る。立派な手のひら返しだろ・・・。」
「うん、そうだね。」
と言ってはみたものの、少し意味を理解出来ていない。なんとなく分かるは分かるけど。
「しかし、どう見ても出席日数足りてない状況だったろあの子。よく大丈夫だったな。」
「ああ、うん。叔母さんがね。」
彼女の出席日数が足りない。それは学校側からも早々に指摘されたようだ。
けど叔母は弁護士を通して根強く交渉。彼女のこれまでの状況も考えた上でとの事でどうにか学校に通えるようにしたと。
但し、出席日数ギリギリの扱いで体調不良等で休むのも難しくなるので体には気を付けるようにと釘を刺されたようだ。
「へぇ、やっぱ良い人だな。」
「うん、そうだね。」
そうしてこの人だかりはもう少しの間続いた。人は物事に飽きる生き物というのもあると思うけど。
後から彼女から聞く事になったけど、人だかりという状況に困って何も受け答えせずにしていたようで。
「それをやられると白けるって奴は多いからな、だから飽きたんだと思うぜ。」
と、彼は推測的な答えを口にしていた。
でも人だかりが出来ていた間彼女と一緒に帰る事も難しかったから。
こうして一緒に帰れるようになったのは嬉しく思う。あれ?嬉しい、のかな?。
でもまだ問題は確かに残っていた。それも僕と彼女だけに。
「事情があったのは理解しているけど、進路。出来るだけ早く決めてほしい。」
担任教師からの警告と言える言葉。本来なら去年決めてなければいけない事を僕も彼女も決めれていない。
それはお互いが特異な状況にたからだった。僕は当時あの暴力沙汰の真っ只中。
彼女の方は彼女の父親がそういった事をシャットアウトしていたという。
けど、それらがなくても、決める事が出来たか、正直自信は無い。
そしてその日の下校中、僕、彼、彼女の三人。全員部活動はしていないのでそのまま帰っている。
「あちゃぁ、進路かぁ。何か決めてるってのはないのかい、お二人さん?。」
「うん、無い。」
彼の質問に二人同時に答えていた。
「あぁ、予想はしてたけどマジか・・・・。
まっ、ちょうど良いって訳でもねぇけど、数日後にうってつけの催しがあるんだよ。参加しねぇか?。」
「それで進路を決められる?。」
今度は僕だけが彼に質問をしていた。
「か、は判らねぇけど、少なくとも役には立つ。そこは間違いねえよ。だから二人共な。」
迷う理由は無いと思えた。確かにこのままただ考えているだけではだし・・・・。
「うん、行こう。」
今度は彼女の言葉。そして僕もそれに頷いた。
そして当日
「うわぁ・・・。」
思わず驚いた。外からも広い場所だと見えたけど、メインとなっている建物の中へ入るとその広さをより実感する。
建物の中はまさに”熱気”そのものだと感じる。幾つもの会社が所狭しと声を上げている。
彼の話しによると今回の催しは普段なかなか知ってもらえない仕事というものを知ってもらう為のものだという。
「じゃあ、後は各自自由としようぜ。」
建物に入り、唐突にそう言い出す彼に僕は戸惑う。
「良いわ、けどまた後で合流しましょ。」
「OK。いいぜ。」
僕が戸惑っている内に彼と彼女が勝手に話しを進める。そして気が付くと僕は一人に・・・え~と、え~とぉ。
どうしようもないので僕も動くにした。
「・・・・。」
ただ少し歩くだけで色々なものが目に入る。中には呼び止められてちょっと体験をとなった事もあった。けど・・・。
「なんか、なぁ・・・・。」
実際やってみて面白いと思えたものもあった。けど何か違うとも感じる。
あれ?、たまたまだったけど彼の姿を見付けて慌てて捕まえる。
「?、どうしたよ相棒。」
と聞かれたのでここまでで感じた事を話した。
「成る程、しかしだとしたら慌てて答えを出さない事だ。
ちょっとやったからやりたい事が見付かるなんてまずねぇ。時間が掛かっても良い。
そのつもりでじっくり探す事だ。焦るな、慌てるな、だぜ。」
「君は自分のやりたいを見付けてるの?。」
「ああ、だから今は自分の事に専念しな。」
「うん。」
そうしてどれだけの時間が経過したか。僕はある事に熱中していた。
場所は親が子供を預ける所。そこで僕は貸してもらったタブレットに絵を書いていた。
殆どが十歳未満の子供の中に一人高校生。普通に考えれば奇妙な光景だったと思う。
けど僕は気にしていなかった。僕にタブレットを貸してくれた女性が隣で困った顔をしていたとしても。
「ちょっと良いですか?。」
不意に聞こえた声に僕は驚く。見てみると目の前に三十代位の男性が一人。
「絵、誰かに教えてもらった事はありますか?。」
男性の顔は近く、何より間違いなく僕を見ている。それだけに慌ててしまい。首を横に振る形で答えていた。
「ならせっかくです。しっかりと勉強していきませんか?。」
「えっと。良いんですか?。」
「勿論です。ここはそういう場所ですから。」
少し戸惑ったけどタブレットを女性に返し、男性について行った。
「すごい・・・・。」
着いたのは小さなブース。けどその一面に幾つかの綺麗な絵。
「有り難う御座います。こちらも教えられる相手がいて良かったです。」
男性の言葉にへ?、となるけど、聞くチャンスもなく授業?でいいのかな?、が始まる。
でも、結構楽しくて、時間を忘れていたと思う。
「お~い。探したぜ相棒。」
最初は何か聞こえる、そんな感じだったけど。顔を上げて彼の姿が目に入る。
「お友達ですか?。」
「はい。」
「では、もう終わりとしましょう。良い時間になっていますしね。」
男性に言われて携帯を見る。うわぁ、もう夕方だ。
確かここに来たのが午前中で、お昼をこの人にご馳走になって。え~とぉ。
うぅわあ、よっぽど集中してたんだと思う。今になって重い感じの疲れが来ている。
「時間を決めてなかったのは悪かったけど、集合ってなってもこねぇし、携帯も出ねぇし、心配したぞ。」
「う・・・ごめん。」
「ああ、そう言えば何か鳴ってましたね。」
僕と彼とのやり取りの横で少しボケた発言をする男性。思わずえぇ~だった。
「ねぇ、帰らないの?。」
聞こえた声でこの場に彼女がいると気付き、気付いていなかった事にヤバいと思ってしまう。
「でわ、今日の事、興味があるのなら僕を尋ねて下さい。」
そう言って男性は僕に一枚の小さな紙をわたしてくる。あっ、これ名刺だよね?。
「あの、良いんですか?。」
「ええ、君のように才能有る方ならいつでも歓迎ですよ。」
「はい。」
あっ、それと忘れちゃいけない事がある。
「お昼、御馳走様でした。」
「いいえ、お気になさらず。」
そうして僕達は帰った。そして・・・・・・。
「なぁ、進路を決めたのは良いと思う。けどなんでこうなった?。ちょつと話し合うか。」
一応僕も彼女も進路希望書を出したんだけど。どうしてか担任教師は混乱していた。
そして僕達の進路調査がまだ続くと決まった。
決めるべき事。それが決まるのはまだ先のようだ・・・・・・・。
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