初恋、n回目

橘花やよい

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 たとえば。
 ほんのすこし、高くなる身長に気づくように。
 ほんのすこし、寄り道をして、綺麗な風景を見つけるように――。

 毎日、彼への新しい「好き」を発見していく。

 昨日よりも、今日はもっと彼を好きになる。
 それは、昨日まで抱いていた感情を、恋と呼ぶのが物足りなくなるくらい。
 今日、初めて、本当の恋を知ったのだと思うくらい。

 目が覚めるほどに、鮮やかな気持ち。

 だから、私は、初恋を繰り返す。
 SFではない。
 これは、いたって普通の日常。
 私は何度でも、彼に初めての恋をする。

『また明日』

 その一言を、彼のスマホに届ける。
 スマホの先にいる、彼の姿を思い浮かべて、ふふっと笑う。

 私は明日も、彼に、恋をするのだ――。

(了)
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