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エピローグ 魔法使いと子猫の、新ドーナツ
3.きみとドーナツを3
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快はノートを片づけようとキッチンにもどり、棚にしまう前に、ぱらぱらとめくった。最終ページには、新しいレシピが追加されている。ケーキドーナツのレシピだ。
快の手書きで、作成者として快のサインと、ひなたの肉球スタンプが押してある。
これから快のレシピも増やしていこうと、ひそかな目標を立てている。ひなたにも手伝ってもらいながらつくれば、きっとうまくいく。
魔法使いと、その使い魔である黒猫。「魔女のドーナツ」にはふさわしいふたりだろう。ひなたのおかげで、自分もこの店にふさわしい店主になってきたはずだから。
「かい」
売り場から、ひなたがひょっこりと顔を出す。
「おきゃく、くる」
「ああ。すぐ行く」
大切にレシピをしまって、快も売り場にもどる。
ひなたは「ここが定位置です」と言わんばかりに、快の足もとに寄り添った。そのあたたかさを感じながら、快は店の扉が開く音を聞く。
甘いドーナツの香りに、ふわりと客の顔に笑顔が咲く瞬間はうれしいものだ。
「いらっしゃいませ」
本物の魔法使いと使い魔が営むドーナツ屋へ。
ようこそ。
エピローグ 魔法使いと子猫の、新ドーナツ
『魔法使いと子猫の京ドーナツ~謎解き風味でめしあがれ~』(了)
快の手書きで、作成者として快のサインと、ひなたの肉球スタンプが押してある。
これから快のレシピも増やしていこうと、ひそかな目標を立てている。ひなたにも手伝ってもらいながらつくれば、きっとうまくいく。
魔法使いと、その使い魔である黒猫。「魔女のドーナツ」にはふさわしいふたりだろう。ひなたのおかげで、自分もこの店にふさわしい店主になってきたはずだから。
「かい」
売り場から、ひなたがひょっこりと顔を出す。
「おきゃく、くる」
「ああ。すぐ行く」
大切にレシピをしまって、快も売り場にもどる。
ひなたは「ここが定位置です」と言わんばかりに、快の足もとに寄り添った。そのあたたかさを感じながら、快は店の扉が開く音を聞く。
甘いドーナツの香りに、ふわりと客の顔に笑顔が咲く瞬間はうれしいものだ。
「いらっしゃいませ」
本物の魔法使いと使い魔が営むドーナツ屋へ。
ようこそ。
エピローグ 魔法使いと子猫の、新ドーナツ
『魔法使いと子猫の京ドーナツ~謎解き風味でめしあがれ~』(了)
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月子さん、普通の人間だと思ってました……。最後読むまで小鬼がよくわからない存在だったんですけど、天邪鬼かぁ〜、納得です。
琴音さん
こちらでも感想ありがとうございます!きずな児童書大賞から来てくださったんですね!見つけていただけて、幸いです。ほっこり、ふわふわ、嬉しい感想です!
最後まで楽しんでもらえたようで、よかったです。色んな設定や謎を散りばめてみよう、と思っていたので、納得していただけて安心しました。
お付き合いいただきありがとうございました!
完読しました。
ルナの正体が月子さん。これは全くわからなかったです。そして小鬼も天邪鬼だったんですね。
快、ひなた、八尋たちが京都とドーナツ屋を舞台に繰り広げるあたたかい物語。
最後もハッピーエンドで締めくくられて良かったです。キャラ文芸大賞もお疲れ様でした。
葉月麗雄さん
物語に最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
心があたたかくなってもらえたかな、楽しんでもらえたかな、と気になっていたので、いただいた感想がとっても嬉しいです。キャラ文芸大賞の労いもありがとうございます。
完読、心から感謝です!
橘花さんの、この作品に大賞ポイントを入れたひとりとして、結果を自分のことのように気にかけていたのですが、惜しい!でも奨励賞と安定した実力があることが証明されて、橘花さん推しとしては少しほっとしている感じもあります。これからも書籍化にむけて応援しています!
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コメントありがとうございます!
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