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第十一章 ルリとミナセ、ピンチ!
(五)
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「……これを?」
「宝石なら、ルリの得意分野だろう。鍵の形は、ぼくが見て覚えてる。小さかったから、この宝石とチェーンがあれば、じゅうぶん作れると思う。形は教えるから、ぼくの言うとおりに――」
「ま、待ってよ、ミナセ!」
一気に語るミナセを、わたしは止めた。
「それ、お母さんの形見でしょ。それなのに、鍵にするなんて……!」
「でもいまは、やらなきゃ」
わたしは、ぐっと言葉を飲み込んだ。ミナセがまっすぐな瞳をしていたから。
「宝石をなくすより、ルリやレオが傷つくことのほうがいやだよ。だから、やってくれ」
そう言って、ミナセはわたしの手に指輪をのせた。
「はやくしないと、ブラッド・ムーンがのぼるよ。その前に」
「……うん!」
もう迷っていられなかった。ミナセはもう決めたんだ。だったら、わたしも、その覚悟に応えたい。
手を開いて、指輪を見つめる。ミナセの大事な指輪。
(使わせてもらうね)
わたしは、魔力を手に込めた。淡い光があふれて、指輪を包む。橙色の宝石と、金色のチェーンが溶け出し、混ざり合う。
鍵の形は、ミナセが教えてくれた。細かい部分まで、よどみなく教えてくれる。こうなることを予想して、閉じ込められたときに鍵を観察していたのかもしれない。
(やっぱり、すごいよ、ミナセは)
ミナセの言葉だけを頼りに鍵をつくるのは、どんな宝石のアクセサリーをつくる作業よりも難しかった。だけど、だんだん形になっていく。
「もう少し、ここを削って。そう、ここの溝は深く。……うん、これでいい」
出来上がった、ひとつの鍵。宝石とチェーンを混ぜたから、もともとの色は失われて濁っている。わたしは胸が痛んだけど、ミナセは一瞬目を伏せただけで、すぐ真剣な顔に戻った。
わたしの手から鍵を受け取ると、格子のすき間から手をのばして、錠前に近づける。
(ちゃんと、できてるかな……)
不安でいっぱいだった。どうか、開きますように。祈りながら、ミナセの手もとを見つめる。
錠前にすっと鍵を差し込み、ミナセはゆっくり鍵を回した。
カチッ。
音が鳴る。錠前がカタリと外れて、落ちた。
わたしとミナセは顔を見合わせる。それから、わっと叫んで手を取り合った。
「上出来だよ、ルリ!」
「よかったぁ!」
開いた。わたしの魔法も、役に立った!
ミナセはすぐさま鍵をポケットにしまって、わたしの手を引いた。
「行こう。レオのところに!」
「うん!」
わたしたちはランプを手に、牢を飛び出した。
「宝石なら、ルリの得意分野だろう。鍵の形は、ぼくが見て覚えてる。小さかったから、この宝石とチェーンがあれば、じゅうぶん作れると思う。形は教えるから、ぼくの言うとおりに――」
「ま、待ってよ、ミナセ!」
一気に語るミナセを、わたしは止めた。
「それ、お母さんの形見でしょ。それなのに、鍵にするなんて……!」
「でもいまは、やらなきゃ」
わたしは、ぐっと言葉を飲み込んだ。ミナセがまっすぐな瞳をしていたから。
「宝石をなくすより、ルリやレオが傷つくことのほうがいやだよ。だから、やってくれ」
そう言って、ミナセはわたしの手に指輪をのせた。
「はやくしないと、ブラッド・ムーンがのぼるよ。その前に」
「……うん!」
もう迷っていられなかった。ミナセはもう決めたんだ。だったら、わたしも、その覚悟に応えたい。
手を開いて、指輪を見つめる。ミナセの大事な指輪。
(使わせてもらうね)
わたしは、魔力を手に込めた。淡い光があふれて、指輪を包む。橙色の宝石と、金色のチェーンが溶け出し、混ざり合う。
鍵の形は、ミナセが教えてくれた。細かい部分まで、よどみなく教えてくれる。こうなることを予想して、閉じ込められたときに鍵を観察していたのかもしれない。
(やっぱり、すごいよ、ミナセは)
ミナセの言葉だけを頼りに鍵をつくるのは、どんな宝石のアクセサリーをつくる作業よりも難しかった。だけど、だんだん形になっていく。
「もう少し、ここを削って。そう、ここの溝は深く。……うん、これでいい」
出来上がった、ひとつの鍵。宝石とチェーンを混ぜたから、もともとの色は失われて濁っている。わたしは胸が痛んだけど、ミナセは一瞬目を伏せただけで、すぐ真剣な顔に戻った。
わたしの手から鍵を受け取ると、格子のすき間から手をのばして、錠前に近づける。
(ちゃんと、できてるかな……)
不安でいっぱいだった。どうか、開きますように。祈りながら、ミナセの手もとを見つめる。
錠前にすっと鍵を差し込み、ミナセはゆっくり鍵を回した。
カチッ。
音が鳴る。錠前がカタリと外れて、落ちた。
わたしとミナセは顔を見合わせる。それから、わっと叫んで手を取り合った。
「上出来だよ、ルリ!」
「よかったぁ!」
開いた。わたしの魔法も、役に立った!
ミナセはすぐさま鍵をポケットにしまって、わたしの手を引いた。
「行こう。レオのところに!」
「うん!」
わたしたちはランプを手に、牢を飛び出した。
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