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第九章 深まる疑惑とその先に
(七)
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わたしの部屋は、二階にある。レオとミナセといっしょに、階段をのぼって扉を開けた。すると、予想していなかった状況になっていた。
「なにこれ!」
窓は開きっぱなし、クローゼットから服が飛び出しているし、机の引き出しも開いて、中身がごちゃごちゃ。まるで泥棒が入ったみたいに、部屋が荒らされていた。
「ルリ、部屋はもっときれいにしておけよ……って、ことでもなさそうだな」
「あ、当たり前でしょ! 普段はもっときれいだよ!」
「わかってるって。この部屋がおかしいことくらい」
あまりのひどい部屋の様子にわたしが立ち尽くしていると、ミナセが言う。
「ルリ、赤輝石はどこ?」
あ、そうだった!
はっとして、赤輝石をしまったはずの引き出しを確認する。
でもそこに、赤輝石はなかった。
「ない! なんで⁉」
「盗まれたのか……、ルーク兄さんの仕業だな」
レオが舌打ちをして、拳を握った。
まるで泥棒に入られたような、じゃない。本当に、盗みに入られているんだ……!
お屋敷で会ったとき、わたしが赤輝石を持っているんじゃないかって、ルークさんは疑っていた。それで狙われたのかも。
「ど、どうしよう。あれがないと、レオはまた暴れちゃうんだよね?」
「ああ……」
レオの顔は青くなっていた。わたしまで不安になってくる。
「ねえ、レオ。やっぱり家に帰ったら? お父さんに助けてもらえばいいんじゃないの? レオの家には、べつの赤輝石もあるでしょ?」
「ダメだ」
「どうして」
「そんなことしたら、ルーク兄さんが罰せられるだろ!」
ぐっと拳を握って怒鳴ったレオに、わたしとミナセは顔を見合わせる。レオはすぐはっとして、「悪い、大声出して」と謝った。
「でも、ダメなんだよ。……ルーク兄さん、ほんとはすごく優しいんだ」
うなだれたレオは、胸ポケットから小さな紙を取り出した。真っ白な紙だ。だけどレオが紙の上をなでると、ぼんやりと絵が浮かんできた。その絵が紙の上に浮かび上がって、立体的な映像になる。
(これ、魔法写真だ!)
映像の中で、いまより幼いレオとルークさんが笑っている。背景は夜空だった。
「なにこれ!」
窓は開きっぱなし、クローゼットから服が飛び出しているし、机の引き出しも開いて、中身がごちゃごちゃ。まるで泥棒が入ったみたいに、部屋が荒らされていた。
「ルリ、部屋はもっときれいにしておけよ……って、ことでもなさそうだな」
「あ、当たり前でしょ! 普段はもっときれいだよ!」
「わかってるって。この部屋がおかしいことくらい」
あまりのひどい部屋の様子にわたしが立ち尽くしていると、ミナセが言う。
「ルリ、赤輝石はどこ?」
あ、そうだった!
はっとして、赤輝石をしまったはずの引き出しを確認する。
でもそこに、赤輝石はなかった。
「ない! なんで⁉」
「盗まれたのか……、ルーク兄さんの仕業だな」
レオが舌打ちをして、拳を握った。
まるで泥棒に入られたような、じゃない。本当に、盗みに入られているんだ……!
お屋敷で会ったとき、わたしが赤輝石を持っているんじゃないかって、ルークさんは疑っていた。それで狙われたのかも。
「ど、どうしよう。あれがないと、レオはまた暴れちゃうんだよね?」
「ああ……」
レオの顔は青くなっていた。わたしまで不安になってくる。
「ねえ、レオ。やっぱり家に帰ったら? お父さんに助けてもらえばいいんじゃないの? レオの家には、べつの赤輝石もあるでしょ?」
「ダメだ」
「どうして」
「そんなことしたら、ルーク兄さんが罰せられるだろ!」
ぐっと拳を握って怒鳴ったレオに、わたしとミナセは顔を見合わせる。レオはすぐはっとして、「悪い、大声出して」と謝った。
「でも、ダメなんだよ。……ルーク兄さん、ほんとはすごく優しいんだ」
うなだれたレオは、胸ポケットから小さな紙を取り出した。真っ白な紙だ。だけどレオが紙の上をなでると、ぼんやりと絵が浮かんできた。その絵が紙の上に浮かび上がって、立体的な映像になる。
(これ、魔法写真だ!)
映像の中で、いまより幼いレオとルークさんが笑っている。背景は夜空だった。
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