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第七章 ミッションクリア!
(二)
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しっかり、レオにもトマトジュースも飲んでもらったころには、お腹もふくれて、ほどよく運動もできて(暴れるレオをつかまえるの、大変だった)、わたしは大満足だった。
「……つかれた」
レオはげっそりしていたけれど。ちょっとやりすぎたかもしれない。ごめんね、レオ。
「それで、レオは今日どうするの? いっしょにモーリスさまのお屋敷に行く?」
「あー……、それなんだけど、もしかしたら親父たちがまだいるかもしれないから、行きたくない、かな」
「家出が怒られるから?」
「そうだ」
わたしは、じいー、っとレオを見つめる。レオはわたしの視線に気づくと、ふいっと目をそらした。
「……レオ、なにか隠してない?」
「おれがなにを隠すんだよ」
「家出の理由、べつのものがあるんじゃないの?」
「ねーよ、なにも」
レオは口をとがらせてしまった。
「なに? おれのこと疑ってんの?」
わたしはすこし考えて、ふうっと息をつく。これ以上聞くと、レオは本当に怒ってしまいそうだ。
「わかった。モーリスさまのお屋敷には、わたしがひとりで行ってくる」
レオがなにを隠していたとしても、わたしがモーリスさまに謝らなきゃいけないことは、なにも変わらないしね。
「レオはここで待ってて」
「そうか……。ありがと、ルリ」
レオはほっとしたように笑った。その顔は、やっぱり悪いことをしているようには見えない。でも、なにか隠してることは間違いないっぽいんだよね。
(もう……、なにがなんだかわからないよ)
わたしは難しい顔でモーリスさまのお屋敷に向かった。
今日は玄関にミナセがいなかったから、ほかの使用人に頼んでミナセを呼んできてもらった。ミナセはぜんぶわかっているって顔でうなずいて、わたしを部屋に通してくれる。
「昨日のお客さま、お泊まりになったみたいだよ」
「レオのお父さんと叔父さんだよね。そっか、まだいるんだ」
じゃあ、レオは来なくて正解だったかも。
「……つかれた」
レオはげっそりしていたけれど。ちょっとやりすぎたかもしれない。ごめんね、レオ。
「それで、レオは今日どうするの? いっしょにモーリスさまのお屋敷に行く?」
「あー……、それなんだけど、もしかしたら親父たちがまだいるかもしれないから、行きたくない、かな」
「家出が怒られるから?」
「そうだ」
わたしは、じいー、っとレオを見つめる。レオはわたしの視線に気づくと、ふいっと目をそらした。
「……レオ、なにか隠してない?」
「おれがなにを隠すんだよ」
「家出の理由、べつのものがあるんじゃないの?」
「ねーよ、なにも」
レオは口をとがらせてしまった。
「なに? おれのこと疑ってんの?」
わたしはすこし考えて、ふうっと息をつく。これ以上聞くと、レオは本当に怒ってしまいそうだ。
「わかった。モーリスさまのお屋敷には、わたしがひとりで行ってくる」
レオがなにを隠していたとしても、わたしがモーリスさまに謝らなきゃいけないことは、なにも変わらないしね。
「レオはここで待ってて」
「そうか……。ありがと、ルリ」
レオはほっとしたように笑った。その顔は、やっぱり悪いことをしているようには見えない。でも、なにか隠してることは間違いないっぽいんだよね。
(もう……、なにがなんだかわからないよ)
わたしは難しい顔でモーリスさまのお屋敷に向かった。
今日は玄関にミナセがいなかったから、ほかの使用人に頼んでミナセを呼んできてもらった。ミナセはぜんぶわかっているって顔でうなずいて、わたしを部屋に通してくれる。
「昨日のお客さま、お泊まりになったみたいだよ」
「レオのお父さんと叔父さんだよね。そっか、まだいるんだ」
じゃあ、レオは来なくて正解だったかも。
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