悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい

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第7章 二度目の実践授業は大ピンチ!

(16)一件落着

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「敬語はもう、いらないですわ」

 イエローさんが、ばっとわたしに手を突き出してくる。

「リリイさん、敬語へたなんですもの。……それで、あの、これからも、仲よくしていただけると、うれしいのですけど……」

 ええっと、これは、友だちになろうってこと?

 真っ赤な顔で手を差し出しているイエローさん、なんか……、かわいい!

「もちろん、仲よくしよう。よろしく、イエローさん!」

 悪魔はみんな手が冷たいみたいだ。ひやりとしていた。

(いろいろあったけど、仲よくなれて、よかった。一件落着かな)

 でも、ロゼは頬をふくらませて、わたしのもう片方の手をにぎった。うわわっ。

「イエローさん、なれなれしくしないでちょうだい。リリイはわたしの執事なんだから」
「な、なによ。友だちになるくらい、いいでしょう? 心の狭い悪魔だこと!」
「イエローさんはあいかわらず、ずけずけとした悪魔ね!」

 ロゼとイエローさんは、にらみあった。あーあ、口を開けば言い合いになるんだから。なだめなきゃ……、と思ったけど、わたしが言うより早く、ふたりはぷっと噴き出した。

「もう。あなたに、リリイはあげないわよ!」
「束縛が強いご主人さまなんて、嫌われますわよ!」

 口ではいろいろ言いながら、ふたりがころころと笑い合う。……なんだ。ふたりも、もう友だちみたいだね。よかったぁ。

「ところであなたたち、招待状は?」

 笑い声のなかに、ソフィ先生の冷静な声が投げ込まれた。

「リミットは日暮れまで。まだ見つかっていないのかしら?」

 ……あ。やばい。招待状のこと、忘れてた。もしかして、わたしたち、夜会に出られない感じ……!? こんなに頑張ったのに!?

「い、いまから急いで探しますっ!」
「いいえ。その必要はありませんよ」

 飛び出そうとするわたしの首根っこを、ソフィ先生がつかまえた。必要がないって、どういうこと? もう諦めろって意味? そんな……!

「泣きそうな顔をしないの。今回は、魔犬を逃がした学校側に問題があります。みなさんは協力して、危機を乗り越えた。これは、招待状を与えるだけの成果です」

 そう言って、ソフィ先生は胸元のポケットから、白い封筒を出した。

「ですから――、今回は特別に、あなたたち全員に、これをお渡しします」

 差し出される、きれいな封筒。これって、もしかして……、そういうこと?

 ソフィ先生を見ると、先生はうなずいた。

「夜会、楽しんでらっしゃい!」

「「「「や、やった~っ!」」」」
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