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第7章 二度目の実践授業は大ピンチ!

(11)作戦その1

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 しーさんは器用に地面のでこぼこをよけて走る。その後ろを、魔犬も追いかけてくる。木がすくないせいで、魔犬の姿がよく見えた。血走った目は怖い……、けど!

「ロゼ、イエローさん! 作戦はこんな感じだけど、大丈夫そう!?」
「ええ、任せてちょうだい!」
「しっかり遂行してみせますわ!」

 ふたりの声は芯があって、自信に満ちていた。心強いね。

「じゃあ、いくよ! しーさんも協力お願いね!」

 しーさんは「きゅっ!」って鳴いて、走るスピードをゆるめる。さすが、しーさんも作戦を理解してくれたみたいだね。みんないてくれる。力を合わせれば、なんとかなる……!

「では、わたしから参りますわ。おふたりとも、見ていなさい! リーダーの雄姿を!」

 さっきより大きな声で叫んで、イエローさんはしーさんから飛び降りた。

 作戦開始だ!

 イエローさんは、ひらりと着地すると、雨を注ぎつづける暗い空に手をかざす。

(まずはイエローさんの攻撃魔法で――)

 イエローさんは自信満々の顔で、走ってくる魔犬を見ていた。

 グルルルル……ッ!

 魔犬のうなり。イエローさんとの距離が、どんどん縮まっていく。イエローさんのひとみが、ぎらぎらと輝き、

「――我、イエローベリルの名のもとに!」

 高らかに、イエローさんは声を響かせる。

「気高く、硬く、とびーっきり強い力を……! 我に与えよっ!」

 その手の先に、いくつもの宝石が生まれた。お得意の、宝石の爆弾だ。

「そーれっ、ですわーっ!」

 爆弾を、魔犬に向けて勢いよく放つ!

 魔犬はとびのいた。宝石は泥水をバシャンと跳ね上げて、地面をえぐる。

 でも、まだまだいけるよね、イエローさん!

「わたしの最大火力は、こんなもんじゃないですわよ! 特別に見せてさしあげます!」

 声とともに、彼女の手には超特大の宝石が生まれた。太陽かと思うくらいに輝いていて、まぶしい。

(すごい。これが、イエローさんの全力の魔法……!)

 ぎらぎら光る、暴力的な、だけど心強い光。

「さあ、おとなしくしてもらいますわよ、わんちゃん!」

 手をふり下ろすと、特大の宝石が魔犬めがけて飛んでいく。でも、魔犬は、またかわす。だめだ、当たらない。――でも!

 ピシピシピシ……!

 地面に、大きな亀裂が入った。その亀裂は一気に大きくなって、地面がどんっと沈む。巻き込まれるように、まわりの地面も崩れていった。もちろん、魔犬の立つ場所も……!

 ドオオオオオオンッ!

 大きな音を立てて地面が崩れ、穴が開いた。まるっと教室ひとつが入っちゃいそうな、大穴だ。魔犬は――、その穴の中に落ちた!

(よし、作戦どおり!)

「引っかかりましたわね! このに入ってきたことが、あなたの敗因ですわよ!」

 そう、ここは東の森だ。木がめっきり減っているのを見て、わたし、思い出したんだよね。ソフィ先生の『東の森には近寄らないように』って言葉を!

『東の森には近寄らないように。上級生の魔法授業のせいで土地が弱っていて、地面に穴が開きやすくなっています』

 最初の授業のとき、そう言ってたよね。だからわたし、考えたんだ。穴が開きやすいなら、落とし穴を簡単につくれるんじゃないか……、って!

 作戦その一、『イエローさんの魔法で大穴をつくる』! クリア!
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