悪魔さまの言うとおり～わたし、執事になります⁉︎～

第6章 退学のピンチ！

（8）どきどき男の子

「でもよかった、つかまえられて！　これでロゼも退学しなくて済むね！」

　ロゼの執事として、すこしは力になれたんじゃないかな。

「……うん。ありがとう、リリイ」

　ぎゅっと、ロゼは、わたしの手をにぎった。

「本当に助かったよ。リリイがいてくれて、よかった」

　う、うわあ、きらきらが増してる……！　まぶしい！

　どうしよう、なんだかとっても、恥ずかしい。手をにぎられることなんて、女の子のロゼとはよくあることなのに。でもやっぱり、男の子の姿でされると、心臓がうるさくなっちゃう。

（落ち着け、わたし！　相手はロゼ、いつも一緒にいる女の子と同一人物！）

　でもでも……、やっぱり、目の前にいるのは、かっこいい男の子なんだよね……！

「リリイ、どうしたの？　顔が赤いよ？」
「な、なんでもない！」
「そうは見えないけど……あ、わかった。照れてるんだね」

　にこっ、とロゼがいたずらっぽい笑顔を見せる。

「て……れてないけどっ？」
「照れてるでしょ。かわいいなあ」

　へ……っ!?　かわ……!?

　ますます、顔がかあっと熱くなる。

「……ははっ、もう、リリイってばあわてすぎ！　おもしろいなあ」
「ちょ、ちょっと、笑わないでよ！　からかうの禁止！」
「からかってないよ。リリイがかわいいのは、本当のことだから」

　ひぇ……！

　これ以上ないくらい真っ赤になったわたしを見て、ロゼはころころと笑った。それから、ぽんっと煙に包まれる。

「さ、リリイ。帰りましょ。わたしも疲れたわ」

　ロゼが女の子にもどって、ほほ笑んだ。

「……あああ～、女の子のロゼ、安心する……」
「あら、男のぼくも、女のわたしも、中身は変わらないけどね。リリイったら、かわいい」
「だから、かわいいとか言わないでーっ！」

　もう顔から湯気が出そうだよ。やめてやめて！

　でも、とりあえず。使い魔捕獲作戦、終了だ！　一件落着！　おつかれさま！

　……と思ったんだけど。まだまだ、話は終わらないみたいで。