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終章 愛し愛されて
(二)
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「……貴女はこんなことしなくてもいいのに。苦しかったでしょう……?」
切なげなアベルの声と表情に、フィアンは急に不安になった。
「もしかしてアベル、嫌だった……? ──ごめんなさい。私ばかりじゃなくて貴方にも気持ちよくなってもらいたくて……調子に乗ってやり過ぎたわ。もう、しないから」
「フィアン……」
フィアンがしゅんとして謝ると、アベルは感慨深げに名前を呼んで、彼女を強く抱きしめた。
そのとき尖った胸の頂がアベルの硬い胸板にこすれて、フィアンは思わず「あっ……!」と声を出してしまった。かまわずアベルは腕に力を入れて、フィアンの乳房をぎゅうぎゅうと押しつぶす。
「謝らないでください。僕は嬉しいのです。貴女が僕にそこまでしてくれることに」
「本当……?」
「ええ、幸せすぎてどうにかなってしまいそうです」
腕を解くとアベルはフィアンの腰を軽々と持ち上げ、自分の足の上に座らせた。
自然とフィアンの足は大きく開き、下肢の間にアベルのものが触れる。
「あ……」
それはついさっき欲望を放ったばかりだというのに、もう力を取り戻していた。いきり立った硬い感触に、フィアンの心臓がドクンと跳ねる。
「フィアン──次は一緒に、気持ちよくなりましょう……っ」
その言葉とともに勢いよく腰を降ろされ、一気にお腹の奥まで貫かれた。
「あああぁ……!」
ズンッという重い衝撃に、フィアンの身体が仰け反る。
十分に潤いを帯びていた秘部は慣らすまでもなく剛直を受け入れ、絡みついていた。
「あ……熱い……アベル」
「貴女の中も、同じくらい熱いですよ」
うねる襞にアベルがたまらず息を吐く。
「はぁ……、相変わらず、貴女の中は最高だ」
いったん熱棒をぎりぎりまで引き抜いてから、もう一度最奥を穿つ。この体制だとフィアン自身の重みも加わり、最奥のさらに奥まで切っ先がねじこまれた。
強烈な快楽に全身を支配され、翻弄され、フィアンは長い髪を振り乱す。
「あっ……! そこ……やっ」
「嫌ではないでしょう? こんなに僕を締めつけて、……っ」
繰り返される激しい律動。ゆさゆさと身体を揺さぶられて、フィアンは必死でアベルの首にしがみついた。
「あっ……あんっ、……ふうっ……んんっ!」
アベルがふっと笑う。
「貴女の中……僕のものに絡みついてきて、食いちぎられそうだ。奥を突くたびにぎゅっとしまって……、っ、そんなに悦いんですか?」
何度も突き上げられる悦楽に頭が真っ白になり、フィアンは自分で腰を動かしていることに気づかない。
そんなフィアンの淫らな痴態を見て、中にあるアベルの欲望がさらなる熱をもって膨れ上がった。
「……素直になってください。聞かせて、貴女の気持ちを。貴女の声で聞きたいんです。……今、どんな感じですか?」
艶っぽく濡れた声で囁かれるように訊ねられ、フィアンは回らない頭で必死に考える。喘ぎながらも、かすれた声で答えた。
「んっ……いい……、すごく、気持ちいい……っ。アベル……好き。もっと、して」
普段の清廉さなど消え失せ、フィアンは潤んだ瞳でおねだりした。彼女の立ち上るような妖艶さに、アベルがごくりと唾液を飲み込む。
「本当に貴女という人は……っ。言わせたのは僕ですが、なんでそんなに可愛いんですか。天使ですか、女神ですか? ──いや、もはや悪魔だ。僕を誘惑して魅了して永遠に離さない。いつも僕ばかりが乱される。貴女の心も……僕と同じくらい乱されればいいのに……っ」
「ああぁっ……!」
完全に余裕を失くしたようにアベルはがつがつと腰を打ちつける。
蜜壺の中を隙間なく埋める巨大なものに容赦なく奥を穿たれ、フィアンは胸を突き出すようにして感じ入った。
二つのたわわな果実が目の前で誘うように揺れる光景に我慢できなくなったのか、アベルは腰を動かしながらも眼前の色付いた実にむしゃぶりついた。もう片方の乳房には手が伸ばされ、荒く揉みしだかれる。
下肢を貫かれながらの巧みな口淫と指淫に、フィアンは全身を痙攣させながら悶えた。
「あああっ! そんなにいろいろされたら、おかしくなっちゃう……!」
「いいですよ、僕の前でなら。これ以上ないくらい乱れた貴女を見せてください。──一緒にイきましょう……フィアン……!」
一際強く腰を打ちつけられ、ついにフィアンは絶頂を迎えた。アベルの頭をぎゅっと抱き締め、ガクガクと身体中を震わせる。
膣が絞まり、埋め込まれた男根から精子を絞り取ろうと肉襞が激しくうねる。
その襞の動きにアベルも限界を迎え、屹立が力強く脈打ち、フィアンの中に勢いよく欲望を吐き出した。
奥が熱く濡れていく感覚に、フィアンは恍惚とする。
大量の精を出しきったあと、アベルはそのままフィアンを押し倒し、肌を重ねたまま力を抜いた。
温かくほっとする重みに幸福を感じながら、フィアンはアベルの背中に腕を回した。
やがて二人の余韻がなくなる頃、アベルが自身をずるりと引き抜き、夢心地のとろんとした目のままぽつりと呟いた。
「はあ……幸せだ……。貴女とこうして愛し愛される現実を、ずっと夢見ていました。……貴女の初めての男となった日からは、二人が繋がった証を毎日眺めながら、もう一度この腕に抱く日をどれだけ切望したことか……」
アベルの独り言をぼーっと聞いていたフィアンは、ふと引っかかりを覚えて、首を傾げてアベルに問うた。
「二人が繋がった証……?」
「はい、貴女が純潔を失ったときに流した血ですよ。それを見た僕は感激に打ち振るえ、その感動をいつでも思い出せるように記念にとっておいたんですよ」
「とっておいたって……どうやって?」
「赤い血が映えるように白いシャツの裾を破って、それに染み込ませました」
霞がかってぼんやりしていた頭が一気に冴え渡る。
フィアンはガバッと起き上がり、わなわなと口を震わせながらアベルを見つめた。
(純潔の証である血を拭き取ったものを今も持っているなんて、信じられない……!)
なによりそれを当たり前のように言ってのけるアベルが怖い。
恥ずかしいのと怖いのとで、フィアンはアベルに詰め寄って叫んだ。
「そ、それ返して! ──いいえ、今すぐ燃やして!」
「嫌だと言ったら?」
「貴方とは結婚なんてしないわ! この屋敷からも今すぐ出て行く!」
断言するとアベルが目を丸くした。そしてしぶしぶ脱ぎ捨ててあった自身の服のポケットから白い布切れを取り出すと、さも名残惜しげフィアンに渡す。
その布切れには確かに血液を拭き取ったような茶色い染みがあった。
フィアンはそれをひったくるようにして暖炉に投げ捨て、燭台の火を移して燃やした。
「ああ……もったいない」
アベルはまるで自分の宝物を燃やされたかのように悲壮につぶやき、肩を落とす。
彼はあれを騎士服のポケットから取り出したが、まさかいつも肌身離さず持ち歩いていたのだろうか。大切で厳格な騎士の職務中も……。
だとしたらナイジェルの言ったとおり、自分は相当やっかいな男性に捕まってしまったのかもしれない。
けれど、それも今さらだ。そんな彼に惚れたのは、他でもない自分である。
一心にこちらを見つめる熱い眼差しに、どうしようもなく心を惹かれたのだ。もう二度と、後戻りはできないほどに。
だから結局、彼のそんな怖いくらいの愛情深さまで嬉しく思ってしまう。
(アベルは相当愛が深いみたいだけど……私も大概よね。だって彼にそこまで──海よりも深く愛されていることが、こんなにも嬉しいんだもの)
アベルはしばらく暖炉を眺めながら落ち込んでいたが、やがて気を取り直したのか顔を上げた。
「でも……まあいいです。これからは毎日、本物の貴女が傍にいてくれるんですから。……ねえ、そうでしょう?」
フィアンはこちらの顔色をうかがうアベルの髪をさらりと撫でて、頭にキスをする。
「フィ、フィアン……?」
「私、貴方の髪が世界で一番好きだわ。林檎みたいに鮮やかな赤色で、とても綺麗だもの。それに目立つから、どこにいても貴方をすぐ見つけられる。だからきっとはぐれずに、ずっと一緒にいられるわ。貴方をもう二度と、独りにはしない」
気持ちを込めて伝えればアベルは驚いたようだったものの、すぐに目元をゆるめ嬉しそうに微笑んだ。心なしか琥珀の瞳が潤んでいるようにも見えるが、フィアンの気のせいだろうか。
「貴女を手に入れられるなら兄上を亡き者にしてでも……と考えたこともありましたが、そうならなくてよかった……」
「え?」
アベルが一瞬なにかをつぶやいたが、あまりに小さい声だったので聞き返す。
しかしアベルは首を横に振った。
「いいえ、なんでもありません。ただ……子爵家の当主には兄上がふさわしい。わがままで奔放な人ですが、人脈や人望は、幼い頃から跡継ぎとして育てられた兄上には適わない。それに、たくさんの人の上に立つ気概も。残念ながらそういうものだけは、いくら努力しても勝てる気がしません……」
アベルがフィアンを抱き寄せる。大きな手で優しく髪を梳かれるのが心地よくて、フィアンは素直に彼に身を委ねた。
「騎士としての忠誠は陛下に捧げましたが、一人の男としての僕はすべて貴女だけのものです。愛する心は永遠に貴女だけに捧げましょう、フィアン。──天地神明に誓って」
そして二人は、どちらからともなく唇を重ね合わせた。
切なげなアベルの声と表情に、フィアンは急に不安になった。
「もしかしてアベル、嫌だった……? ──ごめんなさい。私ばかりじゃなくて貴方にも気持ちよくなってもらいたくて……調子に乗ってやり過ぎたわ。もう、しないから」
「フィアン……」
フィアンがしゅんとして謝ると、アベルは感慨深げに名前を呼んで、彼女を強く抱きしめた。
そのとき尖った胸の頂がアベルの硬い胸板にこすれて、フィアンは思わず「あっ……!」と声を出してしまった。かまわずアベルは腕に力を入れて、フィアンの乳房をぎゅうぎゅうと押しつぶす。
「謝らないでください。僕は嬉しいのです。貴女が僕にそこまでしてくれることに」
「本当……?」
「ええ、幸せすぎてどうにかなってしまいそうです」
腕を解くとアベルはフィアンの腰を軽々と持ち上げ、自分の足の上に座らせた。
自然とフィアンの足は大きく開き、下肢の間にアベルのものが触れる。
「あ……」
それはついさっき欲望を放ったばかりだというのに、もう力を取り戻していた。いきり立った硬い感触に、フィアンの心臓がドクンと跳ねる。
「フィアン──次は一緒に、気持ちよくなりましょう……っ」
その言葉とともに勢いよく腰を降ろされ、一気にお腹の奥まで貫かれた。
「あああぁ……!」
ズンッという重い衝撃に、フィアンの身体が仰け反る。
十分に潤いを帯びていた秘部は慣らすまでもなく剛直を受け入れ、絡みついていた。
「あ……熱い……アベル」
「貴女の中も、同じくらい熱いですよ」
うねる襞にアベルがたまらず息を吐く。
「はぁ……、相変わらず、貴女の中は最高だ」
いったん熱棒をぎりぎりまで引き抜いてから、もう一度最奥を穿つ。この体制だとフィアン自身の重みも加わり、最奥のさらに奥まで切っ先がねじこまれた。
強烈な快楽に全身を支配され、翻弄され、フィアンは長い髪を振り乱す。
「あっ……! そこ……やっ」
「嫌ではないでしょう? こんなに僕を締めつけて、……っ」
繰り返される激しい律動。ゆさゆさと身体を揺さぶられて、フィアンは必死でアベルの首にしがみついた。
「あっ……あんっ、……ふうっ……んんっ!」
アベルがふっと笑う。
「貴女の中……僕のものに絡みついてきて、食いちぎられそうだ。奥を突くたびにぎゅっとしまって……、っ、そんなに悦いんですか?」
何度も突き上げられる悦楽に頭が真っ白になり、フィアンは自分で腰を動かしていることに気づかない。
そんなフィアンの淫らな痴態を見て、中にあるアベルの欲望がさらなる熱をもって膨れ上がった。
「……素直になってください。聞かせて、貴女の気持ちを。貴女の声で聞きたいんです。……今、どんな感じですか?」
艶っぽく濡れた声で囁かれるように訊ねられ、フィアンは回らない頭で必死に考える。喘ぎながらも、かすれた声で答えた。
「んっ……いい……、すごく、気持ちいい……っ。アベル……好き。もっと、して」
普段の清廉さなど消え失せ、フィアンは潤んだ瞳でおねだりした。彼女の立ち上るような妖艶さに、アベルがごくりと唾液を飲み込む。
「本当に貴女という人は……っ。言わせたのは僕ですが、なんでそんなに可愛いんですか。天使ですか、女神ですか? ──いや、もはや悪魔だ。僕を誘惑して魅了して永遠に離さない。いつも僕ばかりが乱される。貴女の心も……僕と同じくらい乱されればいいのに……っ」
「ああぁっ……!」
完全に余裕を失くしたようにアベルはがつがつと腰を打ちつける。
蜜壺の中を隙間なく埋める巨大なものに容赦なく奥を穿たれ、フィアンは胸を突き出すようにして感じ入った。
二つのたわわな果実が目の前で誘うように揺れる光景に我慢できなくなったのか、アベルは腰を動かしながらも眼前の色付いた実にむしゃぶりついた。もう片方の乳房には手が伸ばされ、荒く揉みしだかれる。
下肢を貫かれながらの巧みな口淫と指淫に、フィアンは全身を痙攣させながら悶えた。
「あああっ! そんなにいろいろされたら、おかしくなっちゃう……!」
「いいですよ、僕の前でなら。これ以上ないくらい乱れた貴女を見せてください。──一緒にイきましょう……フィアン……!」
一際強く腰を打ちつけられ、ついにフィアンは絶頂を迎えた。アベルの頭をぎゅっと抱き締め、ガクガクと身体中を震わせる。
膣が絞まり、埋め込まれた男根から精子を絞り取ろうと肉襞が激しくうねる。
その襞の動きにアベルも限界を迎え、屹立が力強く脈打ち、フィアンの中に勢いよく欲望を吐き出した。
奥が熱く濡れていく感覚に、フィアンは恍惚とする。
大量の精を出しきったあと、アベルはそのままフィアンを押し倒し、肌を重ねたまま力を抜いた。
温かくほっとする重みに幸福を感じながら、フィアンはアベルの背中に腕を回した。
やがて二人の余韻がなくなる頃、アベルが自身をずるりと引き抜き、夢心地のとろんとした目のままぽつりと呟いた。
「はあ……幸せだ……。貴女とこうして愛し愛される現実を、ずっと夢見ていました。……貴女の初めての男となった日からは、二人が繋がった証を毎日眺めながら、もう一度この腕に抱く日をどれだけ切望したことか……」
アベルの独り言をぼーっと聞いていたフィアンは、ふと引っかかりを覚えて、首を傾げてアベルに問うた。
「二人が繋がった証……?」
「はい、貴女が純潔を失ったときに流した血ですよ。それを見た僕は感激に打ち振るえ、その感動をいつでも思い出せるように記念にとっておいたんですよ」
「とっておいたって……どうやって?」
「赤い血が映えるように白いシャツの裾を破って、それに染み込ませました」
霞がかってぼんやりしていた頭が一気に冴え渡る。
フィアンはガバッと起き上がり、わなわなと口を震わせながらアベルを見つめた。
(純潔の証である血を拭き取ったものを今も持っているなんて、信じられない……!)
なによりそれを当たり前のように言ってのけるアベルが怖い。
恥ずかしいのと怖いのとで、フィアンはアベルに詰め寄って叫んだ。
「そ、それ返して! ──いいえ、今すぐ燃やして!」
「嫌だと言ったら?」
「貴方とは結婚なんてしないわ! この屋敷からも今すぐ出て行く!」
断言するとアベルが目を丸くした。そしてしぶしぶ脱ぎ捨ててあった自身の服のポケットから白い布切れを取り出すと、さも名残惜しげフィアンに渡す。
その布切れには確かに血液を拭き取ったような茶色い染みがあった。
フィアンはそれをひったくるようにして暖炉に投げ捨て、燭台の火を移して燃やした。
「ああ……もったいない」
アベルはまるで自分の宝物を燃やされたかのように悲壮につぶやき、肩を落とす。
彼はあれを騎士服のポケットから取り出したが、まさかいつも肌身離さず持ち歩いていたのだろうか。大切で厳格な騎士の職務中も……。
だとしたらナイジェルの言ったとおり、自分は相当やっかいな男性に捕まってしまったのかもしれない。
けれど、それも今さらだ。そんな彼に惚れたのは、他でもない自分である。
一心にこちらを見つめる熱い眼差しに、どうしようもなく心を惹かれたのだ。もう二度と、後戻りはできないほどに。
だから結局、彼のそんな怖いくらいの愛情深さまで嬉しく思ってしまう。
(アベルは相当愛が深いみたいだけど……私も大概よね。だって彼にそこまで──海よりも深く愛されていることが、こんなにも嬉しいんだもの)
アベルはしばらく暖炉を眺めながら落ち込んでいたが、やがて気を取り直したのか顔を上げた。
「でも……まあいいです。これからは毎日、本物の貴女が傍にいてくれるんですから。……ねえ、そうでしょう?」
フィアンはこちらの顔色をうかがうアベルの髪をさらりと撫でて、頭にキスをする。
「フィ、フィアン……?」
「私、貴方の髪が世界で一番好きだわ。林檎みたいに鮮やかな赤色で、とても綺麗だもの。それに目立つから、どこにいても貴方をすぐ見つけられる。だからきっとはぐれずに、ずっと一緒にいられるわ。貴方をもう二度と、独りにはしない」
気持ちを込めて伝えればアベルは驚いたようだったものの、すぐに目元をゆるめ嬉しそうに微笑んだ。心なしか琥珀の瞳が潤んでいるようにも見えるが、フィアンの気のせいだろうか。
「貴女を手に入れられるなら兄上を亡き者にしてでも……と考えたこともありましたが、そうならなくてよかった……」
「え?」
アベルが一瞬なにかをつぶやいたが、あまりに小さい声だったので聞き返す。
しかしアベルは首を横に振った。
「いいえ、なんでもありません。ただ……子爵家の当主には兄上がふさわしい。わがままで奔放な人ですが、人脈や人望は、幼い頃から跡継ぎとして育てられた兄上には適わない。それに、たくさんの人の上に立つ気概も。残念ながらそういうものだけは、いくら努力しても勝てる気がしません……」
アベルがフィアンを抱き寄せる。大きな手で優しく髪を梳かれるのが心地よくて、フィアンは素直に彼に身を委ねた。
「騎士としての忠誠は陛下に捧げましたが、一人の男としての僕はすべて貴女だけのものです。愛する心は永遠に貴女だけに捧げましょう、フィアン。──天地神明に誓って」
そして二人は、どちらからともなく唇を重ね合わせた。
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執着大好物~~💗
はじめまして😆
感想ありがとうございます!
初心者で感想に対して返信できることを今まで知らず、時間差での返信となってしまいました💦
申し訳ないです😢
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