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リリアン、再び出撃の時!
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リリアンと小早川ユウキは、街へ出かけることになった。シュペール王国より進んだ文明があるこちらの世界は、リリアンにとっては新鮮な驚きの連続だった。ユウキにどんどん尋ねて、自分の知識として吸収していく。そして、
「ねえユウキ、わたし、ユウキのことも知りたいわ。教えてよ」
これまで、自分のことだけを語り続けてきたリリアンだったが、ユウキ本人のことも、教えてくれるように頼んだのだった。
「普通の高校生さ。アンビシャス学園っていうハイスクールの二年生だよ。そこでいろいろ勉強してるけど、特に僕は有名じゃないよ、平凡な存在さ。リリアンみたいに貴族とかじゃないし、魔法も使えないし」
「ハイスクールって面白そうだわ。わたしも行きたいなあ」
「リリアンはもともとこっちの人間じゃないからね。来たら面白いことになりそうだけど」
なんにでも興味津々のリリアンはどんどん話題を変えていく。
「何かやってることはある? 好きな趣味とか?」
「特撮番組を見るのが好きかなあ。僕、正義のヒーローに憧れてるんだよ。自分でも成りたいんだよね、難しいけど、でも空手という武道を習ってる」
「ステキな夢だわ。変身して人々を守るのね。ユウキならきっとなれるわ」
リリアンは、前にいたシュペール王国で、自分が聖女として同じような事をやっていたのを思い起こしていたが、この場では話さなかった。しかし、リリアンはこっちに来てから自分が随分饒舌になっているのに気がついていた。
向こうでは、聖女、王太子婚約者として、人々の注目の的だった。常に見張られているような生活だった。そして、貴族階級のしきたりやなんやらに縛られた暮らしで、けっしてそんな暮らしは好きではなかった。誰も、自分のことを知らないこちらの方が、気楽でいられて、自由にふるまえる。今の方が本当の自分かもしれない。
「ユウキは婚約とかしてるの?」
シュペール王国では、貴族階級は10代のうちに婚約をするのが普通だったのだが、ユウキはこの質問に、噴き出しそうになった。
「こ、婚約……? まさか、こっちじゃそんなに早く結婚決めたりしないから。僕なんて、
彼女もいないし」
「それじゃ、フリーなの? わたしと一緒ね」
ユウキは、彼女はいないと言いつつも、自分が片想いしているある同級生の女の子の顔を思い出していた。彼女はリリアンに負けないくらいの美少女だった。
ユウキは、自分がフリーと知ってリリアンの顔が少しほころんだのを見逃したが、そうこうしているうちに駅に着いた。彼女は、駅の人混みに驚いた。
「うわあ、人が一杯いるわね。すごいわ。この世界はすごく活気があるのね」
駅の切符自販機も、動く箱である電車にも驚かされた。リリアンにとっては、どれも初めて見る新鮮なモノだったのだ。
「まず、スカイタワーに行こうか」
ユウキは、美少女を、この国で一番高い建物に連れていった。地上700mあるタワーを見上げると
「うわあ、高~い。すごいわね」
リリアンは驚いていた。その後地上500mの展望台から、東京の光景を見下ろした。その後、いろいろな場所を見て回った。リリアンにとっては何もかも興味深く、新鮮であった。
「すごく楽しいわ。世の中にこんな楽しいことがあったなんて!」
異世界から来た美少女は、心の底から生まれて初めての男性とのデートを楽しんだのだった。リリアンの大変な喜び方に、ユウキも満足だった。
そして、さっきから、ユウキは自分たちが周囲から視線を集めているのに気付いた。すれ違った男たちがハッして振り返っていく。みんなリリアンの美しさに気を取られているのだった。
「わたしたち、なんだか注目されてるみたいね」
リリアンも、周囲からの視線に気がついていた。
「リリアンがきれいだからさ。みんな君に注目してるんだよ」
「ええ、そうなの? でもユウキもカッコいいよ」
小早川ユウキも容姿は、そう悪い方ではなかった。ただし、女性には奥手で、まだ異性とキスもしたことはなかった。こんな美少女を連れて歩くのは悪い気はしなかった。
すっかりリラックスしたリリアンはキャッキャッと、子供のように笑うようになり、2人はすっかり打ち解けた雰囲気になった。
いつの間にか恋人どうしのような雰囲気になり、どちらからともなく並んで手をつないで歩いていた。すこし調子に乗ったユウキは、自分の指をリリアンの指にからめて恋人つなぎにしていたが、美少女は拒否しなかった。
しかし、少し人気の少ない場所に入っていった2人の目に入ってきたのは、衝撃的な光景だった。幼稚園生が乗っているらしいスクールバスが停車していて、その周囲を怪しい連中が取り囲んでいる。
「グフフ、出てこいガキども」
クモのような容貌をした怪人が襲撃者の中心のようだ。そして5、6人の黒づくめの戦闘員を従えている。最近、各地で出没し、人々を怯えさせている悪の組織の一味だった。ユウキは彼らを見て驚いた。
「うわっ、スクールバス襲撃だよ! 悪の秘密結社だ」
「スクールバスって?」
「小さな子供たちが乗ってるバスだよ。今日は日曜日だから運航してないはずだけど、
何か行事でもあったのかな?」
「悪の秘密結社って言ったわね。この世界にも、悪いやつらはいるってことね」
異世界にも、こちらにも悪はいたのだった。ついさっきまで、はしゃいでいたリリアンの美貌が、たちまちキリっと引き締まって、真剣そのものの表情に変わった。
「ユウキ、どうするの?」
「子供たちを救うために戦うんだ。僕が奴らをやっつけてやる」
正義のヒーローに憧れているユウキは、悪の秘密結社の出現を目の前にして、自分が戦うと言い出したのだ。だが、どう見ても現実的ではない。
「でも、ユウキは一般人なんでしょ。どうやって戦うの?」
「空手でもなんでも使って、素手でも戦ってやるさ」
この場面において、リリアンは冷静だった。ユウキは知らなかったが、シュペール王国で魔族と戦う聖女として、いくつもの修羅場をくぐってきたのだ。
「あいつら強そうよ。ユウキが戦ったらケガじゃ済まない。ここはわたしが戦うわ」
「ええっ、リリアンが! 本気なの?」
ユウキは、あまりにもハッキリと言い切ったリリアンの力強い口調に驚いた。口ぶりから冗談ではなさそうだ。だが、異世界からきて多少魔法を使えるとはいえ、ただの1人の女の子に過ぎない。
彼女が怪人たちと戦える力を持っているようにはユウキには見えない。それとも何か強力な武器でも隠し持っているのだろうか?
「でも、戦うって、どうやって?」
「決まってるわ。変身して戦うのよ」
「ええっ、変身⁉」
今日、何回も驚いて来たユウキだったが、ここで最大の驚きが来たのだった
「ねえユウキ、わたし、ユウキのことも知りたいわ。教えてよ」
これまで、自分のことだけを語り続けてきたリリアンだったが、ユウキ本人のことも、教えてくれるように頼んだのだった。
「普通の高校生さ。アンビシャス学園っていうハイスクールの二年生だよ。そこでいろいろ勉強してるけど、特に僕は有名じゃないよ、平凡な存在さ。リリアンみたいに貴族とかじゃないし、魔法も使えないし」
「ハイスクールって面白そうだわ。わたしも行きたいなあ」
「リリアンはもともとこっちの人間じゃないからね。来たら面白いことになりそうだけど」
なんにでも興味津々のリリアンはどんどん話題を変えていく。
「何かやってることはある? 好きな趣味とか?」
「特撮番組を見るのが好きかなあ。僕、正義のヒーローに憧れてるんだよ。自分でも成りたいんだよね、難しいけど、でも空手という武道を習ってる」
「ステキな夢だわ。変身して人々を守るのね。ユウキならきっとなれるわ」
リリアンは、前にいたシュペール王国で、自分が聖女として同じような事をやっていたのを思い起こしていたが、この場では話さなかった。しかし、リリアンはこっちに来てから自分が随分饒舌になっているのに気がついていた。
向こうでは、聖女、王太子婚約者として、人々の注目の的だった。常に見張られているような生活だった。そして、貴族階級のしきたりやなんやらに縛られた暮らしで、けっしてそんな暮らしは好きではなかった。誰も、自分のことを知らないこちらの方が、気楽でいられて、自由にふるまえる。今の方が本当の自分かもしれない。
「ユウキは婚約とかしてるの?」
シュペール王国では、貴族階級は10代のうちに婚約をするのが普通だったのだが、ユウキはこの質問に、噴き出しそうになった。
「こ、婚約……? まさか、こっちじゃそんなに早く結婚決めたりしないから。僕なんて、
彼女もいないし」
「それじゃ、フリーなの? わたしと一緒ね」
ユウキは、彼女はいないと言いつつも、自分が片想いしているある同級生の女の子の顔を思い出していた。彼女はリリアンに負けないくらいの美少女だった。
ユウキは、自分がフリーと知ってリリアンの顔が少しほころんだのを見逃したが、そうこうしているうちに駅に着いた。彼女は、駅の人混みに驚いた。
「うわあ、人が一杯いるわね。すごいわ。この世界はすごく活気があるのね」
駅の切符自販機も、動く箱である電車にも驚かされた。リリアンにとっては、どれも初めて見る新鮮なモノだったのだ。
「まず、スカイタワーに行こうか」
ユウキは、美少女を、この国で一番高い建物に連れていった。地上700mあるタワーを見上げると
「うわあ、高~い。すごいわね」
リリアンは驚いていた。その後地上500mの展望台から、東京の光景を見下ろした。その後、いろいろな場所を見て回った。リリアンにとっては何もかも興味深く、新鮮であった。
「すごく楽しいわ。世の中にこんな楽しいことがあったなんて!」
異世界から来た美少女は、心の底から生まれて初めての男性とのデートを楽しんだのだった。リリアンの大変な喜び方に、ユウキも満足だった。
そして、さっきから、ユウキは自分たちが周囲から視線を集めているのに気付いた。すれ違った男たちがハッして振り返っていく。みんなリリアンの美しさに気を取られているのだった。
「わたしたち、なんだか注目されてるみたいね」
リリアンも、周囲からの視線に気がついていた。
「リリアンがきれいだからさ。みんな君に注目してるんだよ」
「ええ、そうなの? でもユウキもカッコいいよ」
小早川ユウキも容姿は、そう悪い方ではなかった。ただし、女性には奥手で、まだ異性とキスもしたことはなかった。こんな美少女を連れて歩くのは悪い気はしなかった。
すっかりリラックスしたリリアンはキャッキャッと、子供のように笑うようになり、2人はすっかり打ち解けた雰囲気になった。
いつの間にか恋人どうしのような雰囲気になり、どちらからともなく並んで手をつないで歩いていた。すこし調子に乗ったユウキは、自分の指をリリアンの指にからめて恋人つなぎにしていたが、美少女は拒否しなかった。
しかし、少し人気の少ない場所に入っていった2人の目に入ってきたのは、衝撃的な光景だった。幼稚園生が乗っているらしいスクールバスが停車していて、その周囲を怪しい連中が取り囲んでいる。
「グフフ、出てこいガキども」
クモのような容貌をした怪人が襲撃者の中心のようだ。そして5、6人の黒づくめの戦闘員を従えている。最近、各地で出没し、人々を怯えさせている悪の組織の一味だった。ユウキは彼らを見て驚いた。
「うわっ、スクールバス襲撃だよ! 悪の秘密結社だ」
「スクールバスって?」
「小さな子供たちが乗ってるバスだよ。今日は日曜日だから運航してないはずだけど、
何か行事でもあったのかな?」
「悪の秘密結社って言ったわね。この世界にも、悪いやつらはいるってことね」
異世界にも、こちらにも悪はいたのだった。ついさっきまで、はしゃいでいたリリアンの美貌が、たちまちキリっと引き締まって、真剣そのものの表情に変わった。
「ユウキ、どうするの?」
「子供たちを救うために戦うんだ。僕が奴らをやっつけてやる」
正義のヒーローに憧れているユウキは、悪の秘密結社の出現を目の前にして、自分が戦うと言い出したのだ。だが、どう見ても現実的ではない。
「でも、ユウキは一般人なんでしょ。どうやって戦うの?」
「空手でもなんでも使って、素手でも戦ってやるさ」
この場面において、リリアンは冷静だった。ユウキは知らなかったが、シュペール王国で魔族と戦う聖女として、いくつもの修羅場をくぐってきたのだ。
「あいつら強そうよ。ユウキが戦ったらケガじゃ済まない。ここはわたしが戦うわ」
「ええっ、リリアンが! 本気なの?」
ユウキは、あまりにもハッキリと言い切ったリリアンの力強い口調に驚いた。口ぶりから冗談ではなさそうだ。だが、異世界からきて多少魔法を使えるとはいえ、ただの1人の女の子に過ぎない。
彼女が怪人たちと戦える力を持っているようにはユウキには見えない。それとも何か強力な武器でも隠し持っているのだろうか?
「でも、戦うって、どうやって?」
「決まってるわ。変身して戦うのよ」
「ええっ、変身⁉」
今日、何回も驚いて来たユウキだったが、ここで最大の驚きが来たのだった
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