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公爵令嬢の決意
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みんなでひとしきり泣きまくった後、一番気が強いアデルが口を開いた。
「それにしても憎いのは子爵令嬢ドロテアだわ。このまま子爵邸に乗り込んで、ぶち殺してやりたいけど」
頭に血が昇って物騒な事を口走るアデルを、いつも冷静なシルビアが窘めた。
「短慮に走ってはダメよ。それこそ相手の思うツボ、そのくらい百も承知で厳しい防備を敷いてるわ。そんなところにうかうか乗り込んで、捕まりでもしたら、それこそ公爵家が取り潰されてしまう」
「でも、それでは姫のお気持ちが!」
血気盛んな闘将アデルは、なかなか納得しなかったが、その時だった、天然娘で、いつも突拍子もない事を言い出してみんなを驚かせるクラリスがサプライズな提案をした。
「そうだわ! どうせ、行くところがないなら、みんなで異世界に行ったらどうかしら? 異世界で出直すのよ」
「ええっ、異世界⁉」
クラリス以外の全員が驚いて一斉に叫んだ。しかし、クラリスは本気だった。ふざけているように見えても、彼女はいつも本気なのだ。
「わたしは真剣よ。みんなで行けばなんとかやっていけるわ」
クラリスの言葉を、わたしが引き取った。
「いいアイデアかもしれないわ。もうこの王国に居場所はないもの。他国へいったところで婚約破棄されたレッテルはつきまとう。誰もわたしたちを知らない新しい場所で出直すのよ。みんなで行きましょう、異世界に」
「はい!」
4人の女騎士たちは一斉に返事した。この騎士団の中では、わたしが決めれば最終決定になるのだ。これで決まりだった。
「しかし公爵閣下には、何とご説明を?」
さすがはシルビアだ。大事なことを忘れていた。彼女は父公爵からの信任も篤かった。
「お父様には手紙を書くつもりよ。あなたたちと一緒に遠い所に旅すると。いつか戻るから、探したり、後は追わないように付け加えるわ。もう1つ、ルビー王国から離脱して、隣国のダイヤ王国に移籍するようにと助言しておきましょう」
「わかりました」
こうして、わたしたち5人は異世界転移することを決めた。悪くない5人だ。自分で言うのもなんだけど、わたしを含めて皆、水準以上の美少女ばかりだった。
わたしの信頼が篤い、思慮に富んだ知将シルビア
仲間たちの中で最も気が強く、優れた戦士アデル
わたしたちの中のムードメーカーで天然娘のクラリス
汚れを知らぬ清純派で、わたしを一途に慕うシモーヌ
彼女達と一緒なら何でもやれるような気がする。わたしにとっては大切な、大切な宝物だ。王妃の椅子なんかより、彼女達の方がわたしには大事だということに、ようやく気がついたのだ。
「それにしても憎いのは子爵令嬢ドロテアだわ。このまま子爵邸に乗り込んで、ぶち殺してやりたいけど」
頭に血が昇って物騒な事を口走るアデルを、いつも冷静なシルビアが窘めた。
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「でも、それでは姫のお気持ちが!」
血気盛んな闘将アデルは、なかなか納得しなかったが、その時だった、天然娘で、いつも突拍子もない事を言い出してみんなを驚かせるクラリスがサプライズな提案をした。
「そうだわ! どうせ、行くところがないなら、みんなで異世界に行ったらどうかしら? 異世界で出直すのよ」
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クラリス以外の全員が驚いて一斉に叫んだ。しかし、クラリスは本気だった。ふざけているように見えても、彼女はいつも本気なのだ。
「わたしは真剣よ。みんなで行けばなんとかやっていけるわ」
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「はい!」
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「しかし公爵閣下には、何とご説明を?」
さすがはシルビアだ。大事なことを忘れていた。彼女は父公爵からの信任も篤かった。
「お父様には手紙を書くつもりよ。あなたたちと一緒に遠い所に旅すると。いつか戻るから、探したり、後は追わないように付け加えるわ。もう1つ、ルビー王国から離脱して、隣国のダイヤ王国に移籍するようにと助言しておきましょう」
「わかりました」
こうして、わたしたち5人は異世界転移することを決めた。悪くない5人だ。自分で言うのもなんだけど、わたしを含めて皆、水準以上の美少女ばかりだった。
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