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30話 颯side

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そっとただ触れるだけのキス。こんな中学生みたいなキスなのに、今までしてきたどんなキスよりも気持ち良くて、胸が高なった。もっとしたい。悠をだきたい。そんな欲望が俺の中で渦巻き、支配する。


しかし、俺には済ませなくてはならないことがあった。




「…悠、俺行ってくる。」

「うん。颯は関係ないのにごめんね。」

「俺は悠の彼氏なんだから、関係なくない。」

今まで、俺は悠の友達だから、すぐ我慢する悠には頼って貰えないことも多かった。さっきだって、あいつに部外者だと言われ、言い返せなかった。でも俺は今悠の恋人。もっと頼って欲しい。



「…もう、どれだけ颯を好きにさせるだよ。」

「もっと好きになってよ、悠。」


「…そんなこと言わなくても大好きだよ。」


「…ックソ!可愛すぎる。……いきたくねーけどそろそろ行ってくるわ。」

「ありがとうね。」

「おう。また戻ってくるから、待ってて、な?」

「うん。」

また口を重ねるだけのキスを交わし俺は部屋を出た。ああ、顔がにやけて止まらない。…このままではだめだ、と思い、頬を叩いて気を引き締める。…でもやはり顔がゆるむ。…だって!しかないだろ!やっと両思いになったんだ!キキキキスだって2回も!あー幸せだ…



そんな馬鹿みたいな顔を鋭い冷たい目で見ている俺が一番嫌いな奴。






「…遅いと思ったら…ふざけんなよ。」





あーまじやらかした。
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