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第9話
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マリアナの登場でグレゴリオによる剣術の訓練は一時中断を余儀なくされた。
砂塵に関してはグレゴリオの風魔法により、綺麗さっぱりと処理された。
マークはグレゴリオの圧巻の風魔法を目の当たりにした。やはり魔法は素晴らしいと。
まぁマークは魔法が一切使えないのだが。
その後、早速マークはグレゴリオに剣術を教えて貰えることとなった。
日々の努力の賜物で身体能力強化はできているということだったが、剣術の訓練では剣を振るうだけの筋力強化しかしてはいけないという指示があった。
それは何より純粋に剣術を鍛錬する為である。
そういう理由もあってマークも訓練中に使う身体能力強化は最低限に留めていた。
グレゴリオに説明された通り、素振りを行っていく。
しかし、やはり剣術に関しては素人も同然。
グレゴリオの容赦の無いダメ出しが飛んでくる。
「力み過ぎだ! 力を抜け、剣ってのは力任せに振ればいいというものではない!」
マークはグレゴリオからの指摘をきちんと吸収して、一振り一振りに昇華させていく。
「これでいいですか?」
マークが一振り一振りグレゴリオに確認を求める。グレゴリオもそれに応えて改善点を指摘していく。
剣術を習い始めたばかりだがマークの吸収スピードは異常に早かった。
それはマークが転生者であるということにも起因しているだろうが、グレゴリオは知る由もない。
マークの上達スピードにグレゴリオの口から感嘆の声が漏れる。
「初日でここまで振れるようになるとはな、流石ダリウスの息子と言わざるを得ないな」
勿論、剣術としてはまだまだ未熟だ。
今現在、剣術に置いてグレゴリオに勝るということは万に一にもないだろう。
ただ剣術の才能だけでいえば、グレゴリオをも簡単に上回る才能をマークを持っていた。
それはグレゴリオも認める程だ。
そして、大体素振りを始めてから1000回程木刀を振っただろうか。
「よし、今日はここまでにする! ———というか、どうして息切れ一つしてないんだ?」
グレゴリオは黒目黒髪のマークを見て違和感を感じざるを得ない。
そもそも5歳の男児が木刀を1000回も振れることが異常だ。
それなのに目の前の少年はまるで何もなかったかのようにケロッとした顔を浮かべている。
「もう終わりですか……」
まだ振り足りないのか、マークは残念がる表情を見せる。
その様子を見て、目の前にいる少年の異常さを元王国騎士団長も痛烈に感じる。
———万が一この少年が魔法が使えたら
グレゴリオも考えただけで戦慄を覚えた。
怪物の卵とも思える少年はおもちゃを取られたような、可愛らしい残念そうな顔をしていた。
グレゴリオとしても出来れば、もう少し見てやりたいと思うが、ずっと見てやれる程暇ではない。
「俺は毎日ここに来て教えてやれるわけではない。だから、俺が来れない日は素振りだけでもしておくことだな」
グレゴリオは終わり際、そうマークに告げた。
そして初日の剣術の訓練は幕を閉じた。
訓練が終わるのと同じタイミングでマーク担当侍女のサラシャが声を掛けてきた。
「マーク様、次に参りましょう。昼食を摂っていただいた後、カルラ様による座学です」
そうしてマークはサラシャの後ろをついていった。
過密なスケジュールに貴族というのは大変なんだなと、マークは思った。
ただ忙しさに負けず、マークは生き生きとした表情を浮かべていた。
そして昼食を摂った後、座学を教えてくれるというカルラという人のもとへ向かった。
そしてそこにいたのは碧色の髪に、碧眼の人形のように肌の白い少女だった。
砂塵に関してはグレゴリオの風魔法により、綺麗さっぱりと処理された。
マークはグレゴリオの圧巻の風魔法を目の当たりにした。やはり魔法は素晴らしいと。
まぁマークは魔法が一切使えないのだが。
その後、早速マークはグレゴリオに剣術を教えて貰えることとなった。
日々の努力の賜物で身体能力強化はできているということだったが、剣術の訓練では剣を振るうだけの筋力強化しかしてはいけないという指示があった。
それは何より純粋に剣術を鍛錬する為である。
そういう理由もあってマークも訓練中に使う身体能力強化は最低限に留めていた。
グレゴリオに説明された通り、素振りを行っていく。
しかし、やはり剣術に関しては素人も同然。
グレゴリオの容赦の無いダメ出しが飛んでくる。
「力み過ぎだ! 力を抜け、剣ってのは力任せに振ればいいというものではない!」
マークはグレゴリオからの指摘をきちんと吸収して、一振り一振りに昇華させていく。
「これでいいですか?」
マークが一振り一振りグレゴリオに確認を求める。グレゴリオもそれに応えて改善点を指摘していく。
剣術を習い始めたばかりだがマークの吸収スピードは異常に早かった。
それはマークが転生者であるということにも起因しているだろうが、グレゴリオは知る由もない。
マークの上達スピードにグレゴリオの口から感嘆の声が漏れる。
「初日でここまで振れるようになるとはな、流石ダリウスの息子と言わざるを得ないな」
勿論、剣術としてはまだまだ未熟だ。
今現在、剣術に置いてグレゴリオに勝るということは万に一にもないだろう。
ただ剣術の才能だけでいえば、グレゴリオをも簡単に上回る才能をマークを持っていた。
それはグレゴリオも認める程だ。
そして、大体素振りを始めてから1000回程木刀を振っただろうか。
「よし、今日はここまでにする! ———というか、どうして息切れ一つしてないんだ?」
グレゴリオは黒目黒髪のマークを見て違和感を感じざるを得ない。
そもそも5歳の男児が木刀を1000回も振れることが異常だ。
それなのに目の前の少年はまるで何もなかったかのようにケロッとした顔を浮かべている。
「もう終わりですか……」
まだ振り足りないのか、マークは残念がる表情を見せる。
その様子を見て、目の前にいる少年の異常さを元王国騎士団長も痛烈に感じる。
———万が一この少年が魔法が使えたら
グレゴリオも考えただけで戦慄を覚えた。
怪物の卵とも思える少年はおもちゃを取られたような、可愛らしい残念そうな顔をしていた。
グレゴリオとしても出来れば、もう少し見てやりたいと思うが、ずっと見てやれる程暇ではない。
「俺は毎日ここに来て教えてやれるわけではない。だから、俺が来れない日は素振りだけでもしておくことだな」
グレゴリオは終わり際、そうマークに告げた。
そして初日の剣術の訓練は幕を閉じた。
訓練が終わるのと同じタイミングでマーク担当侍女のサラシャが声を掛けてきた。
「マーク様、次に参りましょう。昼食を摂っていただいた後、カルラ様による座学です」
そうしてマークはサラシャの後ろをついていった。
過密なスケジュールに貴族というのは大変なんだなと、マークは思った。
ただ忙しさに負けず、マークは生き生きとした表情を浮かべていた。
そして昼食を摂った後、座学を教えてくれるというカルラという人のもとへ向かった。
そしてそこにいたのは碧色の髪に、碧眼の人形のように肌の白い少女だった。
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