4 / 9
第4話
しおりを挟む
マークが屋敷内を生後1ヶ月にして歩き回った事件が起きてから一週間後。
黒目黒髪の少年マークは専用の居室にて新たな企みを始めようとしていた。
この世界アーストラに生まれてから、約1ヶ月間が経過したが、その間筋トレ以外で暇な時は独自の瞑想を毎日繰り返してきた。
そのおかげもあって、副産物的なもので体内にある未知のエネルギーの存在にも気付くことが出来た。
さらに継続的な努力の成果もあってか、最近では少しずつだが体内に感じた魔力を動かせるようになってきた。
まだまだ拙いところの方が多い。
魔力を動かせるようになるにはかなり大変だった。
簡単にいうと魔力を動かすというのは普段使わない身体の部分をいきなり使おうとするようなもの。
もっと簡単にいうと足の指を手のように動かせと言われてもすぐは出来ないけれど、訓練すれば簡単なものくらいは掴めるようになる、とそんな感じだ。
魔力を体内に動かせるようになってからマークの身体には多くの変化が見られた。
身体がふっと軽くなった感覚があるのと視覚、聴覚などの五感の全てが鋭敏になったそんな感覚だ。
「あぅ! あぅ!(これは凄い! ドーピングしたような感じだ! ものすごく楽しいぞ!)」
僕はこのように体内の魔力を操作して、身体能力を一時的に高める事を——魔力操作、並びに、身体強化と名付けることにした。
物凄く安直的なネーミングだが、意味に齟齬はないので大丈夫だろう。
そして体内の魔力操作と、微弱ながらの身体強化によって僕はとうとうある事に成功した。
「あぅ!あぅ!(やっほーい! ようやく走れるようになったぞ! 風が凄く気持ちいいぞ!)」
マークは歩き回る事に成功してから1週間後、遂に走り回る事に成功した。
この世界に魔力があって本当に良かったな。そのおかげもあってか、魔力を使った身体強化ドーピングによって今僕はこうやって生後間もなくして走り回れている。
「あぅ……(やっぱり僕は異常な赤ちゃんなんだろうな?)」
最近、自分の成長スピードが可笑しい点で両親や従者を驚かせてばっかりいるが、それに関しては些細な問題だと割り切る事にした。
いちいち気にしていたら、自力でトイレが出来るようになるまでに物凄く長い時間を要してしまう。
それはどうしても避けたい最優先事項だ。
「あぅ!(今度こそ! 自分でトイレに向かうぞ!)」
そしてマークは半開きになっている居室のドアから勢いよく飛び出した。
侍女のサラシャも気付いていないようで追ってくる気配はない!
「あぅ!(いいぞ! この調子だ! ようやくこの時がきたぞ! あと十数メートルくらいだ! ようやく念願の独り立ちだ!)」
魔力の体内循環スピードを加速させる。
すると身体の奥底から熱いものが込み上げてくる。
空気を斬って前へと進む。
走る爽快感が全身を包みこむ。
「あぅ! あぅ!(待ち望んだ時がようやく! これで僕も解放されるんだ!)」
何だか感動で涙が出てきそうだ。
もう既に目の前にトイレの扉が見えてきた。
あと数歩!
さらに僕は推進力を上げる。
「あぅ!(フルスロットル全開!)」
僕はさらに体内の魔力を高速で循環させる。
魔力の循環は行えば行うほど効率的になっていく。まだまだ僕はスピードは上げられるぞ!
そしてようやく——————到着。
「あぅ!(とうとう到着したぞ、極楽の地へ!)」
運良くもトイレの扉が開いていて、上手く扉を開ける事に成功した。
ようやく待ち焦がれていた安息の地へのゲートがが開く。
そして、扉を開けた途端に神々しく眩しい光がマークの瞳を刺した。
そして、余りの神々しさのせいかマークの視界が一挙、真っ白になった。
「あぅ……(これが待ちにまった、天上の風景か。なんとも神々しい。まさか、これがトイレの神様ってやつか!………ってあれ、なんだか……)」
バタンッ!
そして小さいナニカが倒れるような音が不思議にも屋敷内全体に響き渡った。
発見されたのはマークが夢見心地の満足の笑みを浮かべてトイレで倒れている姿だった。
そのあとマークは丸一日、目を覚まさなかった。
すぐに呼びつけた神官の診断によって、マークが倒れた原因として『魔力枯渇』との診断が下された。
結局、丸一日寝ていたマークはサラシャによって綺麗にされていた。
———次こそは…………必ず。
黒目黒髪の少年マークは専用の居室にて新たな企みを始めようとしていた。
この世界アーストラに生まれてから、約1ヶ月間が経過したが、その間筋トレ以外で暇な時は独自の瞑想を毎日繰り返してきた。
そのおかげもあって、副産物的なもので体内にある未知のエネルギーの存在にも気付くことが出来た。
さらに継続的な努力の成果もあってか、最近では少しずつだが体内に感じた魔力を動かせるようになってきた。
まだまだ拙いところの方が多い。
魔力を動かせるようになるにはかなり大変だった。
簡単にいうと魔力を動かすというのは普段使わない身体の部分をいきなり使おうとするようなもの。
もっと簡単にいうと足の指を手のように動かせと言われてもすぐは出来ないけれど、訓練すれば簡単なものくらいは掴めるようになる、とそんな感じだ。
魔力を体内に動かせるようになってからマークの身体には多くの変化が見られた。
身体がふっと軽くなった感覚があるのと視覚、聴覚などの五感の全てが鋭敏になったそんな感覚だ。
「あぅ! あぅ!(これは凄い! ドーピングしたような感じだ! ものすごく楽しいぞ!)」
僕はこのように体内の魔力を操作して、身体能力を一時的に高める事を——魔力操作、並びに、身体強化と名付けることにした。
物凄く安直的なネーミングだが、意味に齟齬はないので大丈夫だろう。
そして体内の魔力操作と、微弱ながらの身体強化によって僕はとうとうある事に成功した。
「あぅ!あぅ!(やっほーい! ようやく走れるようになったぞ! 風が凄く気持ちいいぞ!)」
マークは歩き回る事に成功してから1週間後、遂に走り回る事に成功した。
この世界に魔力があって本当に良かったな。そのおかげもあってか、魔力を使った身体強化ドーピングによって今僕はこうやって生後間もなくして走り回れている。
「あぅ……(やっぱり僕は異常な赤ちゃんなんだろうな?)」
最近、自分の成長スピードが可笑しい点で両親や従者を驚かせてばっかりいるが、それに関しては些細な問題だと割り切る事にした。
いちいち気にしていたら、自力でトイレが出来るようになるまでに物凄く長い時間を要してしまう。
それはどうしても避けたい最優先事項だ。
「あぅ!(今度こそ! 自分でトイレに向かうぞ!)」
そしてマークは半開きになっている居室のドアから勢いよく飛び出した。
侍女のサラシャも気付いていないようで追ってくる気配はない!
「あぅ!(いいぞ! この調子だ! ようやくこの時がきたぞ! あと十数メートルくらいだ! ようやく念願の独り立ちだ!)」
魔力の体内循環スピードを加速させる。
すると身体の奥底から熱いものが込み上げてくる。
空気を斬って前へと進む。
走る爽快感が全身を包みこむ。
「あぅ! あぅ!(待ち望んだ時がようやく! これで僕も解放されるんだ!)」
何だか感動で涙が出てきそうだ。
もう既に目の前にトイレの扉が見えてきた。
あと数歩!
さらに僕は推進力を上げる。
「あぅ!(フルスロットル全開!)」
僕はさらに体内の魔力を高速で循環させる。
魔力の循環は行えば行うほど効率的になっていく。まだまだ僕はスピードは上げられるぞ!
そしてようやく——————到着。
「あぅ!(とうとう到着したぞ、極楽の地へ!)」
運良くもトイレの扉が開いていて、上手く扉を開ける事に成功した。
ようやく待ち焦がれていた安息の地へのゲートがが開く。
そして、扉を開けた途端に神々しく眩しい光がマークの瞳を刺した。
そして、余りの神々しさのせいかマークの視界が一挙、真っ白になった。
「あぅ……(これが待ちにまった、天上の風景か。なんとも神々しい。まさか、これがトイレの神様ってやつか!………ってあれ、なんだか……)」
バタンッ!
そして小さいナニカが倒れるような音が不思議にも屋敷内全体に響き渡った。
発見されたのはマークが夢見心地の満足の笑みを浮かべてトイレで倒れている姿だった。
そのあとマークは丸一日、目を覚まさなかった。
すぐに呼びつけた神官の診断によって、マークが倒れた原因として『魔力枯渇』との診断が下された。
結局、丸一日寝ていたマークはサラシャによって綺麗にされていた。
———次こそは…………必ず。
0
お気に入りに追加
430
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
前世の幸福ポイントを使用してチート冒険者やってます。
サツキ コウ
ファンタジー
俗に言う異世界転生物。
人生の幸福ポイントを人一倍残した状態で不慮の死を遂げた主人公が、
前世のポイントを使ってチート化!
新たな人生では柵に囚われない為に一流の冒険者を目指す。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
家族もチート!?な貴族に転生しました。
夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった…
そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。
詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。
※※※※※※※※※
チート過ぎる転生貴族の改訂版です。
内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております
※※※※※※※※※
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる