【連載小説】僕の好きなこと

遠藤良二

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10話 今日は初出勤

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 翌日になり、7時ころ起きた。今日がバイト1日目。コンビニの仕事は見ている限りではいろいろ細かそう。切手やハガキの販売、郵送のための手続き。多分できるとは思うけれど。

 この根拠のない自信はどこからやってくるのだろう? 自分でも不思議なくらい。仕事に行く準備をした。服装はジーンズに黒い長袖Tシャツにスニーカーを履いて車で向かった。

 7~8分走り職場に到着した。表の自動ドアを開けて入り、
「おはようございます」
 言いながら会釈をした。今、顔を合わせた店員は女性で、年輩に近いくらいだった。そのまま事務所に行くと柏原店長がいた。
「柏原店長、おはようございます!」
 元気に挨拶をした。
「お! 石垣君。来たわね。朝から元気そうで」
 僕はそう言われて笑みを浮かべた。
「はい、元気です!」
 今度は柏原店長が笑みを浮かべた。
「じゃあ、まずはレジで出勤の入力をしましょう。売り場に行くよ」
「はい!」
「良い返事ね」
 
 柏原店長が先頭になってレジまで歩いた。お客さんが1人会計をしていた。その後に、
「山川さん、ちょっといいかしら。今日からここで働く石垣哲太くんよ」
「よろしくお願いします!」
 僕は挨拶をした。先程の年輩に近いぽっちゃりとした体型の女性店員だ。
「こちらこそよろしくね」
 そう言って僕の仕事は始まった。緊張はしている。でも、せっかく見つけた仕事だからがんばろうと思う。前みたいに半年やそこらで辞めないようにしないと。そう思い自嘲した。

 15時になり勤務を終えた。初体験の仕事なので、勤務時間は5時間だけれど疲れてしまった。明日も出勤なので帰宅したら少し昼寝しようと思う。

 夜、飲むために500mlの発泡酒を1本、勤務先のコンビニで買って帰ろうとした時、
「石垣君。お疲れ様。がんばったわね。また、明日もよろしくね」
 柏原店長は優しい笑みを見せて僕にそう言った。
「はい、よろしくお願いします」
「帰ってゆっくり休みなさい。少し疲れているみたいだから」
 気遣ってくれて嬉しかった。
「はい、わかりました。失礼します」
 そう言って、職場をあとにした。

 帰宅して居間に行くと母がいた。
「哲太、おかえり。どうだった?」
 僕はソファに座り、
「疲れたよ」
 言うと母は、
「明日も仕事?」
 訊いてきたので、
「そうだよ」
 と答えた。
 僕は、昔から疲れやすく、体力も気力も充実していない。でも、今のところ病気は患っていない。

 僕は自分の部屋に行き、ベッドに横になった。すぐさま寝入った。
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