Start Over

星座が巡り会う時に ②

大地は北風に吹かれ、身を擦り合わせながら寒さを凌いでいるように思えた。
幸せに包まれた風に後押しされる。

その瞬間、枯れた葉っぱがぶわっと宙を舞う。


彼女の命の灯火は、数日前、消えた。

息を吸うことを忘れたかのようにゆっくりと、苦しみもせず、突然に。
本当に息絶えたのか、不思議なほどに。


彼女がいなくなったことで唯一変わったのは、私の生活だった。
何をしていても虚ろに彼女の事を考えている。
まるで大切なものを落としてしまった事に、永遠に気付かないまま死んだ人間のようだ。

それに加えて、私は綺麗なものを見ると、どうしても彼女を連想してしまう。
星だって、落ちていく枯葉だって、儚い貴女のように見えてしまうんだ。


そういえば、昨日見たうお座の星の色は変わっていなかった。星の輝きも変わっていなかった。
星を繋ぐ線を描く私の指だって、あの時握ってくれた時の優しさと暖かさを覚えている。

「ねえ……」

星に手を伸ばした。

あの星に貴女はいるの？
あの星に行けば、貴女に会える？

答えは夜空に浮かんだ彼女のように綺麗な星が知っているはずだ。


……あぁ、もしかして。貴女の事を忘れられないのは、

「雲に乗せられた噂のせいかな」

貴女の美しさのせいかな。