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15:せめて優しく※
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今日は廃村に行くという事でタビサは部屋でお留守番をしていた。
人がいる集落であれば、避難した村人とともに安全な場所で待っていてもらえるのだが、廃村であればそうもいかない。タビサに護衛を付けるほど騎士の人数に余裕があるわけでもないので、廃村に行く場合はタビサもおとなしく留守番を受け入れている。
「おかえりなさい!」
いつものように、返ってきたテランスと綾乃を出迎える。だが今日はいつもと違って綾乃が起きている。抱き上げられて帰ってくるのは変わらないのだが、タビサの歓迎に「ただいま」と言葉を返した。
「わぁ。今日は力を使い果たさなかったのですね!」
ベッドの上に綾乃を下すと、テランスは足早に部屋を出ていこうとするが、タビサが「聖女様が起きてらっしゃるのに、テランス様は相変わらず苦しげなんですね」と、不思議そうに問いかけた。
「え? それってどういう……」
「テランス様はいつも聖女様をこうして抱きかかえてお戻りになられるんですけど、いーっつも顔をこうやってぎゅーってして、苦しそうなんです。眉間にはしわがはいってるし、唇をかみしめすぎて血とかでてるんですよ。てっきりタビサは気を失った聖女様に……」
「黙れ!!」
詳しく説明しだしたタビサを制止するように強い言葉を吐き出すテランスの表情は苦々しい。
『お前は……こんな俺が言っても説得力の欠片もないと思うが、俺が守る』
『正直抑えきれる自信は……ない。もしそうなったら俺の事を殺せ』
あの時の言葉がよみがえる。
きっとテランスはずっと耐えてくれていたのだ、間近で綾乃の芳香をかぎながらも、一度失った信用を取り戻すために死に物狂いで耐えてくれていたのだ。
「テランス……」
だが昂った感情はどうしているのだろうか。そんな疑問が湧き上がる。そして帰り際にリアーナがテランスへ言った言葉を思い出した。
『さーって帰って休息ですわよ! ギー! 食事の後に私の部屋まで来くるのだわ』
この後行くのだろう。綾乃の芳香によって滾った感情を爆発させに――
そう思うと、綾乃はたまらなくなった。自分勝手だって思う、でもこの気持ちは確かに素直な自分の気持ちなのだと。
ふらつく足取りでベッドから降りた綾乃は、倒れ込むようにテランスの背中へ縋りつく。
「行かないで……」
テランスの表情は伺い知ることが出来ない。だが、ごくりと生唾を飲み込んだのが分かった。
「どういう意味か分かって言っているのか?」
綾乃は熟考し、静かに頷いた。テランスが振り返り、綾乃の腕を乱暴に掴む。また理性が飛んでしまったのだろうかと、少しだけ恐怖を覚えてテランスの双眸を仰ぎ見る。そこには熱をはらんだ本能が滾ってはいるが、我を失っているという様子ではなさそうだ。
「俺が……どんな思いで今まで……クソ」
見上げたままの綾乃へ、テランスは今までで一番優しい口づけをした。
★★★
『血の味がする』
優しかったキスは次第に熱を帯びる。テランスが口づけをしながらガントレットを外し、床へ放り投げる。ゴトリと重々しい音が二回続けて鳴った。
タビサはどうしたのかと視線を彷徨わせるが部屋内にいる様子はないところを見ると、気をきかせて出ていったのだろう。あとで謝らなければと考えたところで、テランスの手が綾乃の胸をまさぐり始めた。
ピクリと体が小さく跳ねる。布越しに双丘の頂を探り当て、そっと輪郭をなぞるように指を這わせた。
「んっ……」
声が零れ、縋るように背中に回した手に力が入る。
ついばむ様なキスをしていたが、ゆっくりとテランスの舌が綾乃の口内へ入ってくる。おずおずと言った様子なのは、まだ本当にしていいのかどうか不安があるのだろう。綾乃はそんなテランスの舌を自らの舌でからめとり、甘噛みをした。
「ふっ」
いつもは眉間にしわを寄せて不機嫌そうにしている顔に朱が差し、熱で潤んだ瞳を向けられると、綾乃にいとおしい気持ちがこみ上げてくる。
「ずっと……ずっとこうしたいと思ってた」
どちらからともなく唇を離し、テランスが綾乃をぎゅっと力強く抱きしめる。互いの熱を少しでも逃さないように、隙間から気持ちの一欠片さえもこぼさないように……。
いつの間にか外されていた背中のボタン。テランスは綾乃の肩を抱き、するりと祭服をずらした。あらわになる白い肌。そして、昨日つけられた首筋の赤いマークに、テランスの顔が苦々しく歪められた。
ぱっと綾乃はその場所を手のひらで覆い隠す。裏切り――そんな言葉が頭をよぎりテランスにこんなに求められるような存在ではないのではないだろうかと不安になる。
「どけろ」
そう短く言われ綾乃は肩を震わせた。そして、ゆっくりとその手を離す。
やがてテランスは顔を首筋にうずめるようにし、リューの付けた印をかき消すように強く強く口づけをする。ピリッとした痛みが走るが、食むような舌の感触に体の中に疼きが生まれ始める。
「ふっ……ん」
しばらくして綾乃が疼きに身を悶えさせ始めた頃、ようやく口を離したテランスは綾乃の首筋に残された印が自分で上書きできたことに満足し、ひょいっと軽々綾乃を抱きかかえベッドへと運んだ。
優しくベッドへ降ろされ、綾乃を跨ぐようにテランスもベッドへと乗り込んだ。
テランスは服を脱ぎ始めるが、着ているのは騎士の鎧。鉄の塊といったような重装備ではないが、一見布地に見えるその下にはチェーンメイルが装備されているし、その分とても重いものになっている。
綾乃は脱ぐのを手伝おうと、その身を起こす。太ももの辺りでテランスが綾乃には体重をかけずに座っているので、身を起こすと鼻を突き合わせるほど近い。ベルトや留め金を外す手伝いをしていると、テランスが無防備な綾乃のおでこや頬にキスを落とす。ちゅちゅっといたずらをしているようなキス。
「ちょ、ちょっと」
抗議しようと顔を上げると、今度は唇を奪われる。今度はさっきみたいな、たどたどしい探るようなキスではない。深い深いキスは貪るように、綾乃の中の疼きを掻き立てていく。
「んっ……」
目を瞑り、テランスの想いを受け止める。指先に触れていた布越しのテランスの熱が、やがて直接感じられる。程よく締まった筋肉は固くて、でもしなやかさを感じる。
そういえばこんなにしっかりと異性の体を触るのは初めてかもしれないと、綾乃はそっとテランスの筋肉を確かめるように指を伝わせる。たどたどしいその動きにテランスの欲望はこれでもかと掻き立てられる。するりと下へ落とされた綾乃の細い指先が――本人の予期する所ではなかったが、雄々しく滾らせたテランスの頂へ触れる。
「っ……!」
びくりと体を跳ねさせ、テランスの唇が離れていく。目を開けると、熱をはらみ潤んだ鋭い双眸が目の前にあった。
綾乃は指先に触れているテランスの一物をそっとなぞると、ぬるりとした感触。恐る恐るゆっくりと屹立した先から根本へと指を滑らせる。手の中でぴくぴくと動く様子がなんだか面白くて、綾乃は少しだけ調子に乗って手で輪を作るようにして男根を握ると、何度か上下させていく。
テランスの吐息がどんどんと荒くなり、自分の手で気持ち良くなってくれているという事に喜びを感じ始める。
だが、綾乃はやりすぎてしまったのだ。今度は優しくしようと思っていたテランスの想いが、再び欲望の渦によって絡めとられていく。
「フーッ……フーッ……」
余裕のないテランスの顔。荒くなった吐息がまるで獣のようで、綾乃はようやくやりすぎたことに気が付く。
「テ、テランス……?」
乱暴に肩を掴まれ、そのまま押し倒される。己の屹立した根元に手を添えて、綾乃の蜜壺へあてがうと一気にその楔を打ち込んだ。
「ひぅっ……!」
ぞくぞくと体を駆け抜けていく強烈な光――。目の前がちかちかし、綾乃は息をすることさえ忘れる。
だが、テランスの動きは止まらない。
「ま、まって……」
「まてない」
何度も何度も深く深くへ打ち込まれ、そのたびに綾乃は声にならない悲鳴を上げた。
だが、じんじんとした甘辛い痛みは綾乃の体を駆け抜けていき、どんどんと蜜液をあふれさせていく。
打ち付けられる音がどんどん湿り気を帯びていき、ぱちゅぱちゅと部屋内に響き渡る。
「あ、あぁ……テラン……ス……」
「くっ……っ……!」
息を荒げている口からわずかに舌先を覗かせ、綾乃の顔が淫らになっていく。ひどい顔をしている――そんな自覚はあったが、どうにもならないのだ。ほんのわずかに残った冷静さが逆に自分の淫猥さを知らしめてきて、下っ腹の辺りがきゅーっと締め付けられる。
奥深くまで突き抜かれ、そのたびに綾乃の中に小さな愉悦が蓄積されていく。徐々に膨らむその愉悦が弾けそうになった瞬間、テランスが腰を引き、綾乃の中からちゅるんと欲望を抜き出した。濡れ光るそれを見ながら、綾乃は物欲しげに太ももを擦り合わせる。
「どうして……?」
返事の代わりにテランスは、綾乃の秘所へと顔を近づけると、花弁を押し広げ、むき出しになった敏感な場所へ唇を押し当てた。
「……ダメッ……!」
びくりと腰が浮き上がり、一気に蜜があふれ出る。雄々しい塊で無理やり押し広げられたそこは熱を持ち、甘い疼きを綾乃に送り続けていた。
そして敏感になったそこが、テランスの柔らかい唇の感触に一気にその快楽を押し上げる。きゅっと締め付けられるように切なく乱され、綾乃はだらしなく半開きの口から吐息とよだれを流した。
「はっ……はっ……! んんっ……!」
テランスはビクつく綾乃の体を固定するように、がっちりと両足を抑え込み、逃れられないようにする。
じゅるじゅると溢れる蜜液をすすり、蜜壺の中を舌でかき回した。膨らんだ快楽がどんどんと綾乃を淫猥にしていく。
ひくつく花芽を、尖らせた口先ですするようにして刺激を与えると、綾乃は体をそらして呼吸を乱す。
「あぁあぁぁぁ……!」
そしてとどめとばかりに、ぷっくりと膨らんだ花芽を柔らかく噛んだ。
「はぁ……ああぁぁぁ、だめぇ……もうだめぇ……っ!!」
何度も何度も駆け抜ける悦楽が、綾乃の下腹部を絶頂に押し上げる。
「乱暴にしてしまうかもしれない、今だって何とか理性を保ってる。だから、せめて……これでもかという程気持ちよくしてやる」
ビクビクと腰が勝手に震える。達して敏感になった秘所は、とろとろの愛液を滴らせている。テランスはそれを指に絡めて潤滑油代わりにすると、ひくつく蜜壺へゆっくりと挿入する。一本だった指が二本になり、くのじに曲げて指の腹で押し上げるように蜜壺内をかき回す。
雄々しいテランスの一物で中をかき回されるよりも、指のほうがより緻密な動きで綾乃の気持ちいい場所を的確についてくる。綾乃の漏れる声を聴き分けながら、テランスはじっくりと中を押し上げ、擦りつけ弄った。
そのうちに弄られながらテランスが体中にキスをし始める。首筋につけられた印を体中につけ、自分のものだとアピールするかのように。
舌で舐めながら印をつけて、どんどんと上に登ってくる。物欲しげに赤く色づいた蕾がテランスを誘う。
「ずいぶんと、俺を誘う……」
ちゅっと音を立てて蕾を含み、甘噛みをしながら刺激を与える。それと同時に蜜壺を弄る指が、ぐっと膣壁を押し上げる。同時にきた快楽の渦に綾乃は何度目かの絶頂を迎える。もともとぎりぎりまで削られていた体力が回復しないうちにことに及んでいるため、もはや綾乃の体力は尽きそうなほどに減っていた。
「も、もう……ダメ……、これ以上は……耐えられ……んっんっ」
軽く息が蕾にかかるだけで達するほど、綾乃の体は溺れていた。
「じゃあ、どうしてほしい?」
意地悪く問われ、綾乃は乱れた顔を赤らめ「挿れて……ほしい」とか細い声を紡ぐ。
『ああ。テランスの目が……』
本能をむき出しにして、テランスが綾乃の中へ一気に入った。ひくつく膣襞がテランスの肉塊にまとわりつく。ビクビクと収縮を繰り返す綾乃の中に耐えられないとばかりに声を漏らした。
「はぁっ……! ぁっ……!」
二人の荒い吐息と、うち合わさる淫猥な音が部屋中に響き渡る。何度か侍女が部屋に伺ってきたのだが、外まで響くその音に顔を赤らめて踵を返していることに二人は気が付かない。
テランスの大きな男根は綾乃の奥深くまで届き、降りてきた子宮口へ到達する。入り口へキスするように何度も何度も押すように刺激されると、綾乃は全身が性感帯になったような快楽を覚え、何度も何度も体をひくつかせた。すり合わせるように腰が勝手に動く。
「んっ、あ……おかしく……なっちゃう……ダメ……」
胸を鷲掴みにされ、激しい下半身の動きとは反対に優しく揉みしだかれる。テランスの指に吸い付くように、双丘はいやらしく形を変える。
「くっ……!」
動きがいっそ激しくなり、苦し気にテランスが喘ぐと、その欲情の滾りを一気に放出する。
中で温かいものが爆発し、ビクりと大きくテランスが震えるのが分かった。
人がいる集落であれば、避難した村人とともに安全な場所で待っていてもらえるのだが、廃村であればそうもいかない。タビサに護衛を付けるほど騎士の人数に余裕があるわけでもないので、廃村に行く場合はタビサもおとなしく留守番を受け入れている。
「おかえりなさい!」
いつものように、返ってきたテランスと綾乃を出迎える。だが今日はいつもと違って綾乃が起きている。抱き上げられて帰ってくるのは変わらないのだが、タビサの歓迎に「ただいま」と言葉を返した。
「わぁ。今日は力を使い果たさなかったのですね!」
ベッドの上に綾乃を下すと、テランスは足早に部屋を出ていこうとするが、タビサが「聖女様が起きてらっしゃるのに、テランス様は相変わらず苦しげなんですね」と、不思議そうに問いかけた。
「え? それってどういう……」
「テランス様はいつも聖女様をこうして抱きかかえてお戻りになられるんですけど、いーっつも顔をこうやってぎゅーってして、苦しそうなんです。眉間にはしわがはいってるし、唇をかみしめすぎて血とかでてるんですよ。てっきりタビサは気を失った聖女様に……」
「黙れ!!」
詳しく説明しだしたタビサを制止するように強い言葉を吐き出すテランスの表情は苦々しい。
『お前は……こんな俺が言っても説得力の欠片もないと思うが、俺が守る』
『正直抑えきれる自信は……ない。もしそうなったら俺の事を殺せ』
あの時の言葉がよみがえる。
きっとテランスはずっと耐えてくれていたのだ、間近で綾乃の芳香をかぎながらも、一度失った信用を取り戻すために死に物狂いで耐えてくれていたのだ。
「テランス……」
だが昂った感情はどうしているのだろうか。そんな疑問が湧き上がる。そして帰り際にリアーナがテランスへ言った言葉を思い出した。
『さーって帰って休息ですわよ! ギー! 食事の後に私の部屋まで来くるのだわ』
この後行くのだろう。綾乃の芳香によって滾った感情を爆発させに――
そう思うと、綾乃はたまらなくなった。自分勝手だって思う、でもこの気持ちは確かに素直な自分の気持ちなのだと。
ふらつく足取りでベッドから降りた綾乃は、倒れ込むようにテランスの背中へ縋りつく。
「行かないで……」
テランスの表情は伺い知ることが出来ない。だが、ごくりと生唾を飲み込んだのが分かった。
「どういう意味か分かって言っているのか?」
綾乃は熟考し、静かに頷いた。テランスが振り返り、綾乃の腕を乱暴に掴む。また理性が飛んでしまったのだろうかと、少しだけ恐怖を覚えてテランスの双眸を仰ぎ見る。そこには熱をはらんだ本能が滾ってはいるが、我を失っているという様子ではなさそうだ。
「俺が……どんな思いで今まで……クソ」
見上げたままの綾乃へ、テランスは今までで一番優しい口づけをした。
★★★
『血の味がする』
優しかったキスは次第に熱を帯びる。テランスが口づけをしながらガントレットを外し、床へ放り投げる。ゴトリと重々しい音が二回続けて鳴った。
タビサはどうしたのかと視線を彷徨わせるが部屋内にいる様子はないところを見ると、気をきかせて出ていったのだろう。あとで謝らなければと考えたところで、テランスの手が綾乃の胸をまさぐり始めた。
ピクリと体が小さく跳ねる。布越しに双丘の頂を探り当て、そっと輪郭をなぞるように指を這わせた。
「んっ……」
声が零れ、縋るように背中に回した手に力が入る。
ついばむ様なキスをしていたが、ゆっくりとテランスの舌が綾乃の口内へ入ってくる。おずおずと言った様子なのは、まだ本当にしていいのかどうか不安があるのだろう。綾乃はそんなテランスの舌を自らの舌でからめとり、甘噛みをした。
「ふっ」
いつもは眉間にしわを寄せて不機嫌そうにしている顔に朱が差し、熱で潤んだ瞳を向けられると、綾乃にいとおしい気持ちがこみ上げてくる。
「ずっと……ずっとこうしたいと思ってた」
どちらからともなく唇を離し、テランスが綾乃をぎゅっと力強く抱きしめる。互いの熱を少しでも逃さないように、隙間から気持ちの一欠片さえもこぼさないように……。
いつの間にか外されていた背中のボタン。テランスは綾乃の肩を抱き、するりと祭服をずらした。あらわになる白い肌。そして、昨日つけられた首筋の赤いマークに、テランスの顔が苦々しく歪められた。
ぱっと綾乃はその場所を手のひらで覆い隠す。裏切り――そんな言葉が頭をよぎりテランスにこんなに求められるような存在ではないのではないだろうかと不安になる。
「どけろ」
そう短く言われ綾乃は肩を震わせた。そして、ゆっくりとその手を離す。
やがてテランスは顔を首筋にうずめるようにし、リューの付けた印をかき消すように強く強く口づけをする。ピリッとした痛みが走るが、食むような舌の感触に体の中に疼きが生まれ始める。
「ふっ……ん」
しばらくして綾乃が疼きに身を悶えさせ始めた頃、ようやく口を離したテランスは綾乃の首筋に残された印が自分で上書きできたことに満足し、ひょいっと軽々綾乃を抱きかかえベッドへと運んだ。
優しくベッドへ降ろされ、綾乃を跨ぐようにテランスもベッドへと乗り込んだ。
テランスは服を脱ぎ始めるが、着ているのは騎士の鎧。鉄の塊といったような重装備ではないが、一見布地に見えるその下にはチェーンメイルが装備されているし、その分とても重いものになっている。
綾乃は脱ぐのを手伝おうと、その身を起こす。太ももの辺りでテランスが綾乃には体重をかけずに座っているので、身を起こすと鼻を突き合わせるほど近い。ベルトや留め金を外す手伝いをしていると、テランスが無防備な綾乃のおでこや頬にキスを落とす。ちゅちゅっといたずらをしているようなキス。
「ちょ、ちょっと」
抗議しようと顔を上げると、今度は唇を奪われる。今度はさっきみたいな、たどたどしい探るようなキスではない。深い深いキスは貪るように、綾乃の中の疼きを掻き立てていく。
「んっ……」
目を瞑り、テランスの想いを受け止める。指先に触れていた布越しのテランスの熱が、やがて直接感じられる。程よく締まった筋肉は固くて、でもしなやかさを感じる。
そういえばこんなにしっかりと異性の体を触るのは初めてかもしれないと、綾乃はそっとテランスの筋肉を確かめるように指を伝わせる。たどたどしいその動きにテランスの欲望はこれでもかと掻き立てられる。するりと下へ落とされた綾乃の細い指先が――本人の予期する所ではなかったが、雄々しく滾らせたテランスの頂へ触れる。
「っ……!」
びくりと体を跳ねさせ、テランスの唇が離れていく。目を開けると、熱をはらみ潤んだ鋭い双眸が目の前にあった。
綾乃は指先に触れているテランスの一物をそっとなぞると、ぬるりとした感触。恐る恐るゆっくりと屹立した先から根本へと指を滑らせる。手の中でぴくぴくと動く様子がなんだか面白くて、綾乃は少しだけ調子に乗って手で輪を作るようにして男根を握ると、何度か上下させていく。
テランスの吐息がどんどんと荒くなり、自分の手で気持ち良くなってくれているという事に喜びを感じ始める。
だが、綾乃はやりすぎてしまったのだ。今度は優しくしようと思っていたテランスの想いが、再び欲望の渦によって絡めとられていく。
「フーッ……フーッ……」
余裕のないテランスの顔。荒くなった吐息がまるで獣のようで、綾乃はようやくやりすぎたことに気が付く。
「テ、テランス……?」
乱暴に肩を掴まれ、そのまま押し倒される。己の屹立した根元に手を添えて、綾乃の蜜壺へあてがうと一気にその楔を打ち込んだ。
「ひぅっ……!」
ぞくぞくと体を駆け抜けていく強烈な光――。目の前がちかちかし、綾乃は息をすることさえ忘れる。
だが、テランスの動きは止まらない。
「ま、まって……」
「まてない」
何度も何度も深く深くへ打ち込まれ、そのたびに綾乃は声にならない悲鳴を上げた。
だが、じんじんとした甘辛い痛みは綾乃の体を駆け抜けていき、どんどんと蜜液をあふれさせていく。
打ち付けられる音がどんどん湿り気を帯びていき、ぱちゅぱちゅと部屋内に響き渡る。
「あ、あぁ……テラン……ス……」
「くっ……っ……!」
息を荒げている口からわずかに舌先を覗かせ、綾乃の顔が淫らになっていく。ひどい顔をしている――そんな自覚はあったが、どうにもならないのだ。ほんのわずかに残った冷静さが逆に自分の淫猥さを知らしめてきて、下っ腹の辺りがきゅーっと締め付けられる。
奥深くまで突き抜かれ、そのたびに綾乃の中に小さな愉悦が蓄積されていく。徐々に膨らむその愉悦が弾けそうになった瞬間、テランスが腰を引き、綾乃の中からちゅるんと欲望を抜き出した。濡れ光るそれを見ながら、綾乃は物欲しげに太ももを擦り合わせる。
「どうして……?」
返事の代わりにテランスは、綾乃の秘所へと顔を近づけると、花弁を押し広げ、むき出しになった敏感な場所へ唇を押し当てた。
「……ダメッ……!」
びくりと腰が浮き上がり、一気に蜜があふれ出る。雄々しい塊で無理やり押し広げられたそこは熱を持ち、甘い疼きを綾乃に送り続けていた。
そして敏感になったそこが、テランスの柔らかい唇の感触に一気にその快楽を押し上げる。きゅっと締め付けられるように切なく乱され、綾乃はだらしなく半開きの口から吐息とよだれを流した。
「はっ……はっ……! んんっ……!」
テランスはビクつく綾乃の体を固定するように、がっちりと両足を抑え込み、逃れられないようにする。
じゅるじゅると溢れる蜜液をすすり、蜜壺の中を舌でかき回した。膨らんだ快楽がどんどんと綾乃を淫猥にしていく。
ひくつく花芽を、尖らせた口先ですするようにして刺激を与えると、綾乃は体をそらして呼吸を乱す。
「あぁあぁぁぁ……!」
そしてとどめとばかりに、ぷっくりと膨らんだ花芽を柔らかく噛んだ。
「はぁ……ああぁぁぁ、だめぇ……もうだめぇ……っ!!」
何度も何度も駆け抜ける悦楽が、綾乃の下腹部を絶頂に押し上げる。
「乱暴にしてしまうかもしれない、今だって何とか理性を保ってる。だから、せめて……これでもかという程気持ちよくしてやる」
ビクビクと腰が勝手に震える。達して敏感になった秘所は、とろとろの愛液を滴らせている。テランスはそれを指に絡めて潤滑油代わりにすると、ひくつく蜜壺へゆっくりと挿入する。一本だった指が二本になり、くのじに曲げて指の腹で押し上げるように蜜壺内をかき回す。
雄々しいテランスの一物で中をかき回されるよりも、指のほうがより緻密な動きで綾乃の気持ちいい場所を的確についてくる。綾乃の漏れる声を聴き分けながら、テランスはじっくりと中を押し上げ、擦りつけ弄った。
そのうちに弄られながらテランスが体中にキスをし始める。首筋につけられた印を体中につけ、自分のものだとアピールするかのように。
舌で舐めながら印をつけて、どんどんと上に登ってくる。物欲しげに赤く色づいた蕾がテランスを誘う。
「ずいぶんと、俺を誘う……」
ちゅっと音を立てて蕾を含み、甘噛みをしながら刺激を与える。それと同時に蜜壺を弄る指が、ぐっと膣壁を押し上げる。同時にきた快楽の渦に綾乃は何度目かの絶頂を迎える。もともとぎりぎりまで削られていた体力が回復しないうちにことに及んでいるため、もはや綾乃の体力は尽きそうなほどに減っていた。
「も、もう……ダメ……、これ以上は……耐えられ……んっんっ」
軽く息が蕾にかかるだけで達するほど、綾乃の体は溺れていた。
「じゃあ、どうしてほしい?」
意地悪く問われ、綾乃は乱れた顔を赤らめ「挿れて……ほしい」とか細い声を紡ぐ。
『ああ。テランスの目が……』
本能をむき出しにして、テランスが綾乃の中へ一気に入った。ひくつく膣襞がテランスの肉塊にまとわりつく。ビクビクと収縮を繰り返す綾乃の中に耐えられないとばかりに声を漏らした。
「はぁっ……! ぁっ……!」
二人の荒い吐息と、うち合わさる淫猥な音が部屋中に響き渡る。何度か侍女が部屋に伺ってきたのだが、外まで響くその音に顔を赤らめて踵を返していることに二人は気が付かない。
テランスの大きな男根は綾乃の奥深くまで届き、降りてきた子宮口へ到達する。入り口へキスするように何度も何度も押すように刺激されると、綾乃は全身が性感帯になったような快楽を覚え、何度も何度も体をひくつかせた。すり合わせるように腰が勝手に動く。
「んっ、あ……おかしく……なっちゃう……ダメ……」
胸を鷲掴みにされ、激しい下半身の動きとは反対に優しく揉みしだかれる。テランスの指に吸い付くように、双丘はいやらしく形を変える。
「くっ……!」
動きがいっそ激しくなり、苦し気にテランスが喘ぐと、その欲情の滾りを一気に放出する。
中で温かいものが爆発し、ビクりと大きくテランスが震えるのが分かった。
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