先輩。私が恋を証明できたら、好きになっていただけませんか?

りっと

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第二章 存在の証明

自信を持っていいと思う

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〈兄:ウィルフリードSide〉



そっか。バルドリックだけじゃなくて、ルイーザもエルを守る覚悟を決めていたんだね。
なんだ。そっか。僕だけじゃなかったんだ。

「はっ…、ははっ。なんだ。そっか。ははっ」

僕はエルが大好き過ぎて、いつの間にか“エルを護るのも、護れるのも僕だけ”って思い込んでいたみたいだ。そんな訳ないのにね。

「あらん?ウィルちゃんの表情か戻ったみたいでよかったわんっ♪
あっ、ウィルちゃん。因みにあたくしはエルちゃん大好きなお友達よん。改めてよろしくねん?生意気ボーイ♪」

エミリーの“生意気ボーイ”と言う言葉にイラッとし、思わず睨んでしまう。

「あらぁ~っ?あらあらぁ~んっ♪悔しかったら、あたくし以上に強くなってご覧なさいなっ☆そしたらその喧嘩をあたくしが買ってあげるわぁ~ん♪お~ほっほっほ~っ!!」

ビキッ 自分の額に青筋が立つのがわかった。

「ええ、そうですね。僕が今の貴方の年齢になるまで四半世紀はかかりますが、まぁ、その時はよろしくお願いしますね?」

「あぁぁぁんっ!?!?何だとこのクゾガキぃ~っ!!!!」

僕とエミリーの視線にバチバチッと火花が散る。

「はいはい、そこまで」

今まで僕達のやり取りを見守っていたお母様が、パンパンと手を叩きながら、話に割り込んてくる。

「ねぇ、ウィル。因みになんだけど、お母様はエルちゃんを産んだ、たったひとりの母親よ。よろしくね?」

お母様が可愛らしく小首を傾げ、からかってくる。

「ぐ…っ!!申し訳ありません。お母様…」

「あらぁ~っ、なんの事かしらぁ~?」

「あははっ。これはウィルの負けだね」

つい先程まで暗かった雰囲気が、お父様とお母様、そして悔しいけどエミリーのおかけで明るくなった。
セバスやベアティ、デルミーラにアメリアとアンネリースまで、いつ間にかクスクスと笑っている。

「私達は、自分達なら“エルの心も体も護れる”と、傲っておごっていたのかもしれないね。
シロガネ殿に言われた事を、再度噛み締め、もう二度とこんな事が起こらないようにしよう。皆、いいね?」

「かしこまりました。お父様」

「おうっ!!任せとけっ!!」
「お任せくださいませ。お父様」

僕の返事の後に、バルドリックとルイーザが返事をする。

「さぁ、明日からの事だけどね、王都での滞在期間は1週間だけにしようと思うんだ」

「あなた…、大丈夫ですの?」

お父様の急な提案に、お母様は戸惑いの色を見せる。

「大丈夫だよ。元々、ウィルフリードやバルドリック、ルイーザにお茶会やサロンの場数を踏ませようと、多めの日程にしていたに過ぎないからね。
だけど、エルは王都に不安を感じているだろう?そんな王都での生活は、エルにとって負担になるだけだからね。
他の貴族に早く帰る理由を聞かれたら、エルには申し訳ないけど、“末の娘の体調が悪い”という事にしておこう」

お父様のエルをダシにする様な発言がちょっと見過ごせなくて、思わず冷たい視線を向けてしまう。
だけど、早く帰る事に関しては賛成だ。
僕は他の貴族の子息や令嬢と過ごすより、エルと過ごす時間を優先したい。

本当は、何者にも傷つけられない様に、僕の部屋に閉じ込めてしまいたいけど、エルは籠の鳥じゃない。それに、いつも元気に外で遊ぶ姿を見るのが僕は好きなんだ。
そんなエルの自由を護る為には、僕自身の心と体の強さが必要だ。
強さを求めるのは今までと変わらないけど、それだけに固執して、本来の“エルを護るため”という目的を見失わないようにしないとね。


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