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家の物置には不思議な力が働いている

予兆

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勉強机が二つ、放られたカバンも二つ、狭い部屋に無理やりはめられたベットも二つ。

二つづつあるものが窮屈そうに並ぶ部屋に、旧式のキャラクター目覚まし時計の電子音が鳴り響くが、時計の音を止めるものは誰もいない。

いや、止める気のある者がいないのだ、暖かく、もはや暑過ぎるほどの朝日が部屋の持ち主である二人の姉妹の熟睡している部屋に差し込むが、二人はカーテンに守られていて未だに目を覚ます気配はなかった。


「せいこ……星琥………!!」


遠くから、誰かを呼ぶ声が聞こえてくる。
声の主は痺れを切らせていて、ぱたぱたスリッパの足音が近づいてきた。

「こら、星琥(せいこ)!!いつまで寝てるつもり?起こしてって言ったのはあんたでしょうが!!」

片手にお玉を持ったエプロン姿がの母親は……兎に角朝からキレていた。

憤怒の母親を他所に、寝ているのは二人の筈が、一人だけ名前を呼ばれた少女、星琥はそれでも気持ちよさそうにむにゃむにゃ寝言を漏らしている。


「……まったく、高校二年に上がってから初めての朝練だったんじゃないの?華矢もついでに起きちゃいなさい!」


『朝練』の単語が星琥の耳に入ると、途端に、古いキャラクターの時計の腹部に付いている時計に目がいく。
その間1秒も経たないうちに星琥はベッドから盛大に飛び出した。

「うわあああ!!なんでもっと早く起こしてくんなかったの、誰よりも早く朝練に行って『キャーー!星琥先輩もう朝練始めてるー、すっごーい!私も星琥先輩みたいになりたーい!』

……ってなりたかったのに予定時間を30分もオーバーしてる!!」


猫なで声で、自分の後輩の演技のつもりなのか、一人でやかましく騒ぎ、勢いよく水を顔に引っ掛けて洗顔、短い栗色の癖っ毛は丁寧に力強く梳かし、どうあがいても癖っ毛の髪に絶望しながらパジャマはベッドに放り投げてさっさと制服に袖を通す。

星琥がドタバタ騒ぎ散らかして家中は賑やかだったが、彼女のいなくなった後の寝室はとても静かだ。

その平和な空間で、星琥にうり二つの顔ではあるが星琥の髪質とは正反対のサラサラのブラウンの長髪に、伏せ目の機嫌の悪そうな双子の妹、華矢(かや)がすうっと目を覚まし、鬱陶しそうに小さく呟いた。


「アホめ、ママはずっと星琥に声かけてたわ、おかげでこっちまで超早起き……うっわまだ5時半じゃんイカれてる」

「華矢も早く起きて!朝練間に合わないよ?!」

「いやいや、私は高校入ってから部活辞めたでしょ……いい加減慣れてくれ」

ついでに起こされてしまった華矢は、眠さのあまり目が開かずに何度も眉間を歪ませ、携帯の時計を見て驚愕する。

身支度を大雑把に済ませながら星琥は華矢に大音量の声を掛けていたが、華夜は適当にあしらって、再びベッドに潜り込んでしまった。

華矢は帰宅部で、朝になるたび星琥の登校騒ぎに巻き込まれているようだ。
二人で剣道部を続けて行きたかった星琥は、毎度のこと悔しそうに叫ぶのだった。

「昔っからずーっと一緒に剣道やってたのにあー!!あああもう行ってきまーす!!」

「星琥!早食いは身体に良くないわよ!」

何時の間に朝食を吸い込んで食べたのか、星琥はあっという間に玄関まで走り出す。


「ん?」


ふと、視界に入っ ていたドアが一つ、風も無く、ゆっくりと……ひとりでに開いた。


星琥の家は一見ごく普通の一軒家だが、家の玄関にはトイレと部屋が一つと、二階へ続く階段、それともう一つ、長い廊下の先にはリビングへと続くドアがある作りだ。

それに加えて部屋とは別に、階段の下には物置き状態になっているクローゼットがあるのだが……母親と双子の三人暮らし、使っていない部屋もあるものの、特に触れることのない物置が今日はやけに気になった。


「誰か閉め忘れたのかな?オラァ!!」


走るスピードを落とすことなく、ドアを勢い良く、足で叩きつけるように閉めた。


星琥が起きて、この間10分の出来事である。

嵐の去った後を思わせる静けさで寝直した華矢は、空いたはずの隣のベッドから何者かがいびきをたてはじめた事に気づき、大きな溜め息を吐いた。

星琥に付き合って早起きした母親が、幸せそうに鼻ちょうちんを作っていたのだった。

「ははは…」

星琥が家を出て暫く。

星琥が乱暴に閉めたクローゼットのドアは、何時の間にかまた、ゆっくり……開いていた。


『……』


これが彼女達の平凡。
この世界には剣も魔法も、幻想もない、ほんの気まぐれに味方をする、奇跡がいるかもしれない。平和な、当たり前の世界。

誰かの手によってこの当たり前がなくなってしまうなんて、平和ボケをした女子高生には、思いつきもしないだろう。
そんな世界を壊す【異常】は直ぐそこまで迫っていた……。


身支度に10分、バスで10分の学校までの道のりはそこまで長くはない。
朝練もこの時間から通学していればそれなりに練習もできるが、星琥には強大な敵が立ちはだかっていた。



「やあ、おはよう香久山さん!今日も早いね」

「お、おはようございます赤嶺(あかみね)先輩……」


星琥が準備を終えて剣道の朝練に到着した頃には、既に、紺色の長いポニーテールをなびかせる美しい女子生徒が練習に励んでいた。

周りにもちらほら女子生徒がいたが、皆一同、星琥が先輩と呼んだ美女に熱い視線をおくっている。


むすっと頬を膨らませつつも、渋々と挨拶を返すと、赤嶺は困ったように笑い星琥の頭をくしゃくしゃ撫で始めた。


「ちょっ……何するんですか先輩!ただでさえ癖っ毛なんですから広げないで下さいっ」


「あはは、悪い悪い!……いやね、高校に上がってから君の妹ちゃんが辞めちゃっただろ?
だから君が毎朝、こうして熱心に来てくれるのが嬉しくて嬉しくてなああ!」


「ぐぬっ……に、二年生になりましたし?気持ち切り替えていかないと先輩が卒業するまでに倒せませんし……」


「わははは!それなら早速、練習あるのみだな!」



やたらと星琥を可愛がり、勝手に悦っている先輩から逃げ、周りの部員達に羨ましそうに見られる中、剣道部の朝の練習は始まった。



星琥には剣道において勝てない相手が二人いた。


一人はこの、何故か星琥を高く評価してくれている三年生の赤嶺先輩。
もう一人は、双子の妹の華矢だ。


星琥が必死に追い越そうとしていたが、華矢はあっさり部活を辞めてしまった。本人には口にしないが、勝ち逃げされてしまったような心境はとても悔しく、星琥は誰よりも練習に励んでいた。


それでも、星琥にはそんな姿を見てくれる赤嶺が側にいてくれた。
練習が終わり、皆が一息つくなか、赤嶺は星琥の隣を歩きながら星琥の肩を抱き寄せた。


「うひぃいい先輩?!やめて下さい、僕汗かいてて、それに先輩の親衛隊に抹殺されてしまいます!!」


「なんだ、そんなとこで倒されるようじゃ部長は務まらんぞ?」


「え……ぶ、部長……?」


「みんな、聞いてくれ!次期部長はこの香久山に任せようと思っている……とは言え、私達三年の引退まではまだ日数はあるんだけどな」



「え……え!?」



部長、赤嶺の発言に、剣道部全員が固まる。
星琥は頭が追いつかず驚きの声が漏れた。


もうそんな時期か……と、三年はしみじみとしてしまう者も多かったが、一年、二年辺りから不安そうな声が聞こえてきた。



「せんぱーい、お言葉ですが香久山さんだと緊張感が足りないと思いまーす!」

「うぐっ…」


締まらない……自分が悪く言われている訳なのだが、星琥自身が一番解っているものでぐうの音も出ない。

……しかし、文句の有り気な同級生、下級生に対して、三年は誰一人口を開かず、赤嶺を見守っていた。


「ああ……確かに今はそうかもしれない、しかし星琥以上に適任はいないと思う!なあに、風格ってのは後から付いてくるもんさ!
因みに三年生は満場一致でOKだそうだぞ?」


最後の部長の一言が、それ以上の意見を言わせなかった。

驚きつつも……それほど自分は買われていたのかと、どうしても浮き足立ってしまう星琥は、後からのんびり登校してきた華夜に全力で絡みつくのだった。


あまりにへらへら笑い纏わりつく星琥が鬱陶しく、華矢は表情一つ変えず自分から引き剥がした。




「なんぞ?なんか訳もなく腹立たしいな」


「いやーーそれがですねーーー嬉しい報告がありま……あっ、あんまこうゆうの言いふらさない方がいいのかねうぷぷ!」


星琥のウザさがピークに達した瞬間、華矢は自分の教室のドアを勢い良く閉めて完全に星琥を遮断した。


「うわああごめんなさい調子こきましたもうちょっと話聞いてえええ!!」


華矢に突き放された星琥は閉ざされた華矢の教室のドアにすがりついて泣き声をあげる。
……周りの生徒達の目は冷ややか、と言うよりも「あの双子またやってるよー」「星琥どんまいww」と、もはや日常茶飯事に慣れ親しまれているのであった。


「解った聞く!聞くから泣くんじゃない!」


動きも雰囲気もおっとりキャラの筈の華矢も、星琥に振り回されては敵わないようで、華矢に構ってもらえた星琥は満面の笑みだ。


部長には内緒と言われたが、双子の妹の彼女は別だ。


こっそりと先ほど部長から言われた次期部長の話を耳打ちすると、華矢は表情を曇らせた。


「え、なにその顔ヤダ」

「いや、剣道部終わったなって」

「えーー?!」


華矢の文句に、星琥も不満の声を上げる。星琥の反応に華矢は声を上げて笑っていたが、フッと優しく顔が緩み、「よかったね」と小さく呟いた。

酷いほどウザく振舞っていた星琥も、少しばかり照れて黙る。すると、思い出した様に華矢が提案を出した。


「そうだ、今日はママの誕生日だし、星琥のお祝いも兼ねてパーっとやろう!

星琥はこんなタイミングで部活休む訳にもいかないだろうし、私が帰りにケーキ買っておくよ」


「いやー悪いね、寄り道しないですぐ帰るからさ!」

そう言って別れ、星琥と華矢は授業が始まる前にそれぞれの教室に戻っていった。

『ノア……』

「ん?」

不意に、星琥は自分の名を呼ばれた気がして振り返る。
しかし華矢の姿もなく、誰かが星琥を呼び止めている様子もない。


……しかし、何故だろうか、不思議とその場から動けず声の主を探してしまっていた。
行き交う同級生たちの影の先に、懐かしい、何かがいるような気がしたのだ。

授業開始の予鈴で、星琥は慌てて自分の教室に飛び込んだが……この時、既に異変が起きていることに、星琥も華矢も気づくことができなかった。

_____


やっと、やっと違和感を覚えたのが放課後、ケーキ屋の前で立ち尽くしていた華矢が先だった。

自分用のショートケーキ、星琥のチョコレートケーキ……それとチーズケーキと誕生日用のチョコレートプレートを買った帰り。


家族の人数上、華矢達が食べ切れないホールケーキを買うことはあまりない、既に切り分けられたケーキをそれぞれ気分で好みのものを選んでいた。

華矢と星琥の分は解る。

……華夜はどうしてチーズケーキと誕生日プレートまで買ってしまったのか、疑問を抱いていた。


星琥と華矢は双子で誕生日は同じ日であって今日ではない。
朝の授業まで記憶は確かにあった。華矢も気持ちを高揚させ、楽しみを待ち遠しく授業を受けていたのだ。

誕生日の者がいないにも関わらず誕生日プレート……そして、チーズケーキは、二人とも好みではなかった。


「何やってんだろ……私」


歩みを止め、立ち尽くし、ケーキの箱を見つめるが答えは一向に出てこない。


やがて、頭がこんがらがってくる中、人並みから通りすがりに華矢を見つけた少女が二人、華矢に聞こえる様に大きな声で話しかけてきた。


「華矢ちゃーん!何してんのー!」

「今からカラオケ行くんだけど、時間あるなら華矢ちゃんも行こうよー!」


「あ、あぁ……」


声をかけてくれたのは華矢のクラスメイトで、華矢は安心して力が抜け、声が漏れる。


しかし、カラオケには行きたいが、今日は外せない用事がある事を思い出し、華矢は手を振りながら叫び返した。

「ありがとー!でもごめん、今日ーーの誕生日だからー!帰らな、い……と………?」

瞬間、華矢は脳みそだけが内側から凍りつくような感覚に襲われた。

ふと返事を返した拍子に、忘れてはいけない……大切な何かを忘れていたことに気づいてしまった、華矢は自宅目掛けて走り出した。

「じゃあまたねー」とクラスメイトは華矢の後ろ姿に手を振るが、一人が不思議そうに首を傾げる。

「あれ?あの双子って親いたっけ?」

華矢は家に着き、勢いよく玄関の戸を開け放つ。

靴を脱ぎ捨て、半開きの物置のドアを避け、乱暴にリビングに飛び込んだ。

荷物をソファに放り投げると、買ってきたケーキの箱を開けた。


三つ並んだケーキ、三つ配置された椅子、三つのティーカップ……

「ヤダヤダヤダ、なんで急に忘れてたんだろう、こんな大事なこと……だって朝までは……」


目を見開き、フラフラと、家中を……何故か記憶が消えていた、ある人物の姿を求めて歩き回る。

「ママー!ママ、いないのー!?」

日が落ち、薄暗くなって行く部屋に暁の光が差し込むと、まるで燃えている水槽にでも閉じ込められているのではないかと、不気味さに華矢は小さく身体を震わせた。

不意に、白い壁に映る茜色が、本当に燃えていて、焼け落ちた建物を覆う灼熱の炎に取り囲まれている映像がフラッシュバックし、華矢は頭痛の襲う頭を両手で押さえる。

「な、何……そ、そうだ星琥、星琥は……」

慌ててカバンから携帯を取り出し、すぐさま履歴の一番上を陣取る星琥へ、電話をかけた。


……しかし、華矢の携帯が星琥に繋がることはなかった。

華矢が誰かに呼ばれた気がして、驚いて携帯を落としてしまったから……。

「誰?」

廊下から射す光に目は奪われ、携帯も気にせず、華矢は誘い込まれるようにフラフラとリビングを出た。


廊下に出ると、一つドアから光が漏れていることに気づく……階段の下の、物置になっている部屋だ。

部屋の中で何が光を放つのか?光の正体は何なのか?
恐怖よりも、不思議と好奇心が勝っていた。


意を決し、ドアを開くと、華矢は全身に降り注ぐ光の波に飲まれた。

「なに……これ………」

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