上 下
144 / 150

第144話

しおりを挟む
 「最果ての島ですか、遠いんですか?」

 「ええ、ここから北上して海を越えた先ですね、通常の方法で行こうと思ったら北の大国ウルツールから20隻以上の船団で補給をしながら10日間程進まないと行けませんね」

 「よくそんな島にレベル10のダンジョンがあるって知っていますね」

 「確実な伝承ですよ、最果ての島には魔鉱石が大量に取れる鉱山や、美味しい果実や植物が沢山生えており、温暖ですごしやすい環境だと言われています」

 「そんな島なら各国が領土にしたくないんですか?」

 「ええ、しかしその島にはSランクの冒険者でもやっと太刀打ちができるモンスターが蔓延っており、住むには厳しい状況なんですね、けれど10年程で何処かの国が最果ての島を領土にしようと進出しますが、すぐに諦めていますね」

 「成る程、確かにそんな環境なら生きていけませんね」

 「まあ、そういうことです。だからそれなりに最果ての島の情報が出回っているのですが、その中に島の中心にレベル10のダンジョンがあるという話です」

 「まあ、飛空艇があるんだ。船で行くのとは段違いで早く着くだろう」

 ゴーレンさんと話していた優人にサロパスタが、そう締めた。

 「じゃあ、北に進めば良いんですね」

 「ええ」


 そうして、一行は最後のレベル10のダンジョンを目指して飛空挺を飛ばした。

 「お父さん、次が最後なんだね」

 「ああ、そうだね」

 スノウが何か言いたそうにして、優人も聞かれる内容も検討がつくが答えることが出来ない。

 「また来る」

 スノウはそう言って操縦室から出て行った。

 
 「海が見えてきましたよ」

 レベル9のダンジョン近くから2日で海が見えてきた。

 「私、初めて海を見た」

 「マクス王国は内陸の国ですからね」

 スノウにリーン、ナシルさんやデロックさんも海を見たことがなかったそうだ。

 「広くて青いな」

 デロックさんの感想が、当たり前だが胸に染み入った。


 「さあ、海を越えたら最果ての島です。英気を養って頑張りましょう」

 海を渡る前に一晩を過ごし、そこから島まで一気に渡ることに決めた。

 

 「じゃあ、北上していきますね」

 飛空挺を飛ばして海を渡り始めた。周りが海で方向が分からなくなりそうだったが、コンパスを見て少しずつ進路を調整して行き、1日ではたどり着かずに空中で滞空して一晩を過ごし2日目で最果ての島にたどり着いた。

 「ここが最果ての島か、とても良い島ですね」

 島の中央のダンジョンの門の近くに降り立った一行は門の周りを見渡した。

 「けど、噂通りのモンスターだらけだけどな」

 飛空艇が降り立つ前から、地上からモンスターの攻撃にさらされて、サロパスタやアスカさんが飛空艇から飛び降りてモンスターの死体が散らばる中、飛空挺を着陸させた。

 「襲われるにしても、ダンジョンの中のモンスターを倒した方が効率が良いからな。さっさと入ろうぜ」

 サロパスタに促されて、周囲のモンスターの死体をあらかた回収してから、全員でダンジョンの中に入った。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ワガママ異世界旅(仮)

ダイスケイマイチ
ファンタジー
 異世界にいく事になった。プウタロウの佐藤大輔(さとうおおすけ)の話です。異世界をワガママに旅する。話です。誤字多々ありますが温かく読んで貰えると助かります。

召喚幼女は魔王さま!〜ルルはかわいいなかまとへいわなせかいをめざしたい〜

白夢
ファンタジー
 マイペースな幼女が、魔物たちと一緒にほのぼのと平和な世界を取り戻す物語。完結。  ある洞窟の中で行われた、魔王召喚の儀にて。  ルルは魔王として、そこに召喚された巻き角の幼女。  しかし、その後まもなく、ルルを召喚した一団は、全滅してしまう。    一人取り残されたルルは、その後現れた魔物のジャックと共に、長い間二人きりで生活していた。  そんなある日、突然騒ぎ始めたジャックに誘われるがままにルルが洞窟から外を見ると、  ボロボロになった白いドラゴンが、森へと落ちていくところだった…… ーーー  大きなツノを持つモコモコの魔物、ジャック。  自称勇者に追われる、白いドラゴン。  ぽんぽん跳ねるぽよぽよスライムなど、楽しい仲間が色々います。    ファンタジーな世界で、可愛い頭脳派?幼女が、ちいさな仲間たちと人類を蹂躙し追放する、ほのぼの支配者シフトシナリオを目指しました。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...