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第125話
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「そのお美しさで、魔人に支配されていた王都を解放するとは、是非ともお話をお聞きしたいですな」
「こちらの料理は、我が領内で取れたケツル牛のものでして我が領内で一番の馳走です」
「こちらの酒は、我がクェルサール家に親しい者にしか飲ませたことはないのですが、王都奪還の英雄達へと」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
王都の夜の晩餐会、料理を食べている優人とスノウとリーンとホワイトの目の前で、ドレスで着飾ったフィーレンさんとレイアに貴族の諸侯達が群がっている。
「大変そうだな」
「あいつらは、ただのハイエナよヴェロニカが王都を支配してすぐに逃げたのに、今は王都での利権を少しでも得ようと使える物は何でも使うって魂胆が丸見えよ」
「まあそう言うなよ」
ホワイトが毛嫌いしているように、優人も良い感情を抱いていないが、ゴーレンさんの情報によれば、まだマシな部類の貴族達らしい、ゴーレンさんは王国にとって最善となるように、昔のコネや伝手を使っているらしい、今も晩餐会の会場で主催者である公爵ファースと、その腹心の貴族達と交渉を行っているそうだ。
「そこの料理を食べている貴方」
料理を食べている優人達の元に豪華なドレスを身に纏った金髪縦ロールをしている少女がいた。優人が、手に持っていた皿をテーブルに置いて自分自身を指差すと、少女はコクコクと頷いた。
「貴方、英雄様達の従者なんでしょう?東の公爵ファースの嫡男セライの娘ミューサと申します。英雄様方は大人の方々に囲まれていて、お話をお聞きできませんの」
公爵の孫娘ミューサは、拗ねたような表情で優人に話しかけてくる。
「従者の貴方も、英雄達が活躍した王城で一緒に戦ったのでしょう。お話をお聞かせ願えませんか」
大きな瞳をキラキラとさせながら、そうねだってくる。公爵の孫娘だということで無下にはできず。ミューサに話を始めた。
「というわけで、魔人ヴェロニカを退けて今に至るわけです」
「お話が下手なのね、でもとっても面白かったわ」
ミューサ様が、バッサリと優人の話の感想を言ったが、満足してもらったようだ。
「やっぱり、英雄様方の物語は面白いですわ。兄様方のような頭でっかちな方々と違い、強い信念を持って戦いお姫様を救う物語、憧れますわ」
夢見がちな貴族の少女に、どう対応をすれば良いのか悩んでいると
「やっと解放されたぜ」
いつもと違い、立派な格好をしているサロパスタが、優人達のところにやってきた。
「ずっと話し続けて、飯を食ってないんだ」
皿に料理を載せて食べ始めているサロパスタの横で、瞳を大きく開いてキラキラとさせているミューサ様がサロパスタをじっと見つめていた。
その視線に気づいたのか、サロパスタがミューサ様の方を向いた。
「優人、そちらのお嬢さんはどなただ」
「こちらは、・・」
「東の公爵ファースの孫娘ミューサと申します。初めまして英雄様」
ドレスの裾を摘んで、挨拶をするミューサを見て
「元王国騎士団第一師団副隊長のサロパスタです。今日は公爵の晩餐会に招かれ光栄です」
普段と全然違うサロパスタの様子に全員が白い目で見ていたが、サロパスタは涼しい顔で凛々しい元副隊長で英雄を演じていた。
「こちらこそ、英雄であるサロパスタ様にお目通り出来て感激ですわ」
そんな会話を交わしている2人をそのままに、放置されてしまった優人達は食事を続けた。何度かサロパスタが目線で助けを求めてきたが、誰もそれには応じなかった。
「こちらの料理は、我が領内で取れたケツル牛のものでして我が領内で一番の馳走です」
「こちらの酒は、我がクェルサール家に親しい者にしか飲ませたことはないのですが、王都奪還の英雄達へと」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
王都の夜の晩餐会、料理を食べている優人とスノウとリーンとホワイトの目の前で、ドレスで着飾ったフィーレンさんとレイアに貴族の諸侯達が群がっている。
「大変そうだな」
「あいつらは、ただのハイエナよヴェロニカが王都を支配してすぐに逃げたのに、今は王都での利権を少しでも得ようと使える物は何でも使うって魂胆が丸見えよ」
「まあそう言うなよ」
ホワイトが毛嫌いしているように、優人も良い感情を抱いていないが、ゴーレンさんの情報によれば、まだマシな部類の貴族達らしい、ゴーレンさんは王国にとって最善となるように、昔のコネや伝手を使っているらしい、今も晩餐会の会場で主催者である公爵ファースと、その腹心の貴族達と交渉を行っているそうだ。
「そこの料理を食べている貴方」
料理を食べている優人達の元に豪華なドレスを身に纏った金髪縦ロールをしている少女がいた。優人が、手に持っていた皿をテーブルに置いて自分自身を指差すと、少女はコクコクと頷いた。
「貴方、英雄様達の従者なんでしょう?東の公爵ファースの嫡男セライの娘ミューサと申します。英雄様方は大人の方々に囲まれていて、お話をお聞きできませんの」
公爵の孫娘ミューサは、拗ねたような表情で優人に話しかけてくる。
「従者の貴方も、英雄達が活躍した王城で一緒に戦ったのでしょう。お話をお聞かせ願えませんか」
大きな瞳をキラキラとさせながら、そうねだってくる。公爵の孫娘だということで無下にはできず。ミューサに話を始めた。
「というわけで、魔人ヴェロニカを退けて今に至るわけです」
「お話が下手なのね、でもとっても面白かったわ」
ミューサ様が、バッサリと優人の話の感想を言ったが、満足してもらったようだ。
「やっぱり、英雄様方の物語は面白いですわ。兄様方のような頭でっかちな方々と違い、強い信念を持って戦いお姫様を救う物語、憧れますわ」
夢見がちな貴族の少女に、どう対応をすれば良いのか悩んでいると
「やっと解放されたぜ」
いつもと違い、立派な格好をしているサロパスタが、優人達のところにやってきた。
「ずっと話し続けて、飯を食ってないんだ」
皿に料理を載せて食べ始めているサロパスタの横で、瞳を大きく開いてキラキラとさせているミューサ様がサロパスタをじっと見つめていた。
その視線に気づいたのか、サロパスタがミューサ様の方を向いた。
「優人、そちらのお嬢さんはどなただ」
「こちらは、・・」
「東の公爵ファースの孫娘ミューサと申します。初めまして英雄様」
ドレスの裾を摘んで、挨拶をするミューサを見て
「元王国騎士団第一師団副隊長のサロパスタです。今日は公爵の晩餐会に招かれ光栄です」
普段と全然違うサロパスタの様子に全員が白い目で見ていたが、サロパスタは涼しい顔で凛々しい元副隊長で英雄を演じていた。
「こちらこそ、英雄であるサロパスタ様にお目通り出来て感激ですわ」
そんな会話を交わしている2人をそのままに、放置されてしまった優人達は食事を続けた。何度かサロパスタが目線で助けを求めてきたが、誰もそれには応じなかった。
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めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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