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第99話

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 「どうやら噂をすれば影とでも言うのか」

 ヒガシノさんが目を瞑り魔力が体に漲っているのを感じる。そして目を開けるとそう口に出した。

 「王国の騎士団が来て一悶着を起こしてから近くの町や村に外交院の諜報員を張り巡らせて、再びの来襲に備えていたのだが、今とある町に滞在している諜報員から騎士団の到来を告げる先兵が来たと連絡が来た」

 少しだけ説明をしてくれてから、ヒガシノさんは立ち上がった。

 「今から、村長や他の院長達と対策の会議を行わなければならない」

 「また、勇者の遺産の魔法陣で転移させれば良いんではないですか」

 「勇者の魔法陣も長き時を経て、伝承が失うなどして我々も完全に使いこなせていなくてな。再び使用可能になるには暫くの時間がかかりそうでな」

 そう言い終わると、ヒガシノさんはアスカさんの自宅から出て行った。



 「さて、大まかに概要は理解しました」

 ゴーレンさんがそう場を仕切り始めた。

 「近頃の不穏な出来事は王に原因がありそうですね、しかし、我々が派手に動くと様々な弊害も生まれるでしょう。アスカやサロパスタはどちらの意味でも有名ですからね」


 「お二人が騎士団時代に捕縛した悪徳貴族が、我々が王城勤めを辞めて、少しして王が恩赦を与えて解放したらしく再び王都で暗躍し始めたと聞きます」

 「はあ?ヘラスやワーコルツは死ぬまで監獄にぶち込んでおくと王命がくだっていただろう」

 ゴーレンさんの話を聞いてサロパスタが立ち上がって、詰問した。

 「ええ、先王の英断でした貴族特権の一部無効化を現王が無効化を解除してヘラスやワーコルツが、再び貴族特権を用いて、さらに現王が罪を全て清算されたと宣言したのです」

 ゴーレンさんの言葉を聞いてサロパスタは、驚き呆れた。

 「あの愚王はどこまで、王国に損害を与えれば気がすむんだ。先王の時代や先々王もっと前の王達が培ってきた歴史が破壊され尽くすぞ」

 「それもまた時代でしょう」


 部屋の空気が、凄く重くなった。


 「まあ、今は直近の問題である魔法陣を解析出来れば、この村の助けになるでしょう」

 そうして、全員がアスカさんの自宅では泊まれないので、アスカさんを除いて全員で修行空間に戻って、寝ることにした。

 

 翌朝、メイア達の作った朝食を食べ終えてからアスカさんの自宅に戻ると


 「みなさん、おはようございます」

  食卓でお茶を飲みながら子供達と会話をしているアスカさんが挨拶をしてきた。

 「「おはようございます」」

 子供達も元気良く挨拶をしてきたので、優人達も挨拶を返した。


 「さて、今日ですけど魔法陣を見せてもらいに行きたいと思っているんですが」

 アスカさんの言葉に全員が同意して、昨日と同じように外交院にいると思われるヒガシノさんに会いに行った。


 「よく来てくれたな、婿殿とお仲間の方々」

 外交院に着いて、ヒガシノさんにお目通しを願うと昨日通されたヒガシノさんの部屋ではなく会議室に通された。

 「村長、お久しぶりでございます」

 アスカさんが会議室の上座で座っている。小さなお婆ちゃんに挨拶をした。

 「よく来てくれたね、座っておくれ」

 そうして優人達はなし崩し的に会議に参加することになった。
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