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第93話
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精霊王の屋敷に泊まった翌日、豪華な朝食を振舞われた後精霊王に誘われて、全員が広い庭に出ると
「お客人達は、これからレベル9と10のダンジョンに挑むのじゃろう。それならば儂が稽古をつけようと思っての、精霊魔法はスノウちゃんがおるから使えるようにはなっておろう。しかし、どう使用すれば良いか分からないはずじゃ」
いつの間にか真っ白な道着を着て背筋を伸ばしている精霊王を見ると、滲み出る力を見て意識が覚醒した。
「さて、お客人達の力を見せていただきたいのう」
それから、全員が3分ほどずつ精霊王と1対1で模擬戦を行った。
そして、只の1人も精霊王に膝を土につけることすら出来なかった。
「いやいや、流石じゃよ。高位の魔人を倒してレベル8のダンジョンを攻略するだけの実力は感じたのう」
周りの精霊達も、タオルを渡してくれたり、コップに水を入れて運んでくれた。
「さて、精霊魔法の使い方じゃが」
「精霊魔法は他の魔法属性のように単体で使う魔法は少ない、殆どは他の魔法属性を補助する使い方が主じゃな」
そう言って、精霊王は様々な色のついた光を手の上に発生させて、その光は優人達の方に近づいて来て、体の中に入っていった。
「今の光は、儂の力の一部じゃな。汝らに儂からの加護を」
「さあ、一度魔法を使ってみてくれんか」
そう言われて、優人達は用意された的に向かって魔法を放つと、いつもと変わりのない魔法だった。
「次に、精霊魔法を意識しながら魔法を使ってみておくれ」
今度は、精霊魔法を意識しながら先程と同じ魔法を放つと
「凄い、威力や発動スピードなんかが上がっている。それなのに消費魔力が抑えられている」
「実感できたようじゃな。これが精霊魔法じゃ、他にも精霊化という精霊魔法の奥義があるのじゃが、これはすぐに使えるようになるものではないからの。やり方は教えるから修行を積んでおくれ」
気づくと、朝食を食べ終えてからすぐに始まった訓練だったが時間はもう少しで正午になりそうだった。
「やはり、お客人が来てくれると時間があっという間じゃの、最後に昼食を食べてからお見送りじゃな」
精霊王は、そう笑いながら伝えた。
そして、昼食を一緒に取り終えて、お土産だと精霊郷の特産物を大量に貰い、感謝の念を伝えて、いざ帰ろうとすると待ったがかかった。
「私も一緒について行ってあげるわ」
リーンが、優人達と精霊王の前に大量の荷物を抱えて立ち阻んだ。
「リーン、姿が見えんと思ったら、そんな荷物を持って何処について行くつもりじゃ」
「もちろん、アスカについて行くのよ」
「リーン、昨日の夜にも言いましたが、私は男で、妻も故郷にいるんですよ」
「ええ、でもエルフは長い一生のうちに、何回か結婚するんでしょう。だったら私も待つわ」
突然の展開に、驚いていると
「お客人に失礼じゃろう。下がりなさい」
「嫌よ、何の変化も起こらない精霊郷なんかよりも、運命の王子様について行くの」
一歩もひかないリーンを見て、ゴーレンさんが話しかけてきた。
「どうしましょうユート君、このままではリーンさんがついてきそうですね」
「そうですよね、どうしましょう」
「リーンさん、私達についてくるということは、レベル9と10のダンジョンに挑むということですよ。命を落とす可能性があるんですよ」
「ええ、覚悟の上よ。私も精霊王の卵として訓練は受けてきた。足手まといにはならないから、一緒に連れて行って」
リーンの必死の願いを聞いて、全員が優人の方を見た。
「分かりました。精霊王が許可してくれたら一緒に行きましょう」
リーンは、優人の言葉を聞くと精霊王に詰め寄った。
「まあ、リーンも外を見てくるのは良いかもしれんのう」
最初は渋っていた精霊王も遂には認めたので、リーンが仲間に加わった。
「お客人方よ、最後に突然リーンを旅の一員に加えてもらえたこと感謝する。これからの旅に祝福を」
精霊王や精霊達に見送られて、優人達は精霊郷からジャリスに帰って行った。
「お客人達は、これからレベル9と10のダンジョンに挑むのじゃろう。それならば儂が稽古をつけようと思っての、精霊魔法はスノウちゃんがおるから使えるようにはなっておろう。しかし、どう使用すれば良いか分からないはずじゃ」
いつの間にか真っ白な道着を着て背筋を伸ばしている精霊王を見ると、滲み出る力を見て意識が覚醒した。
「さて、お客人達の力を見せていただきたいのう」
それから、全員が3分ほどずつ精霊王と1対1で模擬戦を行った。
そして、只の1人も精霊王に膝を土につけることすら出来なかった。
「いやいや、流石じゃよ。高位の魔人を倒してレベル8のダンジョンを攻略するだけの実力は感じたのう」
周りの精霊達も、タオルを渡してくれたり、コップに水を入れて運んでくれた。
「さて、精霊魔法の使い方じゃが」
「精霊魔法は他の魔法属性のように単体で使う魔法は少ない、殆どは他の魔法属性を補助する使い方が主じゃな」
そう言って、精霊王は様々な色のついた光を手の上に発生させて、その光は優人達の方に近づいて来て、体の中に入っていった。
「今の光は、儂の力の一部じゃな。汝らに儂からの加護を」
「さあ、一度魔法を使ってみてくれんか」
そう言われて、優人達は用意された的に向かって魔法を放つと、いつもと変わりのない魔法だった。
「次に、精霊魔法を意識しながら魔法を使ってみておくれ」
今度は、精霊魔法を意識しながら先程と同じ魔法を放つと
「凄い、威力や発動スピードなんかが上がっている。それなのに消費魔力が抑えられている」
「実感できたようじゃな。これが精霊魔法じゃ、他にも精霊化という精霊魔法の奥義があるのじゃが、これはすぐに使えるようになるものではないからの。やり方は教えるから修行を積んでおくれ」
気づくと、朝食を食べ終えてからすぐに始まった訓練だったが時間はもう少しで正午になりそうだった。
「やはり、お客人が来てくれると時間があっという間じゃの、最後に昼食を食べてからお見送りじゃな」
精霊王は、そう笑いながら伝えた。
そして、昼食を一緒に取り終えて、お土産だと精霊郷の特産物を大量に貰い、感謝の念を伝えて、いざ帰ろうとすると待ったがかかった。
「私も一緒について行ってあげるわ」
リーンが、優人達と精霊王の前に大量の荷物を抱えて立ち阻んだ。
「リーン、姿が見えんと思ったら、そんな荷物を持って何処について行くつもりじゃ」
「もちろん、アスカについて行くのよ」
「リーン、昨日の夜にも言いましたが、私は男で、妻も故郷にいるんですよ」
「ええ、でもエルフは長い一生のうちに、何回か結婚するんでしょう。だったら私も待つわ」
突然の展開に、驚いていると
「お客人に失礼じゃろう。下がりなさい」
「嫌よ、何の変化も起こらない精霊郷なんかよりも、運命の王子様について行くの」
一歩もひかないリーンを見て、ゴーレンさんが話しかけてきた。
「どうしましょうユート君、このままではリーンさんがついてきそうですね」
「そうですよね、どうしましょう」
「リーンさん、私達についてくるということは、レベル9と10のダンジョンに挑むということですよ。命を落とす可能性があるんですよ」
「ええ、覚悟の上よ。私も精霊王の卵として訓練は受けてきた。足手まといにはならないから、一緒に連れて行って」
リーンの必死の願いを聞いて、全員が優人の方を見た。
「分かりました。精霊王が許可してくれたら一緒に行きましょう」
リーンは、優人の言葉を聞くと精霊王に詰め寄った。
「まあ、リーンも外を見てくるのは良いかもしれんのう」
最初は渋っていた精霊王も遂には認めたので、リーンが仲間に加わった。
「お客人方よ、最後に突然リーンを旅の一員に加えてもらえたこと感謝する。これからの旅に祝福を」
精霊王や精霊達に見送られて、優人達は精霊郷からジャリスに帰って行った。
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