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第74話

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 ダンジョンマスターの間の前で、全員で気合を入れた。

 「さあ俺達がどれだけ強くなったのか、これまでの道中でも確認はしてきたがダンジョンマスターは最終確認のつもりで戦う」

 全員の生命力も魔力も全て最大値である。


 「サクッと勝って、祝杯をあげようぜ」

 サロパスタがそう言って、ダンジョンマスターの間の扉を開けた。


 「でかいダンジョンマスターだな」


 ダンジョンマスターの間は今までのどこのダンジョンマスターの間よりも広く天井も高かった。そしてダンジョンマスターもまたデカかった。

 「八つ首の龍の骸骨、ヒュドラのスケルトンか」

 サロパスタが、剣を抜き放ちながらそう呟いた。

 「ヤマタノオロチじゃないんですか?」

 優人が、八つ首ということでそう言っても誰も分からなかった。

 「まあ、一つずつ頭を潰せばいいだろう」

 「ここまでデカい骸骨だと、恐怖の感情が変わっちゃうね。さっさと退治しよ」

 サロパスタのかるぐちにレイアが乗っかった。

 そうして、ダンジョンマスターの周りから様々なスケルトンが湧き出てきた。

 「お父さん、私が数を減らす」

 スノウがみんなの前に一歩出て、体に魔力を纏わせて、その魔力が拳へと集中し始めた。

 「吹っ飛べ」

 スノウがそう言いながら、拳を前に突き出した。

 すると拳の形をした雷が、数え切れないほど出現して猛スピードで飛んで行った。そしてスケルトンに当たるとスケルトン達は一部を除いて、塵となり消えた。

 「かなり倒した」

 「すげーなスノウ」

 少し胸をはって、得意げな顔をしているスノウの頭を撫でて、優人達は一斉に攻撃を始めた。

 スノウの攻撃を耐えたスケルトン達も、成長したみんなの前では、相手にならなかった。

 「ここまでのモンスターも苦戦しなかったけどダンジョンマスターもそれほど脅威に感じないな」

 「けれども修行前では、この大きな体格に見合った防御力で、サロパスタでも傷をつけるのが大変だったでしょうね」

 「でも今は違います」


 ダンジョンマスターの八つある骸骨の頭は、優人、アスカさん、サロパスタ、ゴーレンさん、スノウ、フィーレンさん、ポーレさん、デロックさんとナセルさんは2人で、一つずつ頭を破壊した。

 全ての頭部を破壊しても、ダンジョンマスターはまだ倒れない。

 「みんな、ダンジョンマスターから離れて」

 ホワイトの念話が、頭に響き全員がダンジョンマスターから距離をとった。

 「押し潰れるがいい」

 そうして、修行で新たに開眼した黄色の《重力の魔眼》でダンジョンマスターにかなりの重力をかけて、ダンジョンマスターを構成する骨が軋み、曲がり、そして次々と折れていった。

 「これで結構、生命力を削れたわね」

 ホワイトが、緑色の《解析の魔眼》で与えたであろうダメージを解析し、優人にそう言ってきた。

 「確かに、もう生命力は1割ほどしかなくなっていた」

 《詳細鑑定》を使用してダンジョンマスターの生命力を全員に伝えた。

 「あっけなかったな」

 サロパスタがそう言いながら、飛び上がり、ボロボロなダンジョンマスターを一刀両断するように、剣に魔力を纏わせて、可視できる魔力の刃を伸ばし、思いっきり振りかぶって振り落とした。


 それが、トドメとなりダンジョンマスターの体を構成していた骨が、バラバラと崩れて、その光景が優人達の勝利を確信させた。

 「勝ったぞ~」

 サロパスタがそう言って、左手の拳を天に突き上げて勝利を叫んだ。


 「私達、強くなったね」

 みんなが、ダンジョンマスター討伐に喜んでいる中、スノウの素直なその言葉が優人には、とても心地が良かった。

 「そうだな、スノウ、俺達は強くなったんだ」

 そう言って、スノウの手を引いてみんなが集まっている場所に向かった。

 
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