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第71話

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 女神の息吹の3人が、一緒に修行を始めて2週間が経った。

 「さっきの分身との勝負、もう少し早くけりをつけるべきだったな」

 「そうだね、最後の方は魔力がジリ貧になって、結局魔力の無駄が多くなった」

 優人はサロパスタと今日の修行の内容について話し合っている。あれから優人達は一定の期間で[写身の館]で自身と戦い、自身の戦い方を研究している。

 「けど、出会った時と比べて驚きの成長だな。ここで兵士を修行させれば世界を手にできるぜ」

 「そんなことはしないよ、でも力をつけないとこの先には進めない」


 2週間の修行で、全員のステータスが約2倍になっていた。レベルも全員が150を超えて、優人が206、スノウが220、サロパスタが213とこの3人はレベルが200を超えた。アスカさんも戻ってきていないが今日にでもレベルが200を超えていそうだけど

 「俺やユートにスノウは、今やっとあの猿の魔人サーロンと渡り合えるだけの力を手にした。でもユートの望みのレベル9と10のダンジョンには、まだまだ力が必要だ。そして戦闘の技術も磨かないといけない」

 「そうだね、1週間後に一度修行を終えて、レベル7のダンジョンに挑戦したいと思っているんだけど、みんな納得してくれるかな」

 「全員、ユートの頼みは断らねーよ。力を試すにはちょうどいいだろうしな」

 「そっか」


 その夜、全員が食堂に集まった時にレベル7のダンジョンに挑戦したいと言うと。全員が賛成した。女神の息吹の3人も修行に参加させてくれた礼にダンジョンの攻略に参加すると言ってくれた。

 
 それから3日が過ぎて、修行を終えて夕食を食べて少し風に当たろうと優人は1人で外のバルコニーに出た。


 「なーにをしているの」

 「いや、風に当たりたいなと思って」

 「そっか」

 レイアさんが、ふらりと現れて優人の近くに腰掛けた。

 「いい風だね、とっても心地がいいよ」

 「そうですね」

 お互いに多くは喋らずに、しかし居心地の良い雰囲気だった。

 「けど、何度も言ったけどありがとうね、修行に参加させてくれて」

 「そうですね、何回も聞きましたね」

  そのやり取りに、互いに少し笑いあった。

 「ここで修行をして、急激にレベルが上がってステータスも前とは比べものにならないぐらいになって、最初は自分の変化に恐怖を感じたけれど、今ではもっと自分を高めたいって思うようになったよ。それと同時に同じチームでもないのに他のチームの私達3人をこんな凄い秘密の修行に参加させてもらえたことにビックリだよ」

 「そうですね、確かにレイアさん達は女神の息吹のメンバーで仲間とは少し違うかもしれないけど、それでも一緒にダンジョンを攻略した信頼できる友人でしたから、レイアさん達は特別ですよ」

 「ありがとう。レベル7のダンジョンの攻略でも活躍してみせるからね」

 レイアさんは、そう言って自身の部屋に戻っていった



 それから、予定していた修行を終えて、一行は冒険者ギルドに向かっていた。

 「皆様、お久しぶりです。本日はどのような御用件でしょうか」

 セラさんが座っている受付に行くと、そう挨拶をしてくれた。

 「レベル7のダンジョンに挑戦しようと考えていまして、一応その報告に」

 優人がそう伝えると、セラさんは少し驚いていたが、頑張ってくださいと応援してくれた。

 「どちらのレベル7のダンジョンに挑戦しようと考えていらっしゃるのですか」

 「ここから北に進んだ、サタナカ大森林の奥地にあると言われているダンジョンに挑戦しようと思っています」

 「そうですね、ジャリス近くのヴァダック山脈の麓のダンジョンは、竜呼振動が発生して沢山のドラゴンがいますしね」

 優人達が要件を伝え終わると

 「女神の息吹のリーダー、ヴァレスティーヌさんから皆様にレベル6のダンジョンの報酬を渡したいという伝言を預かっております。時間がございましたら、一度お訪ねして頂きたいです」

 セラさんからに伝言を受けて、全員で上がっても邪魔になるので、優人とゴーレンさんとサロパスタと女神の息吹の3人で冒険者ギルドの3階に上がった。



 「お久しぶりです。リーダー」

 フィーレンさんが、ヴァレスティーヌさんに話しかけた。

 「修行は終わったのフィーレン」

 「はい、一応の区切りはつきました」

 「そう、どれだけ強くなったのか楽しみね」

 ヴァレスティーヌさんは、そう言って微笑んだ。

 「それなんですが、ユート君達がレベル7のダンジョンに挑戦することになり、私達3人も彼等の手助けをしたく思い、もう暫くチームから離脱したいと思いまして」

 「それは認められません」

 ヴァレスティーヌさんが表情厳しくそう言った。

 「貴女達は女神の息吹のメンバーです。レベル6のダンジョンで力の無さを実感したのに、更に危険なダンジョンに行かせることはチームのリーダーとして許可は出来ません」

 そう言って、ヴァレスティーヌさんは顔を伏せた。そして、顔を再び上げると複雑な表情をしていた。

 「でも、冒険者として自分の力を試すことを止めることは出来ません。フィーレン貴女のサブリーダーの役職を解きます。カワイ様、3人をよろしくお願いします」

 3人の同行の許可も得られたので、早速出発することになった。



 冒険者ギルドから、郊外に向けて移動した。

 「さて準備も終わったし、早速出発しましょう」

 そう言って、優人は《アイテムボックス》から飛空挺を取り出した。

 修行スペースで、ステータスに制限がつき暇を持て余していたホワイトが、優人やスノウの莫大な魔力ではないと運用できないような移動用の乗り物を作成し始めた。過去に理論だけ完成させたものをメイア達にも手伝ってもらいながらあっという間に完成させ、既に試験飛行も終えていた。

 「それじゃあ出発」

 全員が、飛空挺に乗り込んだのを確認してから、エンジンに当たる魔石に魔力を込めて、飛空挺を起動させて空を飛び始めた。

 11人を乗せた飛空挺は、徐々にスピードを上げて目的地であるレベル7のダンジョンを目指した。

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