異世界に行ったけど、早く地球に戻るんだ

電電世界

文字の大きさ

大中小

67 / 150

第67話

しおりを挟む

修行を始めて、1週間が経った。

「ユートは、何だか一段とオーラが増したな」

修行を終えた夜、居住スペースのラウンジでみんなと会話をしていると互いに力が上がり具合に驚いた。

「騎士団にいたころ、訓練で力がドンドン上昇したのを覚えているけど、すぐに頭打ちになったけど、ここではそんな制限を感じずに修行をすればするほど力が増すのを実感できるな」

デロックさんも、珍しく饒舌にしゃべる。

「けれども、この1週間で自分の弱点が随分克服できるようになりました。メイドの皆さんの分析能力は凄まじいものがありますね」

「お父さん、私もかなり強くなった」

1週間の修行で、一番成長したのはスノウであろう。

初日から、他のメンバーと同じ修行1日ずつやってきて、今日は優人と一緒に300人組手をやった。

「まさか、300人組手を達成するとは思わなかった」

初日は100人組手も達成出来なかった優人だったが、5日目から300人組手に挑戦できるほどになった。しかし今日初めて100人組手に挑戦したスノウがあっという間に達成して300人組手にまで挑戦して、達成したのには優人も驚いた。

「優人様、少し時間をいただいても良いでしょうか」

メイアがラウンジに現れて、優人に話しかけた。

「皆様にお出ししている料理の材料なのですが、若干不足が出始めてきました。魔力で補充も出来ますが明日は休養日として一度、現実の世界に戻られてはいかがでしょう」

「確かに1週間も経ちましたし、一度外に出て世情も確認したいですね」

ゴーレンさんがそう言って、明日はみんなが一度ジャリスに行くことにした。

「後で、補充する食材のメモをください」

「かしこまりました」

そうして、翌日全員でジャリスに行き、それぞれ休暇を取ることにした。

「では、今日の午後5時にこの場所に集合でいいですか？」

「問題なし」

「では、そういうことで」

そうして優人はスノウと一緒に、メイアに頼まれた食材を買いに市場に向かった。

「お父さんとのお出かけ、とても楽しい」

「そうか、俺も楽しいよ」

優人の《アイテムボックス》と《空間創造》で作った建物の保管庫は繋がっているらしく、食材は《アイテムボックス》に入れて、手ぶらで買い物が出来ている

「さて昼食は、どうしようか」

「レイアの連れて行ってくれたお店がいい」

「そうか、ならそうしようか」

スノウと手を繋いで、レストランに向かうと

「あれあれ、スノウちゃんとユート君じゃあないか」

そんな声が聞こえた方を振り向くと

「久しぶりだね。元気だった？」

「レイアがこの店を教えたのかい」

女神の息吹のレイアとサブリーダーのフィーレンさんが立っていた。

「お久しぶりです。今からレストランに入るのですか？」

「ああ、そうだけど一緒にどうかな」

フィーレンさんに誘われたので、スノウと一緒に誘いに乗らせてもらった。

レストランのマスターに

「今日はサロパスタはいないのだな」

「そうですね、ジャリスにはいると思いますけど」

フィーレンさんは、優人の言葉を聞いて少し嬉しいような怒ったような複雑な表情だった。

「けど2人とも、しばらく見ない間により一層力を増したね。鑑定のアビリティがなくても分かるよ」

「そうですね、自分もスノウも修行で、ドンドン力をつけていますからね」

そう言っていたら料理が出てきたので、熱いうちに食べてしまおうと、料理に集中した。

料理を食べ終わった後、これからの予定を考えていると

「ユート君、お願いがあるんだけどいいかな」

レイアさんが改まって、そう尋ねてきた。

「私も、ユート君達と一緒に修行をさせて欲しい」

しおりを挟む