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第64話

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 久しぶりにジャリスの冒険者ギルドに入ると、すぐ近くに人の気配を感じて、そちらを見ると、受付嬢のセラさんと目があった。

 「お帰りなさい。レベル6のダンジョン攻略おめでとうございます」

 セラさんはそう言って頭を下げた。

 「ユート様も私の気配を感じ取れるようになったのですね、短期間で驚異の成長ですね」

 セラさんにそう言われて悪い気はしない。

 「本日は、レベル5のダンジョンの報酬金の受け取りですか」

 「はい、そうです」

 優人がそう答えると、2階のいつもの受付まで連れて行かれた。

 「では、こちらが報酬金となっております」

 そうしてセラさんは、優人とアスカさんに袋に入った報酬金を渡してくれた。

 「ダンジョン攻略メンバーが62人いましたので、その人数で均等に割り、同行していたギルド職員や参加された攻略メンバーからの聞き取りによって、活躍に応じて金額を上乗せしています」

 そうして領収書を見ると、およそ一千万リスタの金額が計上されていた。

 「ドラゴン種の素材や、ゴーレムの希少金額などがかなりの額になりました。ユート様はダンジョンマスターにトドメをさした事が評価されております」

 そうして報酬金の半額は、ギルドに貯金をして、残りの半額を《アイテムボックス》に収納した。

 「一気に大金を手に入れると、周りが全員泥棒に見えますね」

 優人が冗談混じりにそう言うと

 「当たり前じゃないですか、幾ら処罰をしても犯罪人は後を絶ちませんから」

 笑顔で、セラさんにそう返され、苦笑いするしかなかった。

 そうして、セラさんとの会話を終えてギルドから出ようとしたところ

 「あれあれ、スノウちゃんにホワイトちゃんにアスカさんにユートじゃない」

 3階から降りてくるレイアさんと丁度出会った。

 「おっはよう。偶然出会うなんて幸運ね」

 レイアさんは、暇つぶしに街を見て回ろうと考えていたところらしいので、これからの買い物に誘うと、喜んで誘いに乗ってくれた。


 「やっぱり、スノウちゃんは手も小さくて、凄く可愛いよね。可愛いは正義だね」

 レイアは、スノウの優人と繋いでいない方の手を握っていた。人通りも多くないので、3人並んで歩いていた

 「あっ、あそこのお店は可愛い服が置いてあるんだよ」

 そうして、5人で優人とスノウだけでは行かないであろう店なども見て回り、色々と買い物をした。


 「もう昼食の時間ね、やっぱり楽しい買い物だとあっという間に時間が経つね」

 「いっぱい買ったわ、良い買い物だった」
 
 「お父さん、服を買ってくれてありがとう」

 「私の服も買ってくれてありがとうね、ユート」

 3人にお礼を言われて、少し恥ずかしいが喜んでもらえて良かった。

 「お礼だけど、昼食の予定がないなら私がよく行くお店があるんだけど、そこに行かない」

 そうして、レイアさんオススメのお店に昼食を取りに行くと。そこは大通りから一本外れた隠れた名店のような店だった。

 「パロンさんの店みたいですね」

 アスカさんと初めて出会ったレストランと同じ匂いを感じる。

 「そうですね、懐かしいですね」

 アスカさんも、優人の言葉に微笑みながらそう返した

 店の中に入ると

 「こんにちはマスター、ホワイトちゃんは食べられないから、いつものを4つ」

 レイアさんの注文を聞いて、恰幅のよい物静かなマスターは、厨房に行った。

 「ここの魚料理はジャリスで一番美味しいと思うよ」

 レイアさんが、そう言った。

 そして出てきた魚料理を食べると確かに美味しく、一番美味しいという言葉に申し分がない味だった。

 
 「ユート達は、これからどうするの」

 食事も終えてマッタリしているとレイアが聞いてきた

 「俺たちは、暫くは修行をして力をつけようと思っているんだ」

 「そうなんだ。私も修行して力をつけないといけないかな」

 そうして、楽しい昼食も終わりレイアさんとも別れて、一行は宿屋に戻った。

 
 「ただいま」

 宿屋のラウンジにいたゴーレンさんにそう言うと

 「お帰りなさい。楽しめましたか」

 「楽しかったですよ」

 そうして、ゴーレンさんと今日の買ったものなどの話をしながら、休みの日は過ぎていった。



 翌日、朝食を済ませて一行はジャリス郊外の人気の無い場所にやってきた。

 「じゃあ、今から空間を作成します」

 優人は、神様から貰った《空間創造》のアビリティを使用した。すると優人の目の前にダンジョンの門に似た模様の門が出現した。

 「完成です。早速入りましょう」

 8人は、順番に扉の中に入り全員が入ると扉は音もなく消えて、辺りは静寂に包まれた状態に戻った。
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